JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
JAの店舗で回す「地域の食」 8割が准組 女性が牽引 和歌山県JAみくまの(2)【JA対話運動】2020年8月26日
移動スーパー「とくし丸」は地域の重要な生活インフラ
移動スーパーで買い物支援
高齢化が進むにつれ、〝買い物難民〟も多くなっており、JAでは移動スーパー「とくし丸」5台を配置している。移動スーパーは週に6日間、地域の商店や行商人と競合しないことを前提に決められたエリア内を回る。
利用者は必要とする食品をあらかじめ注文でき、週に1、2回、回ってくる移動スーパーで食品や日用品を購入できる。「定期的に回る配達員は高齢者の好みの総菜や銘柄などを心得ており、地元密着の事業になっている」と村上勝俊常務。総菜はAコープ店で高齢者の好みに合わせてつくる。移動スーパーの売れ残りは、Aコープ店で特売にかけて売り切る。両者が一体となった運営方法だ。また、山間地では高齢者の安全確認の「見回り」の役割も果たす。
移動スーパー5台による供給高は、令和元年度で約1億6000万円。同JA店舗購買供給高約32億3000万円の5%に当たる。年間の累計利用者は約8万1000人。また、Aコープ内の生産者コーナーは生産者にとって有力な販売先になっており、朝市などを含め、全体で約7700万円を売り上げる。
地元食材を使った女性会・フレッシュミズによる「恵弁当」づくり
女性が地域活動の核に
同JAの組合員組織は8つ。うち女性会の支部が4つでフレッシュミズが1つ。同JAでは「Aコープと女性会が地域密着の核になっている」と石田専務はいう。ほかに193人のメンバーによる「ふれあい市生産者部会」があり、「フレッシュミズ」も106人が活躍している。
いまはコロナ禍で中断しているが、女性会とフレッシュミズは、地産地消や伝統料理の継承を目的に、月1回、地域の食材を使ったオリジナルの「恵弁当」の販売を行い、地域との密着度を深めている。またJAの精米所「米工房」の米粉を使ったパンケーキづくりに挑戦するなど、幅広い活動に挑戦している。
JA管内の専業農家は200人を切っているなかで、JAのこれからの方向について村上常務は、「ここでは協同組合は地域農業協同組合であり、小さな組織、小さな農業で地域の食を回すことが大事だ」という。特に農産物は、規模が小さいため、ほとんどが地域内消費され、直売コーナーを含めたJAの店舗は、その販売拠点としての役割を果たしている。
そうした地域活動が組合員の信頼につながり、JAの信用・共済の事業に相乗効果をもたらしているというわけだ。定年退職者や新規就農者を対象にした農業体験塾や、女性会、フレッシュミズの活動支援はその延長線上にある。
同JA管内の山間部では、最寄りの支所(本所)まで30~40分かかるところも珍しくない。移動店舗だけでなく、年金の引き出し代行など、高齢組合員に対し、さまざまな支援活動を展開。さらに障がい者の仕事の機会をつくる農福連携事業にも取り組んできた。若い職員の多くは市町村の消防団に属しており、JAは消防庁から表彰も受けている。
このような農業を中心とした多様な地域活動が、地域になくてはならない組織としてのJAの存在価値を高めている。
JAの店舗で回す「地域の食」 8割が准組 女性が牽引 和歌山県JAみくまの (1)
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