JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
JAの店舗で回す「地域の食」 8割が准組 女性が牽引 和歌山県JAみくまの(1)【JA対話運動】2020年8月26日
民間のスーパーや銀行が撤退し、地域の生活インフラを担う最後の砦はJAだけという中山間地域が増えている。和歌山県のJAみくまの管内はそうした地域を多く抱え、JAグループの「JA自己改革に関する組合員調査」でも「JAの必要性」「総合事業の継続」について、全国でも高い水準を示した。特にJAの生活店舗(Aコープ)事業を軸とする地域の生活支援、女性会やフレッシュミズを中心とする女性の活動が、圧倒的多数を占める准組合員を巻き込んでさまざまな活動を展開し、地域におけるJAの存在感を高めている。
JAみくまのは紀伊半島の南端にあり、新宮市・田辺市本宮町・北山村・那智勝浦町・太地町・串本町(旧古座町)・古座川町の1市5町1村をエリアとする。平成16年には熊野三山に通じる参詣道「熊野古道」が、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されるなど、世界的にも注目が集まっている。
しかし、海と山に囲まれたわずかの海岸と、山間地の傾斜地に散在し、耕地面積は管内総土地面積の約0.3%、348haに過ぎない。水稲を中心にイチゴ、ニンニク、お茶、ポンカン、ユズ、じゃばら(カンキツ)など、それぞれ地域の特性を生かした特産があるが、ほとんどが地元で消費される。
同JAの石田守専務は「管内は日本一の豪雨地帯で、ひんぱんに水害に見舞われ、また山間部は鳥獣害が広がっている」と、厳しい自然条件なかでの農業振興の苦労を語る。農業者の高齢化、農業者の離農も急速に進んでいる。
基幹的農業従事者に占める65歳以上の高齢者の割合は、平成27年で75%。販売農家数も年々減少し、平成27年で387人。3年前の881人から半分以下になった。このため、組合員数ではなんとか現状維持しているものの、高齢化や後継者不足などで、正組合員の減少が続く一方で准組合員が増えている。また正組合員、准組合員ともに60歳以上の割合が過半数を占め、特に正組合員は90%以上に達する。
Aコープ内の生産者直売コーナーの野菜は新鮮さで定評
准組合員が8割強
JAみくまのの事業・運営は、こうした自然・社会環境によって性格づけられる。JAの農産物の販売・取扱高は令和元年度で5億3000万円に過ぎない。これに対して購買品の供給高は約37億円で、その大半を生活用品が占めるところに特徴がある。
また、「へき地」ともいえる地域のJAであるにも関わらず、圧倒的に准組合員が多いのも同JAの特徴。組合員1万6733人のうち正組合員は2688人で全体の16.1%に過ぎない。一方で准組合員は1万4045人と8割以上を占める。都市JAならともかく、地方で、この准組合員比率の高さは、准組合員比率の高い北海道を除いて全国でもあまり例がない。
この二つの特徴は、JAのAコープ店舗事業に生かされている。JAが運営する自前の店舗で、管内の那智勝浦町、新宮市(2か所)、田辺市、串本町の5か所にあり、生活インフラとして、それぞれ地域の人の生活を支えている。店舗の利用者に「Aコープカード」の利用で加入を呼びかけたことが准組合員の増加につながった。
この背景には管内人口の減少がある。JA管内の人口は約5万8000人。平成13年のJA合併以来、約1万5000人減っている。消費市場の縮小から、市街地でも民間のスーパーが引き上げ、山間地では食料など日常の買い物ができるのはJAのAコープだけという地域も少なくない。
"買い物難民"の生活支援
JAの店舗で回す「地域の食」 8割が准組 女性が牽引 和歌山県JAみくまの (2)へ続く
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