JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
一つひとつの小さな力を信じる 「変化できる者」で生き残りを JA鹿児島きもつき 代表理事組合長 下小野田寛【私の意見・提言JAへエール】2020年8月26日
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは変化できる者である」という言葉にいま、改めて考えさせられる。超グローバルなネット社会でGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表される強大なIT企業の存在が注目されている。
いつの間にかネット社会で最も強い者が生き残り、最も賢い者が生き延びているのではないか。その強くて賢い者は、リアルの世界でも大きな存在となり、影響力を増しつつあり、まさに弱肉強食の世界である。GAFAの存在は、かつて地球上に存在した恐竜を想像させてしまう。最も強い者は社会を力で自分の思うように支配できると考えている。
最も賢い者は自分の考え、アイデアを使って社会を動かそうと考える。最も強い者は最も賢い者のアイデアを求めるし、最も賢い者は最も強い者の力をうまく利用しようと考える。二者の利害はここで一致する。最も強い者と最も賢い者が手を結べば、まさに最強だ。「変化できる者」が本当に唯一生き残ることができるのか。
最強だと思うところに唯一の弱点がある。会社、組織、社会を成すのは、一つひとつの「個」である。人も動物、植物も一つひとつの小さな細胞で成り立っている。この個の細胞が衰退していけば、一つひとつの小さな細胞から成り立っている人も動物、植物もやがて死に至る。一つひとつの「個」が大事であり、その「個」の存在をおろそかにしたら全体の衰退が始まる。一つひとつの「個」を大切にできることができる者が「変化できる者」である。GAFAにしても、今では最強かもしれないが、一つひとつの「個」を大事にしなくなった時、やがて衰退に向かうのだろう。
JAは「変化できるもの」でなければならない。地域社会において私たちJAは一つひとつの「個」を大切にできる存在にならなければならない。一人ひとりの組合員を大切に、一つひとつの部会を、一人ひとりの職員を、一つひとつの支所を、一つひとつの地域社会を大切にできる組織でなければならない。
私たちJAは、一つひとつを大切にできる組織だから、協同組合と言えるし、一人ひとりの農家組合員を大切にできるから農業協同組合としてその使命を果たすことができる。一つひとつを大切にするとは、「小さな力を信じること」である。
私たちは得てして、国とか政府、大企業をはじめとする大きな組織の力ばっかりに目が行きがちであるが、一つひとつの小さな力に大きな力があることを私は信じる。一つひとつの小さな力が集まり、お互いに小さな力を信じあっていけば、大きな力に転じることができる。小さな力であることを自ら自覚してその小さな力の自分が原動力となって大きな力を創る。そこに私たちのJAがある。
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