JAの活動:JA全国女性大会 花ひらく暮らしと地域 時代を変える女たち
【特集:第66回JA全国女性大会】現地ルポ:輝くJA女性部 愛彩館を核に料理教室で「食選力」 JA延岡女性部(宮崎県)2021年1月22日
宮崎県JA延岡の女性部が宮崎県農協中央会の指導で3、2級ヘルパーの資格取得に取り組み、女性部助けあい組織「あゆみ会」を立ち上げて、まずは訪問介護、次いでミニデイサービスの地域ボランティア活動を開始したのは、今から25年も前のことであった。今では6カ所でのミニデイサービスに40人ものサポーターが100人を超える高齢者を元気づけている。(取材・構成:村田武九州大学名誉教授)
 料理教室(にししな愛彩館)
料理教室(にししな愛彩館)
手塩の野菜生かす
JA延岡の2016(平成28)年度の第26回通常総会資料『協同のあゆみ』の女性部活動報告の欄には、この「健康を守る活動」とならんで、「食と農の暮らし」の欄がある。そこには、(1)地元農畜産物のPRと食の大切さを伝える「クッキングフェスタ」を開催しました。(2)「食選力」を身につける活動として、地産地消料理教室の開催やイベント等における「ひむかさっぱり鍋」の振るまいを通じて安全・安心な地元産農畜産物のPR活動に努めました――」と、地域住民の食生活への積極的な提案が女性部の活動になっている。
女性部の要請で「愛彩館」を建設
JA延岡が2016年に、店舗の統廃合を契機に、管内のほぼ中央に位置する南方支店にキッチン・コミュニティセンター「にししな愛彩館」(西階=にししな=は地区名、愛彩館は公募によった)を建設したのは、女性部の要請に応えてのことであった。それ以来、この「にししな愛彩館」がJA延岡女性部の活動拠点である。料理教室を中心にクッキングルームだけで昨年度は67件、延べ810人もの利用になった。
2年に1回開かれる「農業まつり」で女性部主催の鍋大会で選ばれたのが「ひむかさっぱり鍋」である。延岡産農畜産物を食材に、「できた野菜を無駄にしない」「地産地消の食選力を養う」というコンセプトがしっかり表現されていると評価された。
この「「にししな愛彩館」のある西階支部の女性部約100人をリードしているのが、女性部副部長の片寄(かたよせ)和子さん(72)である。愛彩館で毎月第3水曜日(午前10時~午後3時)に開催する「高齢者ふれあいサロン」には平均年齢85歳の女性高齢者が10人も集まり、JAの高齢者向け仕出し弁当(324円)と持ち寄った野菜でお昼を楽しんでいる。年1回の延岡名物「鮎(あゆ)やな」での取れたて鮎の塩焼きも大人気だという。
 片寄和子さん。水田20aで稲作。「ふるさと市場」に出荷している家庭菜園を330坪に拡大する計画
片寄和子さん。水田20aで稲作。「ふるさと市場」に出荷している家庭菜園を330坪に拡大する計画
片寄さんは忙しい。地区の女性グループ「ひまわり会」20人の、毎月1回『家の光』を持ち寄っての手芸、ホウ酸団子(ゴキブリ防除)づくり、不用品バザーを企画するのも片寄さんである。さらに土曜日の朝には、道路沿いに野菜朝市を始め、現在では5人が参加する。「女性部に入っていなかったら寂しかっただろう」という。
大地のごちそう丸ごと生かして
元JA職員で2017、18(平成29、30)年度の女性部長であった河野(かわの)公子さん(68)が所属する北方支部女性部149人は、大半のメンバーが兼業農家である。この北方支部で「加工研修会グループ」をリードしている。河野さんは、現在は女性組織代表のJA理事である。15人ほどの女性部員で組織されている加工研修会グループは、「とにかく家庭菜園の野菜を残さないようにしよう」「大地のごちそうを生かそう」と、キュウリのつくだ煮、ダイコンのつくだ煮、減塩麺つゆ、ドレッシグなどを研究した。
 河野公子さん。20aの水田。30aの畑。道の駅「よっちみろ屋」に出荷
河野公子さん。20aの水田。30aの畑。道の駅「よっちみろ屋」に出荷
うれしいことに、今年10月には、購買店舗の統合によって以前より女性部が要望していた農産加工所が建設される。これを利用して、支部で開いているセミナーの会員を増やすことができると期待を膨らませている河野さんである。
 新玉ねぎの収穫(東延岡支部)
新玉ねぎの収穫(東延岡支部)
地域巻き込み地域農業振興
タマネギで新たな会員を
市街地で非農家の多い東延岡支部80人の支部長に就任後、JA延岡女性部長をしているのが吉田千穂子さん(64)である。めったにない経験だからと部長を引き受けたという。河野さんと同じく女性組織代表理事である。支部住民の多くが農業そのものを知らないということから思いついたのが、自分の家の農地を開放して、地域の女性にタマネギの植えつけや収穫に参加してもらうことであった。子どもづれで参加してくれる若い母親に女性部の新しいメンバーになってもらうというのが狙い。
 吉田千穂子さん。水田稲作2.2ha、裏作に野菜・タマネギ、ハウスで軟弱野菜
吉田千穂子さん。水田稲作2.2ha、裏作に野菜・タマネギ、ハウスで軟弱野菜
年1回やっている「すこやか史跡めぐりウォーク」も、弁当を一緒に食べながら地区内の史跡をめぐり、途中、クリーン作戦でごみ拾いもする企画で、20~30人が参加している。これにも女性部員を増やしたい思いがこもっている。
JAの理事になって、「女性部はJAの組織だ」との認識が強まり、地域農業の振興に貢献できるのではないかと思うようになり、「楽しいのが何より」という。
地産地消の「食選力」を地域住民の多くに養ってもらおうというJA延岡女性部の心意気はたいしたものである。
 「ひむかさっぱり鍋」
「ひむかさっぱり鍋」
【取材を終えて】
JA延岡の女性部を紹介したいと考えたのは、営農総合対策課主任松井美都子さんの2019(平成31)年度の「第61回全国家の光大会」の普及文化活動の部での「全国農業協同組合中央会賞」を受賞した発表「いつでも どこでも みんなで "家(いえ)活(かつ)"」を聞いたことによる。
「家活」とは家の光協会発行の月刊誌『家の光』の記事活用活動のことである。紹介した3人の女性部リーダーのインタビューには、松井さんと同営農総合対策課課長補佐の波口幸代さんも同席し、写真データなどの補足をいただいた。リーダーの皆さんの明るさが元気なJA延岡女性部活動を支えていることを知ることができた。
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