JAの活動:JA全農の若い力
【JA全農の若い力】生産性に直結 研究成果を現場に JA全農・飼料畜産中央研究所(1)2021年3月23日
JA全農の飼料畜産中央研究所では、日本の畜産を革新的な商品や技術で支える研究に日々取り組んでいる。今回は生産性向上に貢献する飼料の品質管理や開発に取り組む若い力に研究成果や日本農業への思いを聞いた。
品質管理研究室 井之上弘樹さん(2019年入会)正確分析で成分保証
井之上弘樹さんは2019年入会。大学では動物の栄養をテーマとした研究室で鶏を効率的に増体させる飼料やエコフィードなどの研究に関わっていた。出身は鹿児島県。芋焼酎の原料となるサツマイモの皮など残さを黒さつま鶏の飼料に活用する研究を行い学会発表したこともある。地元ではサツマイモの残さの扱いが課題で飼料の研究が基礎研究だけでなく、地域課題の解決につながるという手ごたえを感じた。
こうした研究を通じて畜産を支える部門で仕事をしようと全農の研究開発部門を志した。
入会後、飼料畜産中央研究所の品質管理研究室に配属となった。品質管理研究室は、(1)飼料原料や飼料製品、畜産物の成分分析(2)分析技術の普及、(3)新しい分析技術の開発を柱としている。
現在、井之上さんは二つめの柱である分析技術のひとつ、NIR(近赤外分光光度計)を使った飼料の分析技術を担当している。
配合飼料の設計を行う上で飼料原料の成分分析は欠かせないものである。飼料原料の安定確保のために全農は調達先を広げているが、その成果を国内の畜産現場にまで届けるには飼料の品質管理が重要になる。
飼料の成分を分析するNIR2010年に導入したNIRは簡易分析法と言われるもので、光を当てて成分を予測する機器だ。原理は選果場に設置されている糖度計と同じだという。
成分予測の対象は水分、粗たん白質、粗脂肪、粗繊維。通常の分析では、これら4成分は異なる方法でそれぞれ分析する必要があるが、NIRであれば一度の測定で4成分すべての予測値が算出されるため、飼料工場の担当者の労力とコスト削減に貢献するということになる。
井之上さんは成分予測のために機器に設定する数式(検量モデル)の更新作業を年2回行う。その検量モデルは、NIRを導入している系統飼料工場に配布し、現場で使用してもらう。これらの取り組みは、正確で効率的な品質管理法を確立し、飼料工場をサポートしているといえる。
先にも触れたように飼料原料の産地の多元化や、あるいは年によって成分の変動もあるため検量モデルを年2回アップデートしているという。これに関係する各工場の担当者との情報交換やNIRの普及のための研修の受け入れなども担当している。
「自分が更新した検量モデルを全国の飼料工場に導入してもらっているわけですから責任の大きさを感じています」
その一方で飼料成分を実測する各工場の燃焼法の検証にも取り組む。タンパク質は家畜の筋肉形成に必須であり飼料中の最も重要な成分である。そのため、燃焼法で試料中の正確な粗たん白質値を得ることが重要で、2020年度は関係工場の手合わせ試験を井之上さんが担当した。手合わせ試験とは、同じサンプルを計測したときに同じ分析値が得られるかを確認するもので、関連する飼料工場の分析値を比較し、すべての工場が正しく分析できているかどうかを確認するための試験だという。これによって燃焼法の分析精度の維持、向上に努めている。
品質管理研究室にはさまざま分析機器があり、大学でも使用した機器もあるという。ただ、自らが分析するというよりも全農の飼料研究部門の一員として技術を発信、普及することが求められるため、使用する機器の原理をしっかり理解することや、進歩が著しい分析機器の動向など「日々勉強が大切ですが、そこがこの仕事の本質だと思っています」と話す。
飼料工場など関係者と研修や会議で最新の情報や正確な知識を伝えることが重要な仕事のひとつだが、今年はとくにコロナ禍でオンラインによる会議を余儀なくされた。「一方的に話して終わってしまったのではないかということもありました。しっかり理解してもらえるよう人に上手く伝える能力も身につけなければいけないと思っています」と課題も話す。
入会して2年。今後の抱負を聞いた。
「今の場所でしっかり勉強して知識を蓄えたいと思っています。それを全農という組織を通して生産者に還元していきたい。がんばりがいがある組織だと思っています」
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