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JAの活動:築こう人に優しい協同社会

確かな産地維持に先人の意志 JAみっかび 井口義朗組合長に聞く(1)【築こう人に優しい協同社会】2022年6月15日

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JA(農協)の多くは経営破綻が相次いだ昭和20年代から30年代前半にかけて、役職員が一体となって経営再建に努めてきた歴史を持つ。時代が変化し、JAの広域合併が進んで、そのときの苦闘の経験は過去のものになりつつあるが、旧町村単位のJAのなかには、そのころの歴史が今も息づいているところがある。静岡県のJAみっかびも、そうしたJAの一つといえる。ミカンを中心とする1600人弱の農家組合員が100億円近い販売高を誇る。JAと柑橘(かんきつ)出荷組合を中心とするミカン農家が二人三脚で産地をつくり、維持してきた。広域合併JAとなにが違ったのか。井口義朗組合長に聞いた

JAみっかび 井口義明組合長JAみっかび 井口義明組合長

60年間未合併

――JAみっかびは、1961年に東浜名農協との合併以来60年間合併せず、今日に至っています。その経過を教えてください。

JAみっかびは正組合員1600人ほどの小さい農協です。同じ浜松市内には大型農協のJAとぴあ浜松があり、合併の話もありましたが、当時の先輩たちには、「三ヶ日ミカンはどうなるのか?継承できるのか?」との思いがあり、合併しなくてもいけると判断したのだと思います。

しかし、ミカンだけでやっていけるものではありません。昭和26(1951)年に当時の農協が貯払い停止になったとき、農協の経営を維持するためには、契約期間の長い共済事業の拡大が必要と考え、役職員、組織員一丸となって一斉推進に当たり経営の再建に努めました。結果戸当たり平均1億円を超えるまでになりました。また昭和59(1984)年ころからミカンの価格が上がって農家の所得が増え、JAの貯金が伸びました。

合併すると信用共済事業の占めるウエートが大きくなりますが、JAみっかびは、信用・共済・経済の3事業のバランスがとれ、安定した経営を続けることができました。先輩たちのつくったそうした仕組みを土台に、今日のJAみっかびがあるのだと思っています。

ただ、かつての右肩上がりの時代と異なり、いまは人口が減って、事業の現状維持も難しくなっています。一番の問題は、中心となる組合員が50代から70代に移り、若い人が少なくなったことです。また、若い人は親が亡くなると組合員をやめて貯金を解約し、農地も処分してくれというケースも増えています。これをなんとかしなくてはなりません。

――先のJA大会では、10年先を見越したビジョンが必要だと言っています。次の手立てはないのでしょうか。

金融共済事業はJA単独でできることに限界があります。しかし、確かな農産物があればいろいろできると思っています。三ヶ日ではミカンですが、これからは農業する人を呼び込む必要があります。8割は地元の人でやり、2割はよそから確保すると、エリアとしての農地は守れるかなと思っています。そうした動きもみられます。理想論ですが。

ただ問題は、これからの国民の食料の確保だと思います。製造業やサービス業だけでは、国民は食べていけません。これはウクライナ戦争ではっきりしたと思います。歴史を振り返っても、戦いの先には食料の問題があります。そのことをないがしろにしていいのでしょうか。

10年先もミカン

――時代が変わっても三ヶ日のミカン産地は維持できるでしょうか。

そう期待するし、できると思います。そもそもミカンは他の果実に比べて大きな違いがあります。リンゴのわい化栽培、イチゴの養液栽培など、多くの果樹は栽培上のイノベーションが進んでおり、トマトにいたっては素人でもできるくらいマニュアル化されています。

しかしミカンはそうはいきません。摘果・収穫はいまも手作業です。その意味でミカンは「スローフルーツ」です。ピーク時には、全国で360万
tもあったミカンの収穫量が今は70万tほどです。これは、規模拡大が難しいというミカンの特性から、競合産地が育ちにくいためだと思います。それが三ヶ日みかんの安定につながっているのですが、地球温暖化による気候変動やカンキツグリーニング病(立ち枯れ病)など、これからの環境変化に対して、もっと危機感をもって対応する必要があると考えています。

三ヶ日みかんの収穫作業三ヶ日みかんの収穫作業

ネットで「有線農業」

――組合員の「おらが農協」という意識が高いように感じますが。

昭和26年の経営破綻から、再建に向け、青年部や婦人部活動のなかで貯金や共済を推進するなど、農協を盛り立ててくれました。これからの農協運動は「情報」だと考え、全国に先駆けて有線網を整備しました。農協青年部員は自ら電柱を担いて支援してくれました。

町内や子ども会などの行事、冠婚葬祭の予定、病害虫の一斉防除の呼びかけなどの情報を発信し、"有線農業"と言われて全国でも注目されました。それから60年あまり。環境が大きく変わってインターネット時代になり、若い農業者にとって、JAの利用は選択肢の一つになっています。インターネットをどう使うか。その意味でJAは、いま大きな過渡期にあると思います。
 

賦課金で繋がり強化

――今では少なくなっていますが、JAみっかびは組合員から賦課金を徴収しています。どのようなことが期待できますか。

賦課金は農地や温室の面積割りなどで徴収しています。協同組合組織であるJAの利用は、料金が高い、安いの問題ではなく、正規の価格で販売し、利用者には事業分量としてお返しするのが基本です。

これが利用しなくても配当のある株式会社との違いです。あくまでも本人が納得して賦課金を払い、納得して利用しているのです。従って准組合員の利用を制限する理由にはなりません。違いは農地を持っているかどうかだけです。

これは小さなJAだからできるのだと言われるかも知れませんが、賦課金は指導事業や広報活動などに充てることでJAと組合員のつながりが強まるのだと思います。事業配当する分を、商品で値下げしたらいいと考えたら、株式会社と同じです。なお、出資配当は3%、事業分量配当で1億1500万円を還元しています。

確かな産地維持に先人の意志 JAみっかび 井口義明組合長に聞く(2)

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