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【地域守り引き継ぐ農企業の挑戦】平均33才、ほぼ全員が農外から 新潟県上越市 (有)穂海農耕2023年10月13日

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農業者の減少と高齢化が進む一方、地域の農地を引き受けて大規模な水田農業経営に挑戦する法人が急速に増えている。新潟県上越市の農業生産法人、(有)穂海農耕は今年、経営面積を230ha まで広げ県内でも有数の規模となった。設立以来、農地を引き継ぎ地域に貢献することを経営理念に掲げ、持続的にその機能を発揮するため「会社員のように働ける農業企業」をめざし、農業を仕事に選ぶ若者を集めてきた。稲刈りが本格化する9月、現地を訪ねた。

(左)平井雄志代表取締役 1971年2月生まれ。94年三菱商事入社。肥料など農業資材関係を担当。 その後、前代表取締役の丸田洋氏に出会い、2021年に農業経営を支援するコンサルサービスを行う(株)穂海耕研を共同で設立。 22年12月(有)穂海農耕、(株)穂海の代表取締役就任。23年6月(株)穂海耕研の代表取締役就任。 (右)佐藤歩取締役(左)平井雄志代表取締役 1971年2月生まれ。94年三菱商事入社。肥料など農業資材関係を担当。
その後、前代表取締役の丸田洋氏に出会い、
2021年に農業経営を支援するコンサルサービスを行う(株)穂海耕研を共同で設立。
22年12月(有)穂海農耕、(株)穂海の代表取締役就任。23年6月(株)穂海耕研の代表取締役就任。
(右)佐藤歩取締役

(有)穂海農耕は2005年に前代表取締役の丸田洋氏が設立した。

丸田氏は上越市の出身。上越の山々でスキーをしたいと思いが大きくなり、勤め先を退職しバックカントリーガイドとして活動。しかし、夏に仕事がないことに悩んでいた際、知り合いから稲作を手伝ってみないかと声をかけられ農業に関わるように。その後、新規就農と法人化を実現し、スキー関係の友人に手伝ってもらい規模拡大を進めていった。

就職と同じ仕組み

全員農業経験ゼロ。県の普及員(OB含む)などのサポートを受けて事業を9haから水稲栽培を中心に事業を始め、毎年10ha程度を地域から任され規模拡大してきた。

この間、地域の農地を守っていく持続的な存在として機能するため、定時勤務を基本とし休暇も明確に示し、「会社員のように働ける農業企業」をめざしてきた。

社員の勤務時間は季節と職種により多少の違いはあるが、8時30分から17時30分までが基本。田植えや稲刈りといった農繁期は日曜、祝日勤務もあるが、それも含めて休日は予め会社カレンダーで定め、年106日程度を確保している。

農業の仕事は不規則で不確実というイメージを払拭、新卒の月給18万円などの条件をホームページに明記して定期的に採用してきた。現在は社員16人。うち女性は1人で平均年齢は33歳だという。約半数が県外から、ほぼ全員が農業経験ゼロで就職した。

外部研修や講習への参加、業務に必要な免許や資格の取得は会社が負担するほか、家賃補助などの支援も行っている。

社員は通年雇用で、年間の仕事の流れは3月を年度始めとし、4~5月は育苗、5~6月は田植え、8~11月は稲刈り。そして9~12月が出荷作業となる。12月の中旬に生産作業は終了するが、1~2月は時短の上、機械メンテナンスなど来期に向けたほ場外業務となる。

耕畜連携で活性化

上越市板倉区に広がる広大な水田上越市板倉区に広がる広大な水田

2023年度の経営面積230haのうちソバ10ha、大麦10ha、WCS(ホールクロップサイレージ)30haのほか、10haを休耕地としたため主食用水稲は170haで栽培した。

このうちソバは水稲生産が難しい条件のほ場で栽培しJAへの出荷のほか、地元のそば店にも販売している。大麦は県内でウイスキーのブランド化をめざす小規模蒸留所に出荷する。いずれも地産地消、地域活性化につながる取り組みであり、現在の代表取締役の平井雄志さん(52)は「自分たちの作った農産物がどこで使われているか分かることは社員にとって励みになる」と話す。

WCSは群馬県内の肉牛農家と新潟県内の酪農家に販売し、たい肥の供給を受けるという耕畜連携の取り組みであり、日本の食料自給率向上に貢献するという経営理念の実践でもある。

飼料作物の国内増産は今後の課題だが、同社は持続的な経営のための取り組みとしても位置づけている。というのも地域からのさらなる農地の引き受け依頼が見込まれるなか、それを主食用米の拡大だけでは人員が不足し対応することができないからだ。そこでWCSは雪解け水を利用した湛水直まきで栽培、約30ha分の育苗の手間を省くとともに、主食用米の収穫前に刈り取るという作業の分散にも着目した。さらに主食用米と異なり乾燥調製工程がないことも利点となる。

耕畜連携の取り組みは、こうした効率化の工夫によって、大規模な水田経営を維持していくことにもつながっていくといえる。

一方、水稲は極早生から極晩生まで11品種(ちほみのり、ゆきん子舞、つきあかり、コシヒカリ、にじのきらめき、ほしじるし、みずほの輝き、恋初めし、やまだわらなど)を栽培し、業務用米として卸や食品加工メーカー、外食チェーンなどに玄米で販売している。品種は販売先の要望と作期分散を踏まえた自社からの提案など、交渉で決める。設立当初はコシヒカリだけの栽培だったが、作期分散のため、みつひかりやみずほの輝きなど多収品種の栽培に取り組むなかで中食・外食向けの需要に伸びがあることに気づき、原料供給メーカーとして業務用米の生産に特化するようになった。販売は自社以外の米も集荷、検査、販売を業務内容とする(株)穂海が行っている

ICTで効率化

生産から販売までの工程を管理生産から販売までの工程を管理

11品種もの栽培を行っている主食用米の生産は綿密な工程管理のもとで効率化を図っている。経営面積が200haを超える規模とはいえ、一枚(ほ場)の平均面積は約15a。高齢化した農家からの耕作依頼(利用権設定)をきっかけに規模を拡大してきたが、農地は分散、上越市板倉区を中心とした地域 から約1600枚ものほ場を預かっている。平井さんは「規模拡大しても規模の経済性にはつながらないのが実態。社員の動きで徹底して効率化を図るしかない」と話す。

そのため工程管理を徹底する。品種とほ場ごとに育苗、耕起、代かき、田植えなどの工程表を作成、育苗チーム、耕起を行うトラクターチーム、代かきチーム、田植えチームなどと作業班を分けて、ほ場ごとにバトンを渡すように分業して効率化を図っている。

通常は田植えと同時に施肥を行うが、それでは雨天の日には田植えができないため耕起の前に施肥を行う。そのため雨天でも田植えを行うといった工夫で全体の工程にずれが出ないよう努めている。

こうした工程管理とともに重視しているのが情報化だ。いくつもの農作業管理ソフトを活用、その一つが「アグリノート」(ウォーターセル社)ですべてのほ場について担当社員がスマホから作業記録を入力する。

一日の仕事終わりには夕礼を行い、そこで口頭でその日の作業を確認するが、アグリノートへの入力記録とダブルチェックをかけることになる。こうして約1600枚にも及ぶほ場への作業内容や所要時間のデータを記録する。そこに収量のデータも加えて作業内容を振り返り、たとえば収量減、品質低下などの原因を探り、翌年の改善につなげていく。

そのほか生育予測など機能があるザルビオフィールドマネージャー(試験的に使用中)や直進アシストや可変施肥対応農機の導入、 収穫・出荷の管理、社員の勤怠管理システムなどにもICTを導入している。

「現場での体感では分からないことをデータ化し、しっかり分析作業をして仕事の効率化を図る。ここを鍛えることが大規模経営を運営していく足腰を鍛えることになる」と平井さんは強調する。同社の理念は「農場からシンカする」。進化、深化、真価などの意味を込めている。23年産の主食用米生産量は920t程度の見込みだ。

(有)穂海 平井雄志社長と横山佳織さん(有)穂海 平井雄志社長と横山佳織さん

人を作り米を作る

同社では農作業だけではなく、栽培管理や農場運営まで責任を持って担当する人材となるよう係長、課長、部長(農場長)などキャリアパスを設定し総合職として人材育成をしている。社員それぞれに職掌に応じた目標を設定しその達成度を評価する。たとえば農場長クラスなら、個人よりも組織(農場)に関する目標に重きを置く。

平井さんは「社員が自分の成長を実感ししっかりとした人格となるような環境を提供していきたい。『穂海は人を作り、米も作っている』という考えを大切にしたい」と話す。

人づくりにこだわるのは「あの人たちに預けていれば安心だ」と地域の人から信頼されることが同社の存在意義だからでもある。今年はそれを象徴するような動きがあった。メンバーの高齢化が進んだ地域の集落営農組織から45haを任され、利用権の移譲を受けた。

利用権は同社に移ったが、営農組合のメンバーは可能な限り農作業に参加する。お互いの持ち場で地域の農地を守っていく仲間として捉えている。

同時に今後はさらに農業に関心がある人材を育てるため大規模経営のスキルを活用した人材育成の仕組みを「穂海アカデミー」として構想もしている。

「板倉区の農地は約1000ha。そのうち私たちは230haを守っている。今後は地域を守るとの考えで資材の共同購入や施設の共同利用などJAとの連携も考え、1000ha全体の未来を地域の皆さんとともに考えていきたい」と平井さんは強調する。

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