JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ
【提言2024】協同の精神が顕在化 日本労働者協同組合連合会理事長 古村伸宏氏2024年1月22日
2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎えた。本紙新年特集は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。
日本労働者協同組合連合会理事長 古村伸宏氏
何とも暗い世相である。コロナ禍から抜け出つつある中で、政治とカネをめぐる不正に象徴される、社会規範の瓦解を想起する事件が続く。世界はウクライナに加え、ガザでの戦火が起こり、命を無惨に扱う所作が憎悪を一層深くしている。
気候や環境をはじめとした持続可能性の危機は、食料・エネルギー・海洋汚染など身近に迫りくる。しかも民主主義の危機を伴ってである。人々は余裕を失い、利己と保身へと奔走する。「自分だけ」「自分たちだけ」の欲望が理性を失わせ、一層の対立と分断を深刻化させる。個人から国家レベルまで、競争原理がもたらす危機を突き付けられている。危機は何によって生まれ膨らんできたのか。危機を乗り越える術はあるのか。私たちを覆う世界は、こうした問いの前に立ちすくむ。
そんな中、2025年を再び「国際協同組合年」(IYC)とすることが、国連において決議された。今回のIYCは、端的に「競争・対立」か「協同・共存」か、をめぐる分岐点と感じる。個人の生活・コミュニティーレベルから、国家間レベルまで、人間の世界をどこに向けていくのか。協同組合が負うべき使命は、ここに本質的な存在意義を見出し、それを体現する活動を、対話と葛藤を経て示すことにあるのではないか。それは、組織・経営・事業・運動のすべてを通じて、「お互い様の経済」を実態化していくことのように思う。それが協同組合の活動だという自覚を高め合うために、組合員の主権・自治・協力を顕在化させていくべきだろう。その営みは、マネーと軍事に席巻された経済を、本物の経世済民に編み直す、息の長い挑戦でもある。
小さな世界都市を目指す兵庫県・豊岡市の挑戦をまとめた『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』(中貝宗治前豊岡市長著、集英社新書)を読み、暗黒の時代に一筋の確かな光を見出す。人類の協同の挑戦は、徹底して「ローカル(=小さな、個性)」を磨き、ローカルがマルチにつながることではないかと、自戒を込めて思う。「ローカル」に尊厳を取り戻すことは、個人・コミュニティー・国家・自然に至るまで、かけがえのない存在を認め合い、つながり合う社会を目指すことであり、協同組合はその体現者足るはずだ。共益と公益が融合し、マルチなローカルをコネクトする協同組合のアイデンティティーを見出す挑戦を決意したい。
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