JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ
【提言2024】オンナが子どもを産み育てられる農業を 社会学者 上野千鶴子氏2024年2月1日
2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎える。本紙新年号は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。
社会学者 上野千鶴子氏
(撮影 後藤さくら)
日本農業は持続可能なのだろうか?
この問いに多くの人が悲観的な答えを出している。食料自給率38%、これでは食の安全保障すら成り立たない。ウクライナ危機で小麦の輸出が止まればただちに飢餓に陥る地域があるし、食料輸出国が不作で輸出を禁止すれば、日本だって干上がる。基本的な食料である大豆や小麦が手に入らなければ、豆腐もみそもパンも麺も作れない。
2022年、思いがけず農業経済学者の関根佳恵さんからご依頼を受けて、関根さん監修・著の『家族農業が世界を変える』(かもがわ出版)に寄稿した。この本は全3巻「1貧困・飢餓をなくす」「2環境・エネルギー問題を解決する」「3多様性ある社会をつくる」と意欲的。図解、イラスト満載の十代向けの本書は「学校図書館出版賞」を受賞した。わたしはそのうち3巻に「オンナが子どもを産み育てられる農業を」というコラムを書いた。
今どき「家族農業なんて?」と思ったが、農業は一家総労働団、家族とコミュニティーなしには成り立たない。どんなに法人化が進んでも土地と自然、コミュニティーを守るのは家族だ。その中でもっとも低い地位に甘んじてきた女性の地位が上がらない限り、農家に未来はない。
その農業女性たちが各地で活躍している。農業ジャーナリストの金丸弘美さんに懇請して、わたしの主宰するウィメンズアクションネットワーク(WAN)サイトに「ニッポンは美味しい!」というタイトルで、6次産業に取り組む全国各地の女性たちを取材した連載をしてもらった(注)。タダで書いてもらっているのに、「いやあ、上野さん、女のひとの話はおもしろいわ」とかえって感謝された。「そうでしょ」と言ってわたしはニッコリする。コロナの間も売り上げが上がったと聞いた。消費者と直結した強みである。
そこに希望があれば、若いひとは来る。そして子どもを産み育てようという気にもなる。農家や農村、さらに農協のジェンダー意識も変わるべき時期だ。
(注)https://wan.or.jp/article/show/10973
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































