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JAの活動:食料・農業・農村 どうするのか? この国のかたち

【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】作家・佐藤優氏に聞く 日本の食料安保 水田が根幹 政治への働きかけを2024年7月1日

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農業の姿は、言うまでもなくこの国のかたちに関わる。元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は、日本の食料安保の根幹は水田とコメだと指摘する。21世紀にあってなお戦争と疫病に苦しむ世界の動向をふまえて私たちの課題を聞いた。

佐藤優氏作家・佐藤優氏

■食料安全保障が注目される背景

最近、食料安全保障に注目が集まっています。食料安全保障とは、簡単にいえば国民の食料を確保することが国家の責務だとする考え方です。これは国を問わず当然のことであり、決して目新しい発想でありません。実際、食料安全保障に関する議論は以前からありました。

日本で食料安全保障に対する関心が高まったのは、2000年前後からです。当時はグローバリゼーション真っ盛りで、ヒト・モノ・カネが世界中を自由に動き回っていました。しかし、食料は自然や天候に左右されるので、他のコモディティと違って取引に制約があります。そうした中で効率よく食料を買いつけることが食料安全保障の目的とされていました。

これに対して、現在では食料安全保障の考え方が変わり、経済安全保障の一環として位置づけられています。経済安全保障では、ヒト・モノ・カネの移動に制限をかけたり、経済合理性に反したとしても、国益のために確保すべき物資があるとされます。半導体もそうですし、食料もその一つです。

こうした転換が起こった大きな要因は、ロシア・ウクライナ戦争です。ロシアがウクライナに侵攻したことで、ウクライナが穀物を輸出することが物理的に難しくなり、西側連合もロシアによる穀物輸出に規制をかけました。そのため、北アフリカや中東の一部諸国で飢餓が発生しました。

これに追い打ちをかけたのが、イスラエルとイスラムテロ組織・ハマスの衝突です。ガザではいまこの瞬間において飢餓が生じています。

それまで国際社会ではまさか飢餓が深刻な問題になるとは考えられていませんでした。イスラエルの歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリは『ホモ・デウス』(河出書房新社)で、人類は昔から飢饉と疫病と戦争に苦しめられてきたが、近年ではこれらの問題をうまく抑え込んでいると記しています。ハラリは2018年と2020年のダボス会議で基調講演を務めています。ダボス会議は世界の政官財学が集まる超エリートクラブです。そこでハラリが講演したということは、人類が飢饉と疫病と戦争を克服しつつあるというのは世界のコンセンサスになっていたということです。

ところが、新型コロナウイルスの流行によって人類が疫病を克服できていないことが可視化されました。さらにロシア・ウクライナ戦争やガザ紛争が起こったことで、人類は戦争も飢餓も克服できていないことが明らかになりました。その結果、世界各国で食料安全保障の確立が重要な問題として浮上してきたのです。

■台湾有事が起これば沖縄で飢餓が発生する

しかし、日本政府が掲げる食料安全保障には問題があります。日本の安全保障の司令塔は国家安全保障局(NSS)が担っていますが、ここには情報班や経済班などはありますが、食料班や農業班はありません。これでは十分な対策はとれません。

私が特に気になっているのは、沖縄をめぐる状況です。日本政府は台湾有事に備えるという理由で自衛隊の南西シフトを進めており、与那国島を要塞化したり、住民たちを九州に避難させる計画をつくっています。しかし、仮に台湾有事が起こった場合、海路も航空路も止まり、物流が途絶えてしまいます。そのため、沖縄でどうやって食料を確保するかが重大な課題となります。

沖縄県の食料自給率はカロリーベースで32%ほどです。ここには沖縄県の基幹作物であるサトウキビも含まれています。サトウキビを除いた食料自給率はどれくらいかというと、沖縄県議会でのやりとりで6%程度と明らかにされています。非常に低い数値です。

米に関していえば、沖縄県の1年間の収穫量は1730トン(令和5年)ほどです。人間は1日に米を600グラムとれば必要なカロリーを摂取できるとされていますが、沖縄の人口は147万人なので、収穫された米をすべて備蓄に回したとしても、単純計算で2日程度しか持ちません。政府は台湾有事に備えるというなら、沖縄に巨大な備蓄基地をつくるべきですが、そういう動きはまったくありません。きわめて不真面目です。

私の母は14歳のときに陸軍第62師団の軍属として沖縄戦に参加しました。壮絶な戦いの中で九死に一生を得ましたが、それでも飢餓で苦しんだ経験はありません。沖縄の防衛を担当した第32軍があちこちに地下倉庫をつくり、食料を備蓄していたからです。これは私の母親の個人的なエピソードではなく、たとえば法政大学名誉教授の外間守善先生も『私の沖縄戦記』(角川ソフィア文庫)で、地下壕に食料が大量に保管されていたと記しています。

沖縄戦の準備をしたのは東條英機政権で、実際に戦争を行ったのは小磯国昭政権でした。あのような悲劇的な戦いを主導した東條や小磯ですら、少なくとも沖縄で備蓄不足による飢餓は起こさなかったのです。こうした歴史を振り返れば、東條政権や小磯政権のほうが現在の岸田政権よりもよほど真剣に国民のことを考えていたといわれても仕方ないでしょう。

■JA全中は積極的にロビー活動すべき

日本の食料安全保障を確立するためには、まずは食料自給率をあげなければなりません。鍵を握っているのは、私たち一人ひとりの行動です。少々高くても国産品を選ぶという消費行動をとらない限り、食料自給率はあがりません。

いま日本では経済的に苦しい人が増えているので、国産を選ぶのはなかなか難しいかもしれません。しかし、少なくとも米に関しては、消費量自体は減っていますが、自給率はほぼ100%を維持しています。いくら値段が安いからといって、外国の米を選ぶ消費者はほとんどいません。どうすれば米の消費を拡大できるかを真剣に考える必要があります。

また、日本の農業の現状を考えても、食料安全保障の現実的なインフラを担えるのは米だけです。元農水事務次官の末松広行氏が『日本の食料安全保障』(育鵬社)で指摘しているように、米はカロリーが高く、日本が自給できる作物であり、栽培のノウハウもあります。たとえ水田で米をつくり続けなくても、農地として確保して水を引けるようにし、いつでも水田として復活できる状態を維持しておくことが重要です。

末松氏の試算によれば、1人の人間が米だけで必要なカロリーを得るには、1年に200~220キログラム必要です。10アールあたり535キロの米がとれるとすると、2・765人分となります。1億2000万人分なら430万ヘクタールの水田が必要になるので、現在の水田面積を倍以上にしなければなりません。

この政策は経済合理性に反する面があるので、株式会社にはできません。これができるのは農協だけです。しかし、そのためには農業に対する補助金を手厚くし、農業者も増やしていくなど、全国各地の農協を組織的に強化していくことが不可欠です。政府は防衛費に5年間で43兆円も投じられるのだから、その気になれば簡単にできます。

そこでネックになるのが政治の理解不足です。これはJA全中の力が弱くなっていることも関係しています。「全中は時代遅れだ」とか「全中なんて縮小しても構わない」といった声も聞かれますが、全中が政治に働きかけなければ、政治の農業に対する理解はますます後退してしまいます。

JA全中は圧力団体と批判されることを恐れているのかもしれませんが、農協が政治に働きかけることは日本の食料安全保障の確立につながり、結果として日本全体のためになります。JA全中は世の中の批判にひるまず、協同組合論や地域経済の専門家などとも力を合わせながら、積極的にロビー活動を行ってほしいと思います。

(インタビュアー 「月刊日本」編集長 中村友哉氏)

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