JAの活動:第71回JA全国女性大会特集 守ろう食料安全保障
【JA全国女性大会記念座談会】学び、つながり より良い明日へ 一歩前に出る "気づき"が力に(2)2026年1月28日
第71回JA全国女性大会のメインスローガンは「『あい』からはじまる『元気な地域』をみんなの力で」。まさに元気な地域づくりには地域に根ざしている女性の力が欠かせない。そこで女性部活動の先駆者ともいえるJA栃木女性会元会長で現在はJAはが野総代の猪野正子氏、JA女性部活動に詳しい日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員の伊藤澄一氏、文芸アナリストの大金義昭氏の3人による女性大会へのエールを込めた座談会を企画した。
JA栃木女性会元会長、JAはが野総代 猪野正子氏
身近な頼れる存在 トップの資質磨いて
猪野 もちろん私も、「困ったことがあったらJAに駆け込んでね!」と東日本大震災の時にも言いました。活動を通じて知らないうちに学んでいることもたくさんありますが、今の人たちにその「気づき」があるのかどうかというと、「?」も少しある。やはり「今日は楽しかったけれど、地域でもし何かあったら、この組織でつながっているみんながお互いに守り合ったり、助け合ったり、支え合ったりするといいわよね!」という一言が会合で出てくればうれしいなと思います。
メンバーが34・6万人という評価について、私はやはり、人数が減っていることはとても残念です。50万パワーと言われていた時代から、会員がどんどん減少しているので、しっかりした対策も考えていくべきです。
伊藤 JA女性組織の真ん中にあるテーマは「農」ですよね。ただ、JAは地域のセンターですから、農業に直接関わらない、あるいは関心のあるフレミズ世代の皆さんも「ここに来れば何かあるかな!」と女性組織に入って来ることがありますよね。そういう方も含めて懐を深くして迎え入れ、地域をつないでいく役割もあるのではないか。
猪野 「つなげる」「つながる」ということですね。ただ「いいとこ取り」だけでなく、助け合いも含めて上手につながっていくといい関係が生まれる。「つながる」ことで「地域」の課題も解決する。みんな心のどこかでは思っているのですが、誰かが口に出すことで「そうね!」「それは私も思っていた!」と響いていく。そういう女性組織をJAはぜひ生かしてほしいと思います。
大金 女性や女性組織とJAの関係も含めて「男女共同参画」については? 大胆に言えば、私は500近いJAの3分の1の組合長が女性であるような時代を早く実現すべきではないか、そうしないといつまでたってもJAは変われないんじゃないかと思っている。いま活躍されている優れた男性組合長さんたちとお付き合いしていると、みな「バイリンガル」な発想やスタンスを大事にしている。男性であっても女性の存在や発想・意見などを自分の考えにしっかり取り込んでいる。男性の私から見ても魅力的です。そうした時代の流れの先に、優れた女性たちが組合長を担う時代をつくるためにはどうすればいいのかなと考えています。
伊藤さんがJA全中におられた頃からの積み重ねで女性総代や女性役員あるいは女性管理職の割合が少しずつ右肩上がりに増えてきたことは高く評価しています。でも、先の短い私などからすれば、スピードが遅すぎると感じる。
伊藤 時代はそうした方向に向かって確実に動いています。総合事業を営むJAは、世界でも大成功を収めている協同組合セクターです。経済事業から医療・介護・福祉、金融・共済、文化事業などまで幅広く事業を行っています。10年前の農協法改正では准組合員規制が焦点になりましたが、それを譲ったら「地域」のテーマがJAからなくなってしまうので守った。そう考えた時、「男女共同参画」は今3人の女性組合長がおられますが、男性組合長の中にも女性トップを生み出した方がいいなと思っている人たちがいる。これは加速させたい! すべての事業に通じ、地域の課題も理解していて、トップに立つ資質を持った女性職員もいる。本人はそんなことを意識せずに頑張っていますが、やがては言われるような時代になる可能性が十分にある。係長以上の役職に占める女性職員の23%、課長以上の13%はもっと増えていきます。正組合員、総代や役員に占める女性比率の向上の取り組みは1999年から続けてきましたが、着実に進んでいる。3人に1人が女性組合長になるのも決して夢じゃあないと思いますよ。レインボー体操で女性組織を一つにしてきた富山県のJAなのはなの谷井悦子組合長はその先達です。
進んだ取り組みに学び、真似をすることで全体のレベルを引き上げてきたのが日本の「農協運動」ですからね。JAという土壌に、「男女共同参画」の種はしっかりまかれて育っていると私は思っています。
日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員 伊藤澄一氏
「固定観念」外して 「共同参画」で進化
猪野 確かに機運はあるけれど、地域における「固定観念」がなかなか外れません。JAはが野は今3人の女性理事がいて、それぞれに頑張っています。北海道に女性協役員時代の仲間がいて、「JA役員も農業委員もほとんどが男性ばかりで、女性が出る幕はない!」と言うので「あなたが頑張らないでどうするの!」と励ましましたけれど。
伊藤 北海道は97JA、7000人の女性部員がいます。単純計算で1JAおよそ70人です。農業に死活を賭けて頑張っている専業地帯では、どうしても男性が中心になって経営責任を担ってきた経緯があり、内地とはちょっと事情が異なるかもしれません。ちなみに内地では1JAで約4人の役員数になります。
大金 農業の専業地帯にはそうした傾向を見かけるけど、人間は大まかに言って男女半々なので、男性だけでやっていこうというのではなく、JA運営も男女が一緒に手を携えて力を発揮していかないとやっていけない時代じゃないかなと思いますね。
猪野 それぞれに地域事情はあるでしょうが、JAはが野も含め、このままでいいとは思っていません。男性の役員さんたちはもっと思い切って女性をどのように登用・起用していくかの打開策を提案し、具体的に実行してほしいと思います。それに応える女性たちを送り込むための「人材育成」を、私たち女性組織は必ずしていくつもりですから。
大金 JA全国女性大会に集まるリーダーの皆さんへのエールは?
伊藤 協同組合の先輩たちの声があります。一つめは「多くのことが思い通りにはならない。それでもコツコツと!」。二つめは「先人にお返しできないから後輩に渡す。これが協同組合の理念です!」。親子の関係にも言えることが、協同組合活動にも言えます。三つめは経済学が専門の大学の先生が言われたのですが、「人類の選択肢に協同組合のカードを残したい!」ということです。協同組合を「資本の論理」で取り込んでしまえば、膨大な利益が得られるぞということで農協法の「改正」が仕組まれ、協同組合としてのJAは危ういところに立たされている、と。協同組合に対する期待とともに、政治に対する警鐘も込めて指摘された。私たちは当事者ですから、そうしたことをよく理解したうえで頑張っていかなければなりません。
猪野 伊藤さんに全部言われちゃった感じですけど、「一人は万人のために、万人は一人のために」という協同組合の「原点」があって今があり、未来があります。そう考えると、受け継いだ人が大切なことを守りながら、次の世代にどうつないでいくか。それがみんなの課題です。いつの時代も一歩前に出る勇気を持って進んできたからこそ今があり、その時は大変だと思ったことが、「あの時はやって良かった!」「決断して良かった!」と後から振り返れます。楽しいこと、ワクワクすることをたくさんしながら横のつながり、ネットワークを広げましょう。私たちには全国に素敵な仲間がいて、JAという力強い組織がある。地域になくてはならないJA女性組織として役割を担う一人一人が覚悟を持って同志と共に前へ一歩ずつ進んで行きたいですね!
【座談会を終えて】
文芸アナリスト 大金義昭氏
守るべきことは守り、変えるべきことは変える「不易流行」という言葉がある。経済・社会的な「格差の拡大」や「差別と分断」が浸透している時代に、協同組合が果たす役割は大きい。
「協同活動と総合事業の好循環」を掲げるJAグループはそうした渦中で「食と農と地域」を「いのち」で結ぶ組織・事業・経営に挑戦している。その挑戦に女性やJA女性組織の存在は欠かせない。
「男女共同参画」の陣形をいっそう強固にするためにも、「不易流行」の精神が求められる。そんなことを考えさせてくれた猪野さんと伊藤さんの「熱意」が迫って来た。(大金)
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