26年産の米生産、「見通し」から上振れか 「目安」増やす県も 生産調整より難しく2026年1月21日
米の需給が大きく緩む中、40道府県が2026年産米の「生産の目安」を設定した。主産地では減産が多いものの増産方向の県もあり、農水省の集約(一部推定を含む)を合計すると国が示す生産の見通しを超え、すでに過剰な在庫はさらに膨れかねない。
表 2026年産主食用米の「生産の目安」の25年実績との比較
40道府県で「目安」設定
農水省は1月20日、各都道府県が設定した2026年産の主食用米の「生産の目安」を公表した。1月16日時点で40道府県が設定している。東京、神奈川、岐阜、大阪、島根は「生産の目安」を設定していない。奈良と高知は例年、設定しているが、26年産目安は未設定だ。
減産するのは18道府県、増産するのは19県だが、作付面積の上位12位までをみると、需給の大きな緩みを背景に、主産地では新潟、北海道、秋田など減産を選択した同県が目立つ(「表」参照)。2025年産実績と比べた減産の度合いをみると、1位が栃木の▲9.9%、以下、秋田▲8.6%、千葉▲6.3%、新潟▲4.5%、宮城▲4.4%となっている。
「需給バランス安定化」のため減産
減産を選んだ理由について、栃木県農業再生協議会では「米価格の高止まりを背景に、令和8年産における主食用米の更なる生産拡大が見込まれており、米の需給バランスを安定化し、本県耕地面積の8割を占める水田で、収益性の高い農業を目指すためには、より一層、需要に応じた生産の推進が重要」とし「過剰生産を防ぐ」ためにも生産の目安を示し、理解促進を図るとしている(2025年12月17日に開かれた通常総会議案)。
同じく減産の目安を示した秋田県農業再生協議会では、「本県では、主食用米需要に示す本県のシェアだけでなく在庫状況も勘案して目安を設定している。2025年産は異常値だったので、減らすというより24年産に戻していくイメージだ。国が示す『主食用米等の需給見通し』でも25年6月末在庫は最大で229万t、26年6月末は同245万tとすごい数字になっているので、減らさざるを得ないと考えた」と説明する。
2026(令和8)/27(令和9)年の主食用米等の需給見通し
主産県として供給責任果たす
1.4%増産となる目安を示した岩手県農業再生協議会では「私どもは、政府の(2025/2026年の)需要見通しに本県の需要量シェア(直近5年間から最大値と最小値を排除した3年の平均、5中3)をかけて算出した。①米価が一気に上がったことで消費増が止まった、②コロナ禍後は国の見通しより需要が上振れしてきた、③米は製造物ではなく生産物で猛暑の影響も受け生産量の見通しも難しい、といった事情も考慮し、711万tに見合った目安を主要生産県として採り入れた」と話す。
岩手県のように「需要見通し×県のシェア」で目安を決める方式、青森県など、地域ごとの需要を積み上げたものが「全体の目標」になる県がある。青森もわずかな増産の目安だが、協議会では「前年とほぼ同水準」と説明している。
同じくわずかに増産の目安を示した福岡県再生協議会では、国の需給見通し、地域の協議会との協議に加え、「本県は消費県だが、『県内消費の6割くらいは県産米でほしい』との考えも考慮した」という。
「目安以上に作付される」との見方
もっとも、「生産の目安」がどこまで参考にされるかは見通し難い。減産目安を設定した県の再生協議会関係者は「目安が達成されるとは限らない。農家はかなり高い値段ですでに種を買っており、目安以上に作付されるのでは」と話す。
栃木県農業再生協議会の調査でも、25年産の主食用米では再生協が示した「作付参考値」について、生産者の22%が「参考にしたが参考値より多く作付」、22%が「参考にせず参考値より多く作付」と答えた。「作付参考値どおり」は30%にとどまった。26年産については41%が25年産の実績より「増やす」予定と回答。「同じ」の55%は下回ったものの、4割を超えた。
他方、福岡県では「25年産米では米価高騰を背景にほぼ目安に近い実績となったが、それ以前は目安を示しても届かないことが続いてきた」(再生協議会)という。西日本にはそうした県が多い。
農水省の生産見通し「上振れ」の可能性
2026年産に向けては「産地交付金も活用して輸出に力を入れるなど非主食用米の需要を開拓し、主食用では事前契約を広げていく」(秋田県農業再生協議会)など需要拡大、安定生産への努力が各地で取り組まれている。それと併せ「政府備蓄米の買い戻しがなければ大変なことになる」「国は買い戻しをどうするか、早く説明してほしい」との声も出ている。
2026年産の主食用米が「生産の目安」どおりに生産されるとすれば、一部の県で推計値も含むが、合計は725万548tとなり、農水省が示す「需給見通し」の26年産主食用米等生産量711万tを約14万t上回る。その結果、他の数値が変わらなければ、26年6月末民間在庫は229~259万tに上振れする。元々の見通しである215~245万tでも適正在庫量180~200万tと比べかなり過剰だが、上振れすれば暴落リスクがさらに高まるのは不可避だ。
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