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【ドイツ農業最前線】環境危機 オーガニックと再生可能エネルギーで対抗 九州大学名誉教授 村田武氏(上)2026年1月13日

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ドイツ農業者同盟(DBV)が毎年刊行している『農業状況報告』の「2025・26年版」が昨年12月に刊行された。この最新版『農業状況報告』からは、日本農業との比較で注目すべき動きがドイツで起こっていることを知ることができる。九州大学名誉教授の村田武氏に解説してもらった。

温室効果ガス放出量の削減で成果

ドイツの温室効果ガスの総放出量(2024年)は炭酸ガス(CO2)換算量で6億4910万tである。農業から放出される温室効果ガスはメタン(CH4)と亜酸化窒素(笑気・N2O)が中心で、排出量は炭酸ガス換算量で6210万t(9.6%)を占める(農業用燃料を含む)。

メタンは反芻動物の消化で、亜酸化窒素は土壌から放出される窒素化合物の変換による。ドイツ連邦政府の「2030年気候保護計画」(温室効果ガスを1990年対比で55%削減)では、農業の目標が6100万tとされており、農業部門の温室効果ガスの放出が着実に削減されているとみられる。

それは、牛の飼育頭数がこの10年間に1270万頭から1030万頭に20%近くも減少しており、農業のオーガニック化が前進して化学肥料の投下量が減少するとともに、家畜糞尿が直接農地に撒布されるのではなく、バイオガス発電に利用されてメタン放出量の少ない「消化液」の撒布が大幅に増えていることなどによる。

有機農業の理想は有畜複合経営

ドイツ農業のオーガニック化を担う有機農業の理想型は、有畜複合経営、すなわち、できるかぎり経営内での資源循環=家畜飼料と肥料の自給であり、外部からの購入は厳しく制限されていることで一貫している。たとえそれが他の有機農場で生産された飼料や堆肥であっても、できるかぎり少量であるべきだとされている。

そして有機農業の目的は環境に優しく、土壌をたいせつに扱い、家畜を正当に飼育することにある。そのうえで、有機農業経営は少なくともEUオーガニック認証統一規格に沿っているかどうかを、最低年1回検査を受ける必要がある。

有機農地が190万haに増加

10年前の2014年には有機農場2万3398経営で有機農地面積は104万haであったものが、2024年末には3万5881経営(総農場数25・5万経営の14.1%)、有機農地面積190万ha(総農地面積の11.5%)になっている。経営数では前年の24年よりは2.2%の減少であるが、有機農地面積は前年より1.3%の増加である。有機農業経営が減少したのは、有機農業産品と慣行栽培産品との価格差が縮小したことが主な理由だとされている。

連立政権の連邦政府は2030年目標として有機農地を総農地面積の30%としているが、これは毎年17%増やすということであるから容易なことではない。なお、有畜複合経営が主流の有機農業であることを反映して、有機農地190万haのうち95・5万ha(50.3%)は牧草地ないし散在果樹草地である。したがってドイツの家畜飼育のかなりの割合が有機農場によるものである。2023年データでは、牛の14.1%、豚の6.4%、羊の15.2%、ヤギの19.2%、鶏の13.6%がそれである。

有機農場には地域差が相当大きい。密度が高いのは、南部のバーデン・ビュルテンベルク州、東部のメクレンブルク・フォアポムメルク州、西部のザールラント州などで、7経営のうち1経営が有機農業経営である。総有機農地の22%はバイエルン州に、12%がブランデンブルク州にある。

有機農地のうち、125万ha(66%)は独自の有機基準をもつ9「有機農業連盟」に参加

参加経営が最大のビオラント(7735経営・52万ha)、次いでナトゥアラント(4807経営・35.5万ha)、デメーター(1636経営・10.8万ha)など9有機農業団体に合計1万6596経営、125.3万haの参加である。9農業団体の有機農業基準はEUのそれよりも厳しい基準であることを特徴にしている。ちなみに、ビオラントの有機認証基準とEUのそれは表のとおりである。

【ドイツ農業最前線】環境危機 オーガニックと再生可能エネルギーで対抗 九州大学名誉教授 村田武氏(上)

農家の26%が再生可能エネルギーで所得

ドイツの2024年発電量49.73億Whの57.4%は再生可能エネルギー由来である。再生可能エネルギーの内訳をみると、風力が48.9%、太陽光が26.1%、バイオマス(バイオガスを含む)17.2%、水力が7.9%を占める。

家畜糞尿をメタン原料とするバイオガス発電には8644経営が参入し、畜産経営にとって重要な所得源になっている。2025年5月の調査では牛飼育農場12万2567経営、乳牛飼育農場4万7719経営、養豚農場1万5250経営の合計18万5536経営であるので、畜産経営でバイオガス発電に参入している農場は4.7%になる。

ドイツ南部の畜産地帯に多くのバイオガス発電施設が立地しており、発電だけでなくガス発電機で発生する余熱が灯油に替わる地域暖房源になっており、余裕の出るメタンが都市ガスに利用されることも増えている。農業経営はバイオガス発電以外にも再生可能エネルギー事業に参入して所得をあげており、全体では6万5100経営すなわち4分の1の農場が参加している。ソーラー発電に6万1200経営、風力発電に3600経営、水力発電に700経営である。

生物多様性の保全をめぐって
オオカミを保護対象から狩猟法対象に

ドイツ連邦政府は25年7月に、「ドイツでは、200を超える群れに1600頭のオオカミが、とくに北西部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州やニーダーザクセン州で生息している。その頭数はすでに『適切な生息数』に達している。連邦政府はオオカミを従来の保護対象から捕獲対象にするために、『狩猟法』の狩猟対象野生動物に加えることをEU委員会に通告した」。

環境保護団体からの反対を押しきってのことであった。農業関係団体からのオオカミによる農業被害に対する補償要求を無視できなくなったからである。グラフにあるようにオオカミによる放牧家畜の被害は1000件を超えている。

ドイツでは絶滅危惧にあるとされてきたオオカミが、ほぼ2000年ごろからしだいに増え始め、現在では約5400頭に達しており、放牧家畜の被害が増えるなかで、その対策が待たれていたというのである。

『農業状況報告』では、専門家によれば、調査が十分でないので総頭数はもっと多いのでないかとしている。わが国に比べて、林野におけるイノシシの頭数管理が狩猟資格のある猟師の責任とされているドイツではあるが、これまで絶滅危惧種として保護対象にあったオオカミについては、その生息数の確認はこれからだということであろう。

【ドイツ農業最前線】環境危機 オーガニックと再生可能エネルギーで対抗 九州大学名誉教授 村田武氏(上)

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