【TPP】国会決議実現を JAグループが全国集会2015年5月20日
JA全中と全国農政連は5月19日、東京都内でTPP交渉における国会決議実現に向けた全国代表者集会を開いた。
集会には全国のJA関係者1500人が参加した。萬歳章JA全中会長は、18日にも集会を開き国会前で座り込みなどを続けているJA全青協ら青年農業者らを「地元の宝である青年農業者を徹底して支えていかねばならない」と訴えた。
また、次世代に食と農を引き継いでいくためにも「何としても国会決議の実現が必要だ」と強調するとともに、米をはじめとした重要品目の関税引き下げなどの報道が相次いでいることについて「報道が間違っているのであれば政府は明確に否定し説明すべき」と情報開示を求めた。
中家徹JA全中副会長は代表要請のなかで、甘利明TPP担当相がTPP妥結には米国議会が大統領に権限を与えるTPA(貿易促進権限)法案の成立が不可欠としているが、「期限を設けることなく決議実現まで毅然とした交渉を」と訴えた。また「マスコミ報道が先行している事態は健全ではない」として政府に十分な説明を求めるとともに、国会決議実現にむけて交渉するよう求めた。 与党からは森山裕・自民党TPP対策委員長が出席。米国議会のTPA法案をめぐる動きが非常に重要になっているとして「TPAが成立すれば交渉の前進は間違いない。大筋合意になだれ込む可能性も高い」との認識を示したうえで「国会決議を守るという姿勢にはいささかのブレもない。政府与党一体となって全力をあげていく」と話した。 公明党の石田祝稔・農林水産部会長は「国会決議を守るのは当たり前。しっかり実現していかなければならない」などと話した。
そのほか、二田孝治・全国農業会議所会長、長屋信博・JF全漁連専務、肱黒直次・全森連専務が連帯のあいさつをした。
【連帯のあいさつ】
○二田孝治・全国農業会議所会長
生活の基本になるものを失ってはならないと心から思う。米価は下がり、重要5品目はどういう扱いになっていくのか、情報開示されないなかで、農家のみなさんは日々いろいろな営みをしてこの国の食料を支えている。政治はこの思いに応えなければならない。
重要5品目を守らなければならないと強く訴えていく。重要5品目の遵守を与党として決めたことはきちんと守っていただきたい。
○長屋信博・全漁連専務
水産物の関税は累次の交渉で引き下げられ、ガット・ウルグアイラウンドでは1桁台前半まで大幅な引き下げが行われた。世界中から水産物が押し寄せ漁価は低落を続け、親父の後を継いで漁師になりたいという若者の夢も打ち砕いた。
今、生き残った漁業者は必死の戦いをしている。JFグループは厳しい状況をしっかりと受け止めてそれぞれの浜が5年先、10年先に生き残っていくため「浜の活力再生プラン」に組織を挙げて取り組んでいる。
このようななか妥結を急ぐあまり安易な妥協がなされるのではないかと心配の声が全国から挙がっている。魚の価格と畜産物の価格には強い相関関係がある。畜産物関税の引き下げが行われればさらに漁価は低落し漁業者を直撃し、血の滲むような努力も水泡に帰すことを国はしっかりと認識をし交渉にのぞまなければならない。国会決議を守り抜き、わが国の農林水産業を守り抜くまで一丸となって取り組みを進めよう。
○肱黒直次・全森連専務
昭和35年にわが国の木材輸入がほとんどの分野で自由化され、330万人の林業者の林業所得を奪い、国内林業は衰退し山村は崩壊の危機を迎えるに至っている。政府は過去の林業の轍を二度とふまないよう衆参農林水産委員会の国会決議をふまえ、農林水産物重要5品目、漁業補助金、合板製材の関税を守ることはもとより農林漁業、農産漁村地域社会が持続して発展していけるよう守るべき国益を第一に、撤退も含めて交渉に臨むことを強く求める。
【TPP交渉に関する国会決議の実現を求める緊急要請】
4月28日、安倍総理とオバマ大統領による日米首脳会談が開催され「二国間の残された課題について大きな進展があったことを歓迎する」とともに、「TPP交渉の迅速かつ成功裏の妥結を達成するため、ともに取り組む」旨の声明が発表された。
4月以降、日米農産物協議に関し米の特別輸入枠を設定する方向で交渉が行われているといった報道などは、全国の生産者に大きな不安を与えている。
また、わが国農業は地域の特性をふまえて重要品目以外にも様々な農業が営まれているが、農林水産物の多くの品目が関税撤廃の対象になるとの懸念が広がっている。
一方、情報開示に関する政府の対応は、マスコミ報道のみが先行するなかで、混乱と不信を増幅させる事態を招いており、米等に対する具体的かつ数字入りの詳細な報道内容が正確でないのであれば、政府は懸念を払しょくする十分かつ明確な説明を行うべきである。
TPP交渉が最終局面を迎えているなかで改めて我々の強い思いを結集し政府・与党に対し下記の事項を強く要請する。 記
1:農林水産物の重要品目の取扱いのみならず、国民の暮らしやいのちに関わる食の安全やISD条項、さらには情報開示について定めた衆参農林水産委員会決議を必ず実現すること。以上
<参考資料> 集会で配布された資料(PDF:608KB)
(関連記事)
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・【TPP】交渉差し止めと違憲を提訴へ (2015.05.13)
・【TPP】TPP交渉で一般向け説明会 政府対策本部 (2015.05.07)
・TPP阻止 国会前で抗議行動 市民・農民団体が連日 (2015.04.30)
・【TPP】首席交渉官会合 知的財産権で対立 (2015.04.28)
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