世界の食料安保をテーマ4月に新潟G7農相会合2016年3月29日
5月26~27日に開催される伊勢志摩サミットの関係閣僚会合としてG7農業大臣会合が新潟市で開催される。G7農業大臣会合は世界の食料安全保障のための方策を打ち出すことを議論する会合で成果として「新潟宣言」を採択する。
伊勢志摩サミットの関係閣僚会合は10会合あり、G7農業大臣会合は4月23、24日に新潟市の朱鷺メッセで開催される。先進国(G7/8)としての農業大臣会合は09年にイタリアで開催された第1回会合以来7年ぶり。
先進国の農業大臣会合は、08年の北海道洞爺湖サミットで採択された「世界の食料安全保障に関するG8首脳声明」で「農業大臣に世界の食料安全保障に関する適切な提案の形成に寄与するための会合を開くことを求める」との合意を受けて開催されることになった。
洞爺湖サミットが開催された08年は、その前年から干ばつや新興国の経済成長と人口増加、さらに米国を中心にトウモロコシのエタノール利用が急増するなどの要因で世界の穀物価格が暴騰し各地で暴動も起きた。これを受けてサミットでも農業と食料がテーマとなった。当時の自民党・福田首相はサミットを機に食料自給率目標の50%への引き上げ検討を提起した。
今年はサミット議長国が一巡し、再び日本が議長国になる節目の年となった。また、昨年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や12月にCOP21で採択された気候変動に関する「パリ協定」の実施初年度でもある。
第2回となる新潟会合では世界の食料安全保障の確立の重要性を訴えた第1回会合をふまえ▽G7各国の農業を取り巻く共通の課題を設定し、▽課題克服に向けた具体的な方策を議論する。
会合に向けてこれまでの事務レベルの調整で共通の課題として議論されることになっているのが▽農業者の高齢化、コミュニティに基づく活動の危機、▽安全で栄養価が高く多様な食料に対する需要の増加、▽気候変動による異常気象の増加。 生産現場では農業者の高齢化と人口減少によるコミュニティ活動が困難になっていることや、一方で社会の高齢化に応じて、畜産物を含め栄養価の高い食品への需要が高まっていることなどをテーマとする。
そのうえで課題を解決し食料安保を実現するには「生産性を高めていくことが重要」(農水省)との視点から、▽人材力強化や6次産業化など農業のあらゆる可能性を広げる取り組みの推進、▽女性・若者の活躍推進、▽農地、水、食文化など地域資源の活用と農村コミュニティの活性化などを具体的な方策として議論する。
また▽農業生産・生産性向上に向けた技術開発や気候変動への適応及び緩和のための研究推進、▽薬剤耐性や動物疾病との闘い、▽持続可能な森林経営及び漁業資源管理についても議論する。会合の成果として24日午後に新潟宣言を採択する予定になっている。
また、会場では自動走行トラクター、農業用アシストスーツ、「農業女子」の取り組み、小水力エネルギーの利活用などの展示や、新潟の農林水産物・食品なども紹介する。
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