農家は科学者、研究の原点は農業-ノーベル賞大村教授2016年7月28日
2015年度ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授が7月21日に農水省で職員を対象に講演を行い、森山大臣とも懇談した。大村教授は日本列島はバラエティに富んだ微生物が存在する豊かな土壌で「日本の資源は大変に恵まれている」と強調していた。
大村氏は微生物が産生する天然有機物、化合物に着目し多くの動物薬や医薬品を開発してきた。 森山農相は「研究の源流は農業にあった」と大村氏がノーベル賞受賞後に語っていたことが講演を依頼したきっかけだと話した。山梨県韮崎市生まれで幼少から畑作業や家畜の世話などに従事してきた大村氏。森山農相は「科学者の世界では実験計画という言葉があるが、農家は当たり前にやっている。農業は科学であり農家は科学者である」との一文を紹介した。 講演では大村氏は「微生物が作り出すものは必ず何かの役に立つという信念を持っている」と話した。通常は作り出された化合物にどんな活性があるかを分析するが「ムダなものはないはず。活性は後から調べればいい」と発想を逆転。1965年から2015年までも北里研究所に2万の菌株が集積されているという。
日本の土壌に生存する微生物を探すことが研究の第一歩。「研究室の全員があらゆるところから土を取ってくる」。たとえば、40年前に発見され牛の白癬に効くナナオマイシンは、石川県七尾市の土から得られた微生物が生み出した化合物がもとになっている。
動物薬のほかコレステロール合成阻害薬、抗ガン剤、抗寄生虫薬などの開発に結びつく研究成果を上げてきた。
なかでもエバーメクチンとイベルメクチンは重篤な寄生虫病である熱帯病オンコセルカ症とリンパ系フィラリアの撲滅作戦にWHOなど関連機関によって用いられている。イベルメクチンは日本でも老人施設などの集団感染が問題となっている疥癬症など身近なところでも使用され効果をあげているという。
講演で大村氏は教育について「若者が希望を持って何かしようという気にさせることが大事。それが教育」と強調していた。
(写真)森山大臣と懇談する大村教授。「日本の土壌は恵まれている」と話した。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日
-
参議院選挙に行ってとんかつ割引「選挙割り」実施 平田牧場2025年7月4日
-
作物と微生物の多様な共生が拓く農業の未来 意見論文が米国植物科学誌に掲載 国際農研2025年7月4日
-
国産率100%肥料の商品を販売開始 グリーンコープ共同体2025年7月4日