食料と水の安全保障を議論-ドイツでG20農業大臣会合2017年1月24日
1月22日にドイツのベルリンでG20農業大臣会合が開催され、「食料と水の安全保障に向けて:持続可能性の促進とイノベーションの進展」と題する宣言を採択した。
日本からは松島農林水産審議官が出席した。そのほかは米、英、独、仏、伊、加、EU、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコなどが出席した。
G20は全農地の約60%、世界の農産物貿易の約80%を占める。共同宣言では2030年に世界人口が85億人まで増加すると予測されるなか、G20が世界の食料安全保障と栄養改善に大きな責任を持つことを強調している。
とくに気候変動と都市化、紛争に加え土地や水などの天然資源に限りがあり、それらがますます損なわれていることを課題として挙げ、国連の持続可能な開発のためのアジェンダ2030や、2016年11月に発効したパリ協定の実施を農業分野から支援するとして、とくに農業と林業が気候変動に適応する必要性などを強調した。
また、今回は「農業と水」の章を設け、水は農業のための不可欠な生産資源で増大する世界人口を養ううえで欠くことができないものだが、「水の入手可能性が世界の食料の増産能力を制限しないためには、農業用水の利用の効率性は改善される必要がある」と強調した。また、水不足とともに過剰な水も「農業、食料安全保障、栄養への脅威である」と指摘し、農業における効率的な水利用を「政策」を通じて改善することを目標に掲げた。
そのほか、情報通信技術(ICT)、薬剤耐性(AMR)、農業貿易と投資などについて議論した。
日本は昨年のG7新潟農業大臣会合の成果を紹介し、会合のテーマである水に関連し、我が国の情報通信技術(ICT)を活用した水利施設の維持管理等の先進的な取り組みを紹介するとともに、途上国の状況に合わせた水管理システムの開発・普及を推進していくなどと発言した。
また、農業貿易の強化と責任ある農業投資の促進は、持続可能な農業開発や食料安全保障、栄養及び包摂的な経済成長のために重要であるとの考えも盛り込まれた。
本年のWTO閣僚会議及びそれ以降の、バランスのとれた成果を目指して建設的に取り組む。今後もG20農業大臣会合を定期的に開催。行動計画の実行にコミットすることも宣言した。
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