農業WG 改革加速化求める意見も-規制改革推進会議が会合2017年1月31日
政府の規制改革推進会議農業WGは1月30日に第9回会合を開いた。この日は、農水省が通常国会に提出する農業競争力支援強化法案骨子などについて意見交換した。農水省は今国会に8法案を提出する予定だが、これら法案のうち、昨秋の農業WGの議論に関連する法案は、その「アウトプット」だとして農業WGでも国会提出前に説明を受け議論する方針だ。
◆全農改革、「競争力支援法」に位置づけ
この日の農業WGでは農水省から山口英彰総括審議官が農業競争力強化支援法案や農業機械化促進法と主要農作物種子法を廃止する法案のそれぞれ骨子を説明した。
農業競争力強化支援法案は、昨年11月に政府が決定して農業競争力強化プログラムの実現を支援するための法案で、農業生産資材の価格引き下げや、農産物流通・加工の合理化のために必要な国が講ずべき施策を定める。関連業界の再編や新規参入などを促進するための金融支援を含む措置や、目標実現に向けてPDCAサイクルを回すためにおおむね5年ごとに生産資材の供給状況などを調査、施策を見直すことなども規定する。
委員からは「国際競争に参画して競争力を高めていかなければならない。(調査と施策の検討が)5年間では長いのではないか」、「定点観測すべきところを決めてしまえば日常的に調査できる。農業者にも情報提供すべき」などの指摘があった。 これに対し農水省はおおむね5年ごとに行う調査と施策の検討は、基本計画の改訂のように本格的な見直しを念頭に置いたもので、施策を練り上げるために必要な時間として5年を想定しているなどの趣旨を説明するとともに、個別課題の状況は「白書」で毎年検討されるなど、随時見直しを図っていく考えを示した。また、農業者への情報提供については、同法案で国が講ずべき施策として「農業資材の調達等に必要な情報の入手の円滑化」、「農産物の出荷等に必要な情報の入手の円滑化」を挙げていることを説明した。
そのほか、同法案が規定する事業再編・新規参入支援については、その対象は肥料、農機、農薬、卸業など農業競争力強化に不可欠なさまざまな業界であるとし、国が業界再編などの姿を描くわけではないが、それを促進するための法制度を整備することで関係者の検討を促すことが狙い、との趣旨が説明された。
これに対し委員からは「全農の位置づけこそ、この議論では大事ではないか」との指摘があった。農水省からは、全農に限らず系統の生産資材メーカーなども同支援法案で農業資材製造の担い手として位置づけられていると説明した。
また、山口総括審議官は、農業競争力強化プログラムのなかで全農の自主的取り組みとして位置づけられている事項と同法案との関連について「(全農の自主的取り組みの各項目が)逐一規定されているわけではないが、定義上、法律のなかに位置づけられる」と説明し、同法案は全農の自主的改革をも規定するとの認識を示した。
◆農業者の資金調達に関心
この日の会合は前半は「農業分野における規制改革」について農業WG委員間で意見交換した。金丸恭文座長は、これまでは昨年秋までに結論を得るべき事項に集中してきたとして「今回の会合では改革事項の確認と今後のフォローアップの仕方、その他の問題意識について意見交換したい」と述べた。
委員からは▽農地情報公開システムを活用した農地集積の実効性、▽農業委員会委員構成の見直しにともなう現場での人材確保の難しさなどについて指摘があり、実態把握の必要性が挙げられた。 また、国際的な競争にさらされるなかで、農業生産資材だけでなく、農業関連建築物の建築確認や車両車検など、インフラ面も含めた国内外でのイコールフィテイングの確保を課題とすべきとの認識や、農業者の資金調達に関してJA系統以外の一般金融機関からも事業性評価に基づく融資ができるなど、資金環境を改善していくことや、農業現場での外国人の活用の必要性についても意見があった。
農業WGとしては生乳取引のあり方など昨秋議論した課題についての関連法案は農水省からのアウトプットだとして農業WGで取り上げて議論していく予定。それぞれの課題について農業WGとして「意見」を出すかどうかは「状況次第」と事務局は説明している。ただ、6月に規制改革実施計画の改訂は予定されており、昨年末にも農協改革のフォローアップは続けていくことになっており今後の動向を注視する必要がある。
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