地方創生で連携協定締結-農林漁業と商工業2017年5月20日
JA全中、全森連、JF全漁連と全国商工会連合会、日本商工会議所は5月19日、「農林漁業と商工業の連携を通じた地方創生の推進に関する協定書」を締結した。同日、内閣府で行われた締結式協定には山本幸三地方創生担当大臣が立ち会い人として出席し、協定書に署名した。全国レベルで農商工の関係団体が協定を締結するのは初めて。
規制改革担当大臣でもある山本幸三地方創生担当大臣は昨年10月、JA全中、JF全漁連、全森連と全国商工会連合会が参加する地方創生を推進するための私的懇談会を設置した。
懇談会では各組織の地域活性化の取り組みなどが報告され、今年1月には山本大臣が鹿児島県のJAグループと商工会連合会が連携した農産物販促や輸出の取り組みを視察し、これを契機に山本大臣から包括的連携協定の締結が提起された。
JAグループとしても「農業者の所得増大」「地域の活性化」など目的とする自己改革の一環としても有効だとして協定づくりに参加した。
協定の目的は相互に連携、協力して「豊かで暮らしやすい地域社会」をつくり地方創生を推進することとされ、JAグループがこれまでに全国大会決議で掲げている理念が盛り込まれた。
具体的な連携事項は6次産業化や販路開拓、地域資源を活用した産業振興や観光振興などのほか、「地域コミュニティの維持発展など地域社会経済の発展に関すること」も掲げており、地域づくりに連携して関わることも明記した。
連携を推進させるため各団体の常勤役員・参事クラスによる「連携協力推進会議」を設置して具体的なアクションプランを打ち出す。同会議の事務局はJA全中に置かれる。
締結式で山本大臣は「地方創生を実現するにあたっては地域の地場産業である第一次産業や商工業関係者の積極的な連携が不可欠との認識を持っていた。これを契機に連携が全国と地域で一層強化され地方創生が加速することを期待する」とあいさつした。
協定締結を終えたJA全中の奥野長衛会長は「地方創生実現のためには農業だけではなく林業、漁業、商工業をはじめ地域を支える多様な産業がスクラムを組み協力して取り組んでいくことが極めて重要。それを力強く後押しする協定の締結は意義深い。さらなる連携強化を図り、地方の所得向上を実現し、協定の目的でもある豊かで暮らしやすい地域社会の実現に全力で取り組んでいく」と述べた。
全森連の佐藤重芳代表理事会長は「過疎化と少子高齢化の流れを変えるには1次産業と商工業が連携し元気を取り戻すことが必要。協定が今後の地方創生の起爆剤となるべく積極的に参加し、協同の力を発揮していく」。また、JF全漁連の岸宏代表理事会長は「水産業と漁村を発展させるには、加工や流通、観光など技術やノウハウを持ち寄ることは原点。今後、各地域でいかに実践していくかが肝要だ」と述べた。
一方、日本商工会議所の三村明夫会頭は全国の商工会議所にJAや林業、水産業がメンバーとして参加する事例が増えていることを紹介し、「すでに連携の輪は全国に広がっている」として「一次産業はポテンシャルの高い産業。先進事例のヨコ展開を」と期待した。全国商工会連合会の石澤義文会長は商工会と農協が地域でつながりを強めており「地方創生の担い手になっている」とし、「農商工連携が地域を変えるをスローガンに、取り組みたい」と一層の連携強化の重要性を強調した。
具体的なアクションプログラムは夏ごろにまとめられる予定になっている。
(写真左から)協定を締結した5団体代表と山本大臣(左から岸JF全漁連会長、佐藤全森連会長、奥野JA全中会長、山本大臣、三村日本商工会議所会頭、石澤全国商工会連合会会長)。協定文に署名する奥野会長。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 果樹園地で初めて確認 富山県2025年5月15日
-
【注意報】ムギ類赤かび病 多発リスクに注意 三重県2025年5月15日
-
"安心のお守り"拡充へ JA共済連 青江伯夫会長に聞く【令和6年度JA共済優績組合表彰】2025年5月15日
-
【地域を診る】観光・イベントで地域経済は潤うのか 地元外企業が利益吸収も 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(1)2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(2)2025年5月15日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】前回のトランプ政権との日米貿易交渉の失敗に学べるか(3)2025年5月15日
-
麦に赤かび病、きゅうりのアザミウマ類など多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第2号 農水省2025年5月15日
-
パッケージサラダ7商品 を価格改定 6月1日店着分から サラダクラブ2025年5月15日
-
なぜ「ジャガイモ―ムギ―ビート」?【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第340回2025年5月15日
-
「イミダクロプリド」は農水省再評価前から自主的に制限 環境に調和した持続可能な農業へ バイエルクロップサイエンス(1)2025年5月15日
-
「イミダクロプリド」は農水省再評価前から自主的に制限 環境に調和した持続可能な農業へ バイエルクロップサイエンス(2)2025年5月15日
-
「JAグループ宮城 営農支援フェア2025」がラジオCMで告知 JA全農みやぎ2025年5月15日
-
いちごの収穫・パック詰め体験イベント開催 新規就農者研修も募集へ JA全農みやぎ2025年5月15日
-
就農希望者が日本の農業を"見つける" 2025年度の「新・農業人フェア」 農協観光と「マイナビ農業」2025年5月15日
-
JA三井リースが新中計「Sustainable Evolution2028」策定 課題解決で持続的成長目指す2025年5月15日
-
「NARO生育・収量予測ツール」にトマト糖度制御機能を追加 農研機構2025年5月15日
-
冷凍・国産オーガニックほうれん草 PB「自然派Style」から登場 コープ自然派2025年5月15日
-
独自品種でプレミアムイチゴ「SAKURA DROPS」立ち上げ 東南アジアの高級スーパーで販売 CULTA2025年5月15日
-
茨城の深作農園「日本さつまいもサミット」殿堂入り農家第1号に認定2025年5月15日