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「共謀罪法」の人権に配慮した運用を2017年6月15日

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「改正組織犯罪処罰法」の成立でパルシステムが首相へ意見

 「改正組織犯罪処罰法」(「共謀罪法」)が6月15日に国会で可決・成立したことを受け、パルシステム生協連は同日、罪のない一般市民のくらしに深刻な影響をおよぼしかねないことを懸念して、安倍晋三首相に対し意見を提出した。

 「組織犯罪処罰法」の改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)は、6月15日、参議院本会議で可決・成立した。
 これに対してパルシステム生協連は、「本法案が罪のない一般市民のくらしに深刻な影響をおよぼしかねないことを強く懸念し、これまでも反対の立場を示してきました。法案の成立を受け、安倍首相に対しあらためて民主的過程を経た国民的議論や基本的人権の担保などを求めます」との意見を安倍首相に出した。
 意見の骨子は以下の3点。
1:民主的過程を経た国民的議論を求めます
2:基本的人権を確実に担保してください
3:社会萎縮を生む監視強化を防止してください

 安倍首相あての意見の全文は以下の通り。

「改正組織犯罪処罰法」の成立に意見
民主主義を遵守した議論と人権に配慮した慎重な運用を

 私たちは「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」を理念とする生活協同組合のグループです。産直をはじめとする事業と運動を通じて消費と生産をつなぎ、資源循環と持続可能性を追求しています。また、利用する組合員が自ら組織に出資し、運営に参加するという協同組合の精神に則り、民主主義や基本的人権を尊重し、不平等や差別のない相互が助け合う地域社会の実現を目指して活動しています。
 国会で審議されていた「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(改正組織犯罪処罰法案)が本日、参議院本会議で可決・成立しました。上記の立場から私たちは、本案の成立にともなう運用が、罪のない一般市民のくらしに深刻な影響をおよぼしかねないことを懸念し、反対の立場を表明してきました。本法案の可決・成立にあたって、以下3点を意見します。
1:民主的過程を経た国民的議論を求めます
 組織犯罪処罰法改正案は、犯罪を実行に移した段階から処罰する日本の刑事法の原則を大きく転換する内容です。国連人権理事会の任命を受けた特別報告者も「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と懸念を表明しており、罪のない国民が巻き込まれないための慎重な議論が必要です。にもかかわらず、本法案は、通常必要な委員会採決を経ずに審議を打ち切り、直接本会議で強行採決されました。
 マスメディア等による世論調査では、質問文における法案の呼称など表記の違いによって、「賛成」と回答する割合に大きなばらつきがみられています。これは、賛否を判断するための情報が、国民に十分提供されていないことに起因するといえます。議論不足のなかでの強行採決は、人間の自由と権利を守る民主主義の原則を大きく揺るがしかねません。寛容、討論、譲歩という民主的過程を経た国民的議論をあらためて求めます。

2:.基本的人権を確実に担保してください
 本法案では、組織犯罪の計画合意から準備行為に至る場合を処罰要件とする、いわゆる「共謀罪」が盛り込まれました。適用対象の犯罪には会社法、労働基準法、著作権法など、テロとの関係性が明確になっていないものが含まれ、一般市民が対象となる可能性を排除していません。国会審議等では「一般市民は捜査対象にならない」との答弁を繰り返していますが、その運用については「捜査機関が個別に判断する」にとどめています。
 これではひとつの誤った判断が、日本国憲法で保障される思想・良心の自由など国民の基本的人権を侵す結果につながりかねません。一般市民が影響を被ることを未然に防ぎ、国民の基本的人権を確実に担保する判断基準を明確に示してください。

3:社会萎縮を生む監視強化を防止してください
 「共謀罪」は計画段階を罪に問うという点で犯罪行為に着手した時点で処罰の対象とする刑事法の原則を大きく転換するものです。政府はその目的を、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたテロ対策とし、「国際組織犯罪防止条約を締結するために必要」と訴えていますが、一方で捜査機関の権限拡大による国民への監視強化が危惧されます。
 岐阜県では2014年、風力発電施設建設をめぐり反対する住民の個人情報が県警から電力会社へ提供されました。2016年には、参院選挙直前に大分県警が野党の支援団体が入る施設の敷地内にビデオを設置し、問題となった事例が発生しています。国民のプライバシー侵害や社会の萎縮を防ぐためにも、捜査機関による国民の監視強化につながらないような慎重な運用制度を定めてください。

 本法案は、十分な国民議論と国会審議が尽くされないまま可決・成立されました。法の運用には、慎重な姿勢が必要です。今後、政府の丁寧な説明はもとより、国民の幅広い声に耳を傾ける態度を強く求めます。
以上

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