世界の食料需要の伸びが鈍化 OECDとFAOが予測2017年7月13日
OECD(経済協力開発機構)とFAO(国連食糧農業機関)は7月10日にパリで、最新の農業の見通し『OECD-FAO農業アウトルック2017-2026 (OECD-FAO Agricultural Outlook 2017-2026) 』を発表した。
この報告書によると、世界の食料品価格は、先のピーク時と比較して、今後10年は低い状態が続くと予測し、それはいくつかの新興諸国における食品の需要の伸びが鈍化し、バイオ燃料政策が市場に及ぼす影響が薄れていることによるものだとしている。
過去10年間に穀物在庫が追加的に2億3000万t補充されたことと、その他の作物の在庫が豊富にあることも、世界の農産物価格の上昇を抑制しており、今ではほぼ2007-08年の食料価格危機の前の水準にまで戻っているという。
1人当たりの主食の需要は、最貧国を除くと横ばいになると報告書は予測。食肉需要の伸びは鈍く、以前は中国が要因となった需要増を維持するほどの新たな需要増の要因はないとしている。
そして26年までに、平均カロリー摂取可能量は最貧国の場合は1人当たり1日2450キロカロリーに達し、他の開発途上国では3000キロカロリーを超える見込みだが、それでも、食料不安とあらゆる形態の栄養不良は世界的な問題で、国際的に協調されたアプローチが必要だと述べている。
農作物生産の将来の伸びは、主に単位面積当たりの収量の伸びによってもたらされ、トウモロコシの生産量の増加分の90%は単収の伸びによるもので、残る10%のみが農地の拡張によると予測。
それに対して食肉及び乳製品の生産高の伸びは、畜産頭数の増加と1頭当たりの生産量の増加の双方によってもたらされると予測。牛乳の生産量は、過去10年間よりも速いペースで伸びる見込みだが、特に増加が著しいのはインドとパキスタンだとしている。
農産物及び水産物の貿易高の伸びは、過去10年間の伸び率の半分程度に鈍化し、ほとんどの産物の数量ベースで平均で年間2%未満になる見込みだ。ほぼ全ての農産物について、輸出は依然として少数の供給国に集中しているが、これは、世界市場が供給ショックに対してより脆弱だからだと考えている。
アンヘル・グリアOECD事務総長はパリで開かれた発表会見で、「大半の農産物、水産物の実質価格は向こう10年にわたって小幅な下落傾向をたどる見込みである。過去にもあったことだが、想定外の出来事によって市場がこれらの中心的なトレンドから外れることはあり得る。したがって、各国政府は引き続き協力して、世界食糧市場の安定化に努めるべきである。また、我々は、世界の食料、農業が抱える根本的な問題に対処する方法を模索しており、将来に備えることも同じように重要である。すなわち安全で健康的で栄養価の高い食料を増え続ける世界の人口が手に入れられるようにすると同時に、天然資源をより持続可能な方法で利用して気候変動を抑制することに効果を上げるということである」(スピーチ全文)と述べた・
またホセ・グラツィアーノ・ダ・シルバFAO局長は、「基本食料のカロリー供給量が高まっているというのは良いことだ。しかしこれは、2030年までに飢餓とあらゆる形の栄養不良を撲滅するという世界的な目標の達成を保証するものではない。土地資源と水資源が消耗されるペースは鈍くなる見込みではあるが、その減少率はまだ警戒すべきレベルで、持続可能な資源管理に向けた取り組みを強化しなければならない。OECDとFAOのアウトルックは、我々に、政治的意思を行動に移し、より持続可能な方法で飢餓の撲滅を加速するために必要とされる資源を動員するよう働きかけなければならないということを再認識させてくれている」と語った。
この報告書の詳細は以下のサイトから
http://www.agri-outlook.org/
重要な記事
最新の記事
-
(460)ローカル食の輸出は何を失うか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年11月7日 -
【特殊報】シキミ、カンキツにチュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 宮崎県2025年11月6日 -
【注意報】野菜類・花き類にチョウ目害虫 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年11月6日 -
米の生産費高止まり 60kg1万5814円 24年産米2025年11月6日 -
栗ご飯・栗タマバチ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第363回2025年11月6日 -
輸出の人気切り花スイートピー生産の危機【花づくりの現場から 宇田明】第72回2025年11月6日 -
運用収益が改善 期初計画上回り給付還元財源を確保 JA全国共済会2025年11月6日 -
熊本県の大雨被害に災害見舞金を贈呈 JA全国共済会2025年11月6日 -
千葉県から掘りたてを直送「レトルトゆで落花生 おおまさり」販売開始 JAタウン2025年11月6日 -
「たすけあい story エピソード投稿キャンペーン」 公式X・Instagramで募集開始 抽選で特選ギフト JA共済連2025年11月6日 -
東京育ち 幻の黒毛和牛「東京ビーフ」販売開始 JAタウン2025年11月6日 -
GREEN×EXPO2027まで500日 横浜市18区で一斉の取り組みで機運醸成2025年11月6日 -
オンライン農業機械展示会「オンラインEXPO 2025 WINTER」を公開中 ヤンマー2025年11月6日 -
第6回全社技能コンクールを開催 若手社員の技術向上を目的に 井関農機2025年11月6日 -
兵庫県 尼崎市農業祭・尼崎市そ菜品評会「あまやさいグランプリ」9日に開催2025年11月6日 -
静岡・三島でクラフトビール×箱根西麓三島野菜の祭「三島麦空」開催2025年11月6日 -
森林・林業業界の持続的価値創出へ「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」実施 森未来2025年11月6日 -
ホクトのエリンギ プリプリ食感になって26年振りにリニューアル2025年11月6日 -
豆乳生産量 2025年度7-9月期 前年同期109% 日本豆乳協会2025年11月6日 -
鳥インフル 米イリノイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年11月6日


































