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11月に「世界都市農業サミットin練馬」開催 海外5都市を招へい 多彩なイベントも準備2019年9月5日

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 世界都市農業サミット実行委員会・練馬区は、2019年11月29日(金)~12月1日(日)にかけて東京都練馬区内で「世界都市農業サミットin練馬」を開催する。
 世界の大都市では一般的に都市部に農地がなく、近年、都市農業の魅力を評価し、農地を新たに創出する取り組みが進んでいる。一方、東京23区の農地のうち4割を占める練馬区には、住宅地の中に農地が存在し、市民生活と融合する産業として営まれる生きた農業がある。このため、同区は、「身近で採れたて野菜が味わえる、果実の摘み取りや農業体験ができる、農を楽しめる『まち』。『農』のある暮らしができる練馬」の都市農業の魅力と可能性をサミットにより、世界に発信するとしている。
 同サミットには、海外からニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントの5都市が参加。各都市の“都市農業”を紹介する国際会議や練馬大根引っこ抜き競技大会、ワールドマルシェなどのイベントを実施する。

世界都市農業サミット練馬区役所ロビーの「世界都市農業サミット懸垂幕」


◆練馬区の都市農業

 練馬区は、東京23区内の農地の約4割を練馬区内の農地が占めている。東京都区部の農地面積は全体で526.9haだが、そのうち練馬区が215.6haと40.9%を占めている(東京都農業会議資料、平成29年3月31日現在)。
 同区のように、都心に近く、利便性の高い住宅都市の中に農地があって、農業が営まれている都市は、海外の都市ではまれだという(練馬区世界都市農業サミット担当課)。
 わが国の都市計画制度でも「市街化区域」は市街化を図ることが原則で、農地は「宅地化すべきもの」として位置づけられてきた。しかし市街化区域内には昔から農業を営んできた農家が数多くあり、農地の維持を求める要望が強かった。そのうえ都市農業が、新鮮・安全な食料を安定的に供給し、環境保全機能や防災、レクリエーション、教育、景観形成、生物多様性など多様な機能を果たしていることが評価され、市街化区域であっても一定の緑地保全が必要だとする社会的要請も高まった。そこで、平成3(1991)年3月に生産緑地法が改正され、翌年から市街化区域内の農地は、保全する農地である「生産緑地」と、原則どおり宅地化を進める農地(特定市街化区域農地=「宅地化農地」)に分けられた。「生産緑地」に指定された農地では固定資産税などが一般の農地と同様に低く抑えられるほか、相続税の納税猶予措置などが適用される。その代わり「生産緑地」には30年間の営農義務が課せられた。
 この結果、平成5年には、練馬区の市街化区域内農地452.1haのうち生産緑地地区は249.9ha、宅地化農地は202.2haとなった。しかしながら、相続が発生するたびに農地は減少し、31年には宅地化農地は約20haにまで激減し、生産緑地でも約180haにまで減少した(練馬区都市農業課)。
 なお、制度上「生産緑地」指定後30年が経過した生産緑地は最終的に宅地並み課税となるが、29年度に生産緑地法などが改正され、指定後30年が経過するまでに「特定生産緑地」を選択すると、営農を継続しながらこれまでと同様の税制措置を受けられるようになった。


◆サミット開催の目的 ~世界に実れ、練馬の誇り~

 練馬区内には、その日の朝採れた野菜を庭先で購入できる野菜の直売小屋や農農園の脇にコインロッカー式の販売機が数多く設置されている。また、「農業体験農園」が全国最多の17園ある。これは、農地の区画を利用者に貸し出す市民農園とは異なり、園主主導型で、作付計画と利用者への栽培指導は園主が行い、利用者は栽培した収穫物を手にするもの。いわゆる「畝売り」のような方式である。また、ブルーベリーなど果樹の摘み取りができる「観光農園」も東京都にある147農園のうち約4分の1の38園が練馬区にある。同区都市農業課では「練馬果樹あるファーム」と名付け、JA東京あおばとともに支援している。
 こうした「暮らしの中に生きた農業が存在する都市農業の魅力を世界に発信する」とともに、相互に学び、さらに発展させていくために練馬区でサミットを開催する。これにより、「練馬の都市農業がいかに貴重であるかを再認識し、都市農業を応援する区民を増やすとともに、都市農業を担う農業者の誇りを高める契機」とすることが目的(練馬区世界都市農業サミット担当課毛塚久課長)。
 昨年度、ニューヨークとロンドンの代表者を招いて開催したサミットのプレイベントでは、海外の参加者から「世界の大都市において、市街地の中で生きた農業が営まれている都市を見たのは練馬が初めてだ」といった声や、ニューヨークでは新鮮な葉物野菜は高価で、高級レストランで裕福な人たちが食べるものだが、練馬の「コインロッカー式の農産物販売機は、裕福な人だけでなく、誰でもが新鮮な食を手に入れられるとても民主的で優れた流通手段だ。自国に持ち帰りたい」という声があったという(同担当課)。
 世界都市農業サミットでは、"都市農業"に積極的に取り組む海外5都市の農業者など、研究者、行政関係者を招いて、意見交換や各都市の事例発表を行う。

【世界都市農業サミットの概要】
 ▽日程:11月29日(金)~12月1日(日)
 ▽会場:東京都練馬区内 練馬文化センター、区民・産業プラザ(Coconeri)ホール、平成つつじ公園ほか
 ▽内容: 
 ○国際会議 
  ・11月30日(土)【分科会】専門的内容の3つのテーマ
  ・12月1日(日)【シンポジウム】「サミット宣言」
 ○その他のイベント
  ・11月29日(金)ジャズコンサート
  ・11月30日(土)練馬大根引っこ抜き競技大会(毎年大人気の引っこ抜き競技大会をサミット期間に実施し、伝統野菜である練馬大根を世界にアピール)
  ・12月1日(日)ワールドマルシェ
  ・12月1日(日)ねりまワールドフェスティバル
  ・12月1日(日)みんなde農コンテスト
 ▽招聘する都市(決定順):ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)、ジャカルタ(インドネシア)、ソウル(韓国)、トロント(カナダ)。


◆各都市の多様な"都市農業"

【ニューヨーク】 社会の課題を"都市農業"で解決
 行政が推進するコミュニティ農園とベンチャー企業が行う農園に大別される。
 1970年代、市の財政危機の際に放棄された敷地を市民が安全な場所にするために農園をつくり始めたのがきっかけとなって、市はコミュニティ農園事業「グリーンサム」を推進し、現在550か所まで増えた。コミュニティ農園では若者の就労支援として安価で新鮮な野菜の栽培などに取り組んでいる。また、ベンチャー企業が行う"都市農業"も盛んで、建物の屋上や室内で栽培し、オーガニックスーパーでの販売やレストランで使われている。

【ロンドン】 オリンピックを機に2012か所の農園を開設
 地域活動によるコミュニティ農園と、区画貸しの市民農園に大別される。2012年のオリンピック・パラリンピックロンドン大会の際に、コミュニティ農園を2012か所開設する目標を掲げ、現在2700か所(3分の1は学校内にあり子どもたちが参加)まで増えている。食育に関心の高い団体や市民などが公園や学校などで運営。大ロンドン庁では、「食料戦略」を策定(2006年)し、市民が等しく良質な食料を確保できることを目指している。

【ジャカルタ】 急激な都市化に対抗し環境改善に取り組む
 市民と連携して行政が推進する「ガン・ヒジョウ」(緑の路地)と伝統的農業に大別される。急速な都市化により自然破壊が進行している。州は環境の改善を目的に、生産力のある緑地30%達成などを目標に掲げる。150か所で地域住民による路地での「ポット栽培」が盛ん。都市化の進むなかで残された伝統農業では、果樹など高付加価値化を追求している。

【ソウル】都市に失われた農的なものを取り戻す
 放棄された土地や屋上など生活圏の様々なスペースを使って余暇・レジャー・教育として作物を育てる、都市における農業活動を"都市農業"と定義。週末体験農園・市民農園といった"都市農業"と、開発制限区域内で農家が営む伝統的農業に大別される。都市農業スペースは7年間で約7倍(約0.29平方→約1.97平方、市域の約0.3%)に、参加する市民は約15倍(市民の約6%)に増加している。伝統的農業は、稲作とハクサイ、サンチいった葉菜類が主。

【トロント】都市農業を通じて社会的包摂を推進
 移民の社会的包摂(社会の構成員として取り込むこと)を目的としたコミュニティ農園と、環境保全を目的とした民間の農園事業に大別される。市民の半数が移民で構成されているため、コミュニティ農園は移民の孤立を防ぎ、社会的包摂の推進につなげるねらいがある。ハリケーンで荒廃した河川敷や高圧線の下の土地を農地に変える施策や、屋上緑化条例による屋上農園の開設など民間との連携による多様な取り組みがある。

練馬区HPで、世界都市農業サミットについての情報が紹介されている。


(関連記事)
市民と共生 都市農業 農業協同組合研究会 第14回現地研究会(19.09.05)

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