窒素フットプリントの長期変遷が明らかに 農研機構2019年9月25日
農研機構は日本の食料消費に伴い、国内外で生じている窒素負荷(食の窒素フットプリント)の長期変遷を明らかにした。食生活が食の窒素フットプリントに大きく影響しており、窒素負荷が引き起こすさまざまな地球環境問題を解決する重要な鍵が、一人ひとりの消費行動にあることを示した。
食に関わる窒素フローと窒素フットプリント
食品中のタンパク質には、窒素(N)が16%含まれている。この「食べる窒素」を生産し、消費するまでの過程では、環境中に多くの窒素が排出され、地域や地球環境に様々な負の影響を及ぼしている。
研究では、統計データに基づいて計算した、食の嗜好の変化、タンパク質の摂り過ぎ、食品ロスなど日本の食生活に関する窒素統計量と食料生産から、消費の過程で国内外の環境中で生じている窒素負荷量(食の窒素フットプリント)の過去半世紀にわたる長期変遷を初めて推定した。
その結果、(1)2015年現在、国内消費向けに供給される「食べる窒素」のうち22%はタンパク質の摂り過ぎ、11%は食品ロスとなっている、(2)日本の食品ロスは、高度経済成長期に急増したタンパク質の摂り過ぎが最大値に到達した後、1970年代後半から顕著となり、2000年頃に倍増した後、近年は漸減している、(3)現在とほぼ同程度のタンパク質が供給されていた1970年頃の日本食(豆類・魚介類のタンパク質が主体)では、食の窒素フットプリントが19%小さいことがわかった。
これは、食品ロスを減らし、日本人の食事摂取基準に沿った食生活を送ることが地球環境問題解決の大きな鍵となることを示している。
今後は、「食育」などを通じ、窒素負荷による環境問題の原因や解決策を、一人ひとりが身近な問題として考えるための科学的情報等として利用できるという。
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