福島第一原発事故後の森林内の放射性セシウム将来予測 森林総研など共同研究グループ2020年2月10日
森林総研、国立環境研究所、東京大学大学院農学生命科学研究科の共同研究グループは、森林の放射性セシウムの動きをコンピュータシミュレーションで解析し、森林内での放射性セシウムの分布と木材中の濃度について、その変化を長期予測した。
スギ(左)・コナラ(右)の木材中のセシウム137濃度の予測結果。
スギでは変化無しまたは微減、コナラでは根からの吸収量が落葉などによる排出量を上回るものの
増加傾向は継続して緩やかになっていく。
放射性セシウムは森林内で樹木の枝葉、樹皮、木材、地表部の落葉層、その下の鉱質土壌に分布している。このセシウム(セシウム137、半減期約30年)は、落葉で樹木から地表への移動、根からの吸収などによって森林内での分布状況が変化していくことが知られている。
同共同研究グループは、福島第一原発の事故後すぐに開発した森林内の放射性物質の動きを予測するモデルを、最新の観測データを使って改良し、事故後20年で森林内の放射性セシウムの分布がどのように変化するか、またスギ・コナラの木材中の放射性セシウム濃度がどのように変化するか長期予測した。
その結果、
▽ほとんどの放射性セシウムが鉱質土壌に留まり続けること、
▽スギ木材中の放射性セシウム濃度は大きく変化しないこと、
▽コナラ木材中の放射性セシウム濃度の増加傾向が継続して緩やかになること、
▽放射性セシウムの森林内での循環量が急速に減少していること、
が予測された。
これにより森林の中での放射性セシウムの動きが平衡状態に近づいていることが示唆されている。この結果に基づいて、現実的にはどの地域でどのような林業が可能かなど、汚染された森林の管理のゾーニング計画の策定などに利用できる。
共同研究グループは、事故で森林に入った放射性セシウムの半減期は約30年と長いことから、汚染された森林の管理は今後も長く続いていく重要な課題であり、今後も信頼性の高い観測を継続するとともに、最新データを用いたモデルの更新が必要だとしている。
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