【新型コロナウイルス感染症】牛肉消費減、牛乳キャンセルなど農業影響訴え-JA全中 自民党会合で2020年3月11日
JA全中の中家会長は3月11日、自民党の経済成長戦略本部・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の合同会議で新型コロナウイルス感染症による農業関係への影響について話し、適切な対策の必要性を訴えた。
3月11日の自民党経済成長戦略本部・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部合同会議
JA全中は2月21日~26日にかけて全国のJA、連合会、中央会などに対して影響と対応、要望などについての調査を緊急に実施した。会合で中家会長は調査結果をもとに報告した。
おもな影響として、外国人観光客の減少で外食や土産などの需要が減少し農畜産物の消費量が減っていることをあげた。とくにインバウンド需要で下支えされていた和牛の価格が大幅に下落している。和牛枝肉(和牛去勢A4)価格の2月4週目の加重平均価格は昨年は1kg2547円だったが、今年は1997円と500円以上下落している。全中の試算によれば1頭あたり27.5万円の収入減少となる。
また、休校による学校給食向け牛乳のキャンセルが拡大し、販売減少と在庫増加による需給緩和と所得減少の懸念も出ている。イベントや卒業式など学校行事の中止や延期などで農畜産物の業務用需要が減少し、とくに花きの販売額の減少が大きい。
そのほか、中家会長は中国人技能実習生の受け入れに支障が出ていることも報告した。調査で報告があった9道県(北海道、茨城、栃木、群馬、千葉、愛知、徳島、熊本、鹿児島)で360名程度の受け入れの見通しが立っていない。JAグループでは平成31年4月現在で約3200人程度の技能実習生を受け入れており、そのうち2200人ほどが中国人だという。
現在、中国政府の許可が下りなかったり、送出機関が機能を停止したりなど来日できないケースや、春節で一時帰国し再来日できないなどのケースもある。
今後の状況によっては収穫などが計画どおりにできずに生産販売額の減少につながる恐れも出てきている。技能実習生への対応も課題になっている。
この日の会合ではJA全中のほか、全国木材組合連合会、JF全漁連、日本給食サービス協会などの代表者から各業界への影響について報告があった。
日本給食サービス協会によると臨時休校措置で会員社213社に3月分で152億円の損害が出るという。また、JF全漁連によるとインバウンドと国内観光客の減少にともなって高級魚を中心に販売単価が1~3割減少しているほか、水産加工の現場ではマスクや消毒薬不足が深刻化していると報告した。
政府が10日決定した第2弾の緊急対応策で学校給食休止への対応で食品納入業者、調理業者、酪農家などへ総額212億円を確保した。酪農では学校給食用に納入予定だった生乳をバター・脱脂粉乳など乳製品向けに販売する場合、加工原料乳生産者補給金制度を活用してもなお生じる価格差を支援するほか、加工施設への輸送費も支援することが盛り込まれた。
会合で岸田文雄自民党政務調査会長(経済成長戦略本部長)は「大変厳しい状況に危機感を持っている。緊急対策第2弾を実行することによって年度末を乗り越え、次の新たな思い切った対策を考えていかなければならない」と党として次の緊急対策を検討していく考えを示した。
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