3年連続で減少 農業法人の売上げ 農業法人白書2020年3月17日
農業法人の売上高が減少している。2017年の平均売上高は2億9135万円で、2014年の3億1142万円から3年連続で減少。売上高が一番多いのは1~3億円で、全体の約3割を占めた。政策への要望では人材確保・育成が最も多かった。日本農業法人協会の「農業法人白書」で分かった。
農業法人の業種別の売げは、耕種が1億8383万円で、1億円以上が4割を占める。畜産の平均は7億620万円で、約2割が10億円以上と大規模経営体が多い。
金融機関との取引(借入金のある金融機関)では、地方銀行の71.9%がトップで、農協70.2%、日本公庫63.1%と続く。売上げ規模が大きくなるにつれて都市銀行や地方銀行などとの取引が増えている。
今後、取引を拡大したい金融機関では日本公庫48.1%、地方銀行31.1%、農協21.9%、農林中金13.7%の順。業種では畜産、野菜で特に公庫との取引拡大意欲が高い。
取引を拡大したい内容では、設備資金の調達が59.1%と運転資金の調達52.2%の二つが群を抜いており、いずれも畜産で高くなっている。
労働力不足は深刻で、58.4%が不足気味。職種では、商品生産にかかわり「単純作業」(62.8%)が高い。57.4%が「労働条件の改善」が必要としている。
経営継承の課題や悩みについては、「世代間の意識や考え方の違い」が最も多く、次いで「退職金が準備できていない」「相続税対策をどのように勧めたらよいか分からない」「経営継承に向けての手順が分からない」との回答が3割以上を占めた。
政策提言すべき制度・政策については、「人材確保・育成」が44.2%でトップ。ついで資材コスト低減43.7%。経営所得安定対策37.7%となっている。人材確保は野菜、コスト低減・経営所得安定では稲作で高い。
回答のあった法人数は825件で株式会社が8割強。業種では稲作が3割強で、地域では北海道・東北が23・2%を占めた。
業種の構成は、「生産+直売」が稲作で多く、「生産+加工」は野菜で多かった。また経営者の年齢は50代以下が3割以上、平均年齢は60歳だった。
法人の規模は、稲作が約56haで、露地野菜が25ha、肉用牛が1600頭。従業員は平均17.4人で、外国人技術実習生の受け入れは127社(13.9%)。障がい者雇用は94社(10.3%)だった。
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