国産応援を食料安保強化へ JAグループ政策提案2020年6月18日
JA全中は6月の理事会で「食料・農業・地域政策の推進に向けたJAグループの政策提案」を決めた。コロナ禍で国民は食料安全保障に関心を高め国産を応援する動きが盛んになっていることを受けて、地場農産物の活用拡大など食料自給率向上のための国民運動の展開や、食料安全保障の基盤となる農村の総合的振興対策などを提起している。

JAグループは、コロナ禍で国産農畜産物を応援する動きや、原料を国産に切り換えようという動きが出ていることに加え、低密度の地方が再評価されているなどの動きをふまえ、これまでの過度な国際化、自由化を是正し、国内労働力の確保による生産基盤の強化、国産への需要喚起による安定供給と消費拡大策などを政策要望していく。また、過度な一極集中を是正するため農村の総合的振興による地方回帰の促進も提起している。
新型コロナウイルス感染症の農業や地域経済への打撃に対しては引き続き機動的な追加対策などを求めていくが、コロナ収束後には地域や関係者が一体となった地場農産物の活用拡大や需要喚起の取り組みを強力に支援することを求めている。
そのために新たな基本計画に盛り込んだ国民の農業・農村への理解拡大など図る国民運動を、この国産農畜産物の需要喚起対策と連動させた取り組みとして具体化することを提起した。また、中食・外食を含めた原料原産地表示の拡大も必要だとしている。
農業生産基盤の強化策では、国内労働力による産地の生産体制を早急に確立するため、ウェブサイト活用による生産者と求職者のマッチング、JAやパートナー企業による短期労働力を活用した農作業受託、農業塾の開催など、地域内外から農業人材を呼び込む取り組みへの支援などの対策を求めていく。
また、2次補正予算に盛り込まれた対策のうち、農業者がJAとともに立案した経営計画を支援する「農業版持続化補助金(経営継続補助金)」については、中小・家族経営の経営継続や生産性向上が着実に進むよう、継続的措置・拡充が必要だとしている。新基本計画では中小・家族経営が地域社会の維持に重要な役割を果たしている、と位置づけられている。
スマート農業も重視し、その一層の推進をはかるには、スマート農機を活用した作業受託を行うサービス事業体への支援策を創設することが必要だと提起したほか、ドローンの現場実装を進めるには、現在はドローンで使用できる農薬のほとんどが稲・麦用のため、今後は野菜、果樹用の登録数を増やす必要があるとしている。
集落営農対策では、地域農業の重要な担い手だが高齢化で継続性が課題となっていることから、次世代へ安定的に継承するための法人化や経営基盤強化への支援を拡充することを求めていく。
国産農畜産物の消費拡大には生産から流通までのサプライチェーン対策も重要になっている。今回のコロナ禍で加工・業務用需要を国産への切り替えの動きが出ているが、それを加速するには、産地の加工・貯蔵施設のほか、食品メーカーや外食産業の加工製造設備の導入も必要となっている。そのためJAグループは産地・中間業者・実需者の連携による取り組みを含め、川上から川下までの総合的な対策を講じることが必要だとしている。
コロナ禍収束後の地域経済対策としては、観光・移住など「地方回帰」を促進し、地域経済を回復するため、直売所、農泊などの観光客の拡大・回復、半農半Xなど関係人口の拡大と就労機会の創出、ローカル5Gなど環境整備の促進など総合的振興策を創設することを求めている。
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