米の需給対策 20万tを来年秋以降に販売へ-JAグループ2020年9月11日
JAグループは米の需給が大幅に緩和する恐れがあるとして令和2年産の主食用米20万tを3年秋以降に持ち越して計画的に販売する方針を決めた。国の米穀周年供給・需要拡大支援始業を活用する。
在庫量 適正水準超え
米の需給見通しについては、7月の食糧部会でコロナ禍の影響で昨年7月から今年6月末までの需要が22万tと大幅に減ったことが示され民間在庫も201万tとなった。
一方、需要が減少するにも関わらず2年産の主食用作付けは昨年並みとなっており、JA全中の試算では3年6月末の民間在庫は229万tと大幅に米価が下落した25年~26年の224万t~220万tを超える水準となることが見込まれている。
国は2年産の主食用米の生産量を709万t~717万tと見込んでいるが全中は全国からの聞き取りで731万tと推定した。これに今年6月末の民間在庫量201万tを合わせた932万tが供給量となる。
一方、需要量は前年の需要量より10万t減少するという最近のトレンドをふまえて試算し703万tとした。その結果、来年6月末の在庫量は229万tとの試算結果となった。このため当面の対策として9月18日まで申請が延長された2年産主食用米を飼料用など非主食用に切り替えて営農計画書を提出する入口対策に取り組むとともに、出口対策として国の米穀周年供給・需要拡大事業を活用した2年産米の長期計画的販売に取り組む。
10月末までに全国で20万tを計画する方針だ。販売は来年11月とし、持ち越にかかる保管費用などは国の事業を活用する。
2年間で4300円下落-25・26年
これまでに在庫が増えると米価が下落することが示されている。
在庫が180万tだった24年産米の60kg平均価格は1万5561円だったが、25年産米で1万3353円、26年産米では1万927円と大幅に下落した。
当時は50~60万tの過剰となるなか、米穀機構の過剰米対策基金(220億円)を活用し、35万tを飼料用米などで処理をした。また、翌年の26年産の生産数量目標を前年より26万tも削減するなどの取り組みを行った。それでも需給の安定と価格の回復には3年かかった。
今回はコロナ禍の影響による需要減も要因だが、主食用の需要が継続して減少するなかで飼料米などへの転換は進んでおらず、作付けが平年並みで推移してきたという根本的な問題もある。
2年産米が過剰となると適正在庫水準180万tとするには3年産の主食用作付けを大幅に減らさなければならない。令和4年6月末に180万tするには令和3年産の主食用生産量を今年産見込み生産量より90万t近く少ない644万tとする必要があると全中は試算している。JA全中の馬場利彦専務は「関係者が状況を共有して連携して取り組んでいく必要がある」と話す。
手取り格差の解消課題
非主食用への転換には現場からさまざまな意見が出ている。「主食用との手取り格差があり転換が進まない」、「系統外の農家や集荷業者など、地域・産地で一体の取り組みがないと解決できない」、「作柄がよくなく、飼料用米に転換したとき10a8万円水準とならないため転換が進まない」などの声がある。
JAグループではこうした現場の声をふまえながら、今後、全中水田農業対策委員会を開き、11月初旬に政策提案を決定することにしている。
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