准組合員の事業利用 「組合員の判断」-農水省2021年3月9日
農林水産省は3月末で改正農協法施行5年を迎えることをふまえて、今後の農協改革の課題と考え方をまとめた。そのなかで准組合員の意思を事業運営に反映する仕組みを作るとともに、事業利用規制については「組合員の判断に基づくものとする」との方針を示した。
3月5日に開かれた規制改革推進会議農林WGに示した。
農協改革については、▽農業者の所得向上に向けた一層の資材価格の引き下げ、▽JAバンクグループ資金の農業者のための還流、などの課題が残されていると農水省は指摘し「引き続き自己改革を進めていく必要がある」との考え方を示した。
これまでの改革の実施状況について全農の肥料銘柄集約など生産資材価格引き下げを実現したことや、販売事業ではJAの直接販売や、全農による実需者との提携拡大による農業者のための価格交渉力の強化などの取り組みを一定に評価すると同時に、資材引き下げや販売力強化を継続させていく必要があるとした。
今後の検討の方向として各JAで農業者の所得向上のための実需者・小売業者への直接販売や食品産業との連携といった行動を主体的に実行していく仕組みの体系化、をあげた。
また、JAは中長期の収支など見通しを適切に立てて経済事業の収益力向上に取り組み、全農は生産資材価格の引き下げ、輸出、販売網の拡大などに「果敢に取り組み農協の取組を支援」すべきとした。
信用事業に関しては農林中金などJAバンクとして農業者の所得向上のための投融資活動を自ら目標を設定して着実に推進することも課題だとした。
准組合員の事業利用についてはこれまで2回の調査で信用事業の「貸出し」以外では正組合員の利用が准組合員の利用を上回っている結果になっている。
また、令和2年7月の規制改革実施計画では准組合員の意思を経営に反映させる方策を検討することとされている。これについて農水省は優良事例を参考にして各JAで意思反映の仕組みを検討することが重要との考えを示した。対話・訪問活動やアンケート調査を行うことや利用者モニターを選定し積極的に意見を聞くなどだ。
農水省は、事例として神奈川県のJAはだのを取り上げた。同JAの毎月の全組合員訪問活用や春・秋に83会場で開く集落座談会には約3割が准組合員が参加していることや、総会出席者約1700人のうち約4割を准組合員が占め活発な議論につながっていることを紹介している。
そのうえで農水省は各JAで優良事例を参考に准組合員の意思を事業運営に反映する仕組みを構築し、事業利用については「農業者の所得向上を図るとの農協改革の原点を踏まえ、自己改革の支障とならないよう、組合員の判断に基づくものとする」と方針を打ち出した。
JAグループが取組んだ「JAの自己改革に関する組合員調査」の結果では回答して179万人の准組合員のうち、農業や地域づくりを「応援したい」と回答したのは96.1%。JA全中の中家徹代表理事会長は「准組合員は応援団といっているが、正組合員とともに、地域農業振興に大きな役割を果たしてもらっている」と強調し、准組合員の事業利用規制については「組合員が判断する」との考え方は「自民党の公約にもなっている」と指摘したが、規制改革推進会議の今後の議論には「注視していきたい」と述べた。
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