モモせん孔細菌病の防除の徹底を 岡山県2021年3月17日
岡山県病害虫防除所は3月12日、今作のモモせん孔細菌病の被害を抑える耕種的防除と春季からの薬剤防除を組み合わせた総合的防除をまとめた植物防疫情報第13号を発表した。

同防除所が昨年8月に行った調査によると、モモせん孔細菌病の発生ほ場率は71.4%(平年38.4%)となり、過去10年で最も高い水準だった。このことから、生育期の天候によっては今年の発生が多くなる可能性があると予想している。また近年では、この病の伝染源となる春型枝病斑の発生が確認されており、次のような防除対策を呼びかけている。
この病原菌は春型枝病斑や夏型枝病斑から雨滴や風で飛散・伝染するため、発病枝は葉や果実への重要な伝染源となる。そのため発病枝を見つけ次第、病斑部を残さないよう健全部も含めて大きめに切除し、ほ場外に持ち出すなど適切な処分を行う。病原菌は葉、果実の表面(気孔など)や傷口から侵入する。風当たりの強いほ場では、防風ネットなどで防風対策を行い病原菌の飛散を防ぐ。
春型枝病斑(写真の囲み部分)は、1年生枝に開花期頃から紫褐色のへこんだ病斑を生じ、芽枯れを伴うことが多い。夏型枝病斑(写真の囲み部分)は新梢に芽の付近から紫黒色の病斑を生じる。5月以降、葉に発病が見られるほ場では果実の感染防止のため、早めに袋かけを行う。袋かけの時期に降雨が続くことが予想される場合は、降雨前に薬剤を散布し、薬剤が乾き次第袋かけを行うよう促している。
殺菌剤による防除は予防散布が基本となる。多発してからでは殺菌剤の効果が劣るため早期の防除を心がけ、生育期には約10日間隔の定期的な防除を行う。ただし、予防効果の高いストレプトマイシンを含む剤の使用時期は「収穫60日前まで」、総使用回数は「2回以内」。極早生種や早生種に使用する場合は、使用時期に注意し散布の遅れに注意する。また、ストレプトマイシンを含む剤は薬剤感受性の低下が起こりやすいため、可能な限り年1回までの使用を促している。
同防除所の担当者は「近年県内では、4月の気温上昇とともに春型枝病斑の発生率が高い傾向にある」と話し、モモせん孔細菌病の被害を抑える防除の徹底を呼びかけている。
モモせん孔細菌病の主な防除薬剤(令和3.3.2現在)
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