心配なウンカ被害-昨年超える可能性も2021年6月10日
昨年、西日本を中心に猛威を振るったトビイロウンカの確認が、例年より約1か月早い5月中旬から相次いで報告されている。今年も昨年と同様あるいはそれを超える深刻な被害に見舞われる可能性があるため、適切な防除対策を講じる必要がある。
トビイロウンカ(長翅型・オス、写真提供:大阪府病害虫防除グループ)(左)
トビイロウンカによる収穫期の坪枯れ被害(写真提供:静岡県病害虫防除所)
令和2年産の水稲作では、東海以西においてトビイロウンカの発生が多く、坪枯れ被害が発生した。今シーズンは5月10日に福岡県での飛来が確認されたことを皮切りに、九州や近畿地区で相次いで例年より早い初誘殺を確認し、5月26日に奈良県が注意報を出したのをはじめ、西日本を中心とした各都道府県で早め早めの防除対策を呼びかけている。
例年より早い飛来
ウンカ自身は、長距離を飛行してくることはできないが、梅雨時に東シナ海で発生する南西風(下層ジェット気流)に運ばれ、およそ1日~1日半をかけて、中国大陸から九州に到達する。今年はベトナム北部や中国南部での冬季の気温が高く、トビイロウンカの発生が早くなったことに加え、梅雨入りが早まり梅雨前線に吹き込む下層ジェット気流に乗って、トビイロウンカが中国大陸から飛来する好適な気象条件が早くから整ったことが、日本への飛来を早めた要因とみられる。
大阪府環境農林水産部農政室では、府内に設置した予察灯の調査で5月15日に、トビイロウンカの例年より早い初誘殺を確認。5月27日に病害虫防除情報を発表した。
府内では昨秋、水田約4710haのうち、半数近い約2200haに坪枯れ等の被害が及び、約1400tの減収となり、大きな被害を受けた。同農政室の担当者は「例年6月中旬以降のを確認していたが、過去20年間で5月中の飛来は令和元年の5月最終週に1事例しかない。今年も十分に注意してほしい」と警戒感を強めている。
効果高いピラキサルト箱処理剤
JA全農えひめでは、近年愛媛県内でトビイロウンカの大量飛来により、水稲場面に大きな被害が発生したことを受け、県内JAにウンカ類に効果が高い新規有効成分ピラキサルトを含有する箱処理剤の導入を進めている。
新規有効成分ピラキサルトを含有する箱処理剤はこれまで、県内JAや県農林水産研究所で実施した効果確認試験で、ウンカ類に対する高い防除効果と移植後80日以上の残効性が認められた。この結果を受け、県内JAの令和3年度水稲防除指針に新規箱処理剤が採用され、トビイロウンカによる被害を防ぐ対策として推進していく。
JA全農耕種資材部農薬課によると、全農のピラキサルト剤の普及面積は、令和2年度実績で約9万3000ha、令和3年度は約13万7000haを計画している。また、全農の令和2年度のピラキサルト剤の全国における普及率は約6%で、特にウンカ被害の大きい九州地域では約47%の普及率を占める。
関東などへ北上も懸念
今年のウンカ飛来はすでに静岡県でも5月下旬以降確認されており、さらに関東などへの北上が懸念される。農研機構の植物防疫研究部門の担当者は、「トビイロウンカは梅雨前線に向かって吹き込む強い南西風にのって飛来する。そのため、強い雨風を伴う梅雨前線が九州から西日本の広い地域にかけて停滞すると、広い地域でトビイロウンカの飛来リスクが高くなる」と分析。地球温暖化などの気候変動がこのような気象条件の発生を誘発しているかは、現在のところ不明だが、その可能性も含め慎重に検証していく必要があるとしている。
各都道府県の病害虫防除所では、今後のトビイロウンカ飛来数と気温の推移によって防除適期が変動する可能性があるため、引き続き警戒を呼びかけている。
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