米危機打開 政府、過剰米買い上げを-農民連2021年9月27日
農民運動全国連合会(農民連)は9月24日、東京・霞ヶ関の農林水産省前で過剰米の政府買い上げなど米対策を求めるオンライン集会を開催した。集会には5野党の代表者らも参加し米の需給調整に国が責任を果たすよう求めた。
米危機打開を訴える参加者
農民連の調査によると2021(令和3)年産米の概算金・買い取り価格は60kg7000円台から9000円台で暴落している。
集会で農民連の長谷川敏郎会長は「大規模農家ほど苦しい。来年もさらに米価が下がれば米づくりから撤退する農家も増える。農家の使命感によって食料供給を続けるのは限界。これは国民的危機」と話すとともに、「一方で食べたくても食べられない人がいる。こんな理不尽はない」と強調した。
集会前には野上浩太郎農相あてに「コロナ禍による米危機の改善を求める要請」を行った。
そこでは米の生産費が60kg1万5155円(2019年産)で機械代・肥料・農薬代など物財費だけで9180円となっており、「9000円米価では大規模農家も含め、どの農家も米づくりが続けられない」と訴えている。
また、2020年の米の消費量は1人当たり2.5kg減少したが、1年間に2kg以上減少したのはリーマンショック時の2.4kg以来なく、「コロナ禍で職を失い食べるに食べられない人々が広範に生まれているこの矛盾は一刻も放置できない課題」として、▽過剰在庫の政府買い取り、▽買い上げた米をコロナ禍などによる生活困窮者・学生などへの食料支援で活用、▽国内消費に必要のないミニマム・アクセス米の輸入停止・国産米の需給状況に応じた数量調整の実施を要請した。
集会であいさつした志位和夫日本共産党委員長は概算金が9000円台になっていることについて「とてもじゃないが米づくりを続けることができない状態」と指摘し「2018年に政府が生産調整から撤退し、そこにコロナが襲い放置してきた人災だ」と政府を批判し、過剰在庫の政府買い上げなどを求めた。
立憲民主党の田名部匡代農林水産部会長は「需要減少への対応を農家に求めるのは無責任。農家は悲鳴を上げている。営農意欲を失わず米を作っていく環境をつくるべきだ」などとあいさつした。
国民民主党の舟山康江参議院議員は「国が需給調整を放棄して現場に丸投げした。国の責任を取り戻し、困窮者の食料支援に回す仕組みをつくるべき」などと話した。また、れいわ新撰組の舩後靖彦参議院議員は米国の農業予算の6割が消費者の食料支援にあてられていることを指摘して日本も同様の政策が必要であることや、コロナ禍対策では消費税を5%に引き下げるべきなどと訴えた。
社民党の福島瑞穂党首は米価の下落は「日本農業の未来を左右することになり水田の放置に直結する」と話し「コロナ禍で食べられない人たちがいるのに米余りで米価が下がる。この状況を政府は早急に是正すべき」と訴えた。
収穫時期に参加した農家やJA職員からは「米価下落と収量減のダブルパンチ」「米価9000円でどういう暮らしをしていくのか。続くわけがない」「在庫の山と格闘している」「あってないような農政を変えていかなければならない」などと苦境を訴えた。
農水省前の集会には100人が参加したほか、主催者によるとオンラインで接続した人を含めて600人が参加した。
2021(令和3)年産米の概算金・買い取り価格表
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