「食中心の自給の村づくり」など呼びかけ 小農・森林ワーカーズ全国交流会2022年5月12日
日本労協連(ワーカーズコープ)は5月11日、福岡市で第3回の「小農・森林ワーカーズ全国ネットワーク交流会」を開いた。小規模な農業・林業と協働労働を結びつけて事業を起こし、自立した平等なコミュニティ(協同体)をつくろうという運動で、各地区のワーカーズコープの取り組み報告をもとに意見交換した。
「小農・森林ワーカーズ全国ネットワーク」は、生産・加工を含めた小規模で自給的な農の事業起こしと、空間を含めた森林の多面的な活用を目指す。ネットワークの呼びかけ人である永戸祐三・日本社会連携機構代表理事は、担い手の高齢化と、農業従事者の減少が進むなかで、市民を巻き込んだ「協働労働」による農業の可能性を挙げ、「小農・森林ワーカーズが日本の社会を動かす中核になってほしい」と期待を述べた。
同じく呼びかけ人の日本小農学会の萬田正治代表も、荒廃地や空き家が増えた農村の実態に触れ、もう既存の農家に農村の再生を期待するのは無理として、「ワーカーズによる食を中心とした自給の小さな村づくりから始めよう」と呼び掛けた。
交流会では、福岡県で合鴨農業に取り組む古野隆雄さん(71)が報告。古野さんは有機農業拡大のポイントとして「技術」「価値観」「制度」の三つを挙げる。第1の技術で、独自に考案した除草技術の「ホウキング」を紹介。これは作物が出芽する前に、細い針金で土の表面をひっかき、雑草を抜いたり埋めたりする。つまり作物の種子と雑草の深さと生育の違いを利用した方法で、有機農業の大敵である除草の負担を大きく減らしている。
吉野さんは「手間のかかる有機農業に批判的な学者がいるが、小農が成り立つにはそれに見合った技術の開発が必要」と、大規模経営向きの技術開発に一石を投じた。またLFCコンポスト事業を展開するローカルフードサイクリング㈱のたいら由以子代表取締役は都市部でできるLFCコンポストについて、事例をもとに報告した。
このほかワーカーズコープの各事業本部や加盟組織がそれぞれ事例報告した。愛媛県西予市の無茶々園は、高齢者(地元生産者)、若者(新規就農者)、海外実習生のコラボによる「F(食料)、E(エネルギー)、C(福祉)、W(雇用)の自給による自立した町づくり」を軌道に乗せている。将来、社員の自給分を賄いたいと考え、職員を派遣する会社もあるという。
また、山口県光市のワーカーズコープ山口は、耕作放棄地を利用して「自産自消」運動に取り組み、昨年度は組合員一人あたり米60キロ、野菜も年間6~7万円を配分した。このほか、組合員が自由に入れる山林を確保し、原木シイタケ30本を栽培し、竹林整備によるタケノコの収穫も行っている。
東京三多摩山梨事業本部(ワーカーズセンター事業団)は3年前、山梨県西桂町に拠点をつくり、職員は西桂町民となって、平屋を借りて小農活動を展開している。その意義について、①地域や人とつながるきっかけづくり、②地域、利用者、働く仲間が共に汗を流す喜び、③道普請など地域貢献、④コンポスト・地産地消でCO2削減、⑤食料自給率・安全安心な野菜の確保などを挙げた。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日
-
参議院選挙に行ってとんかつ割引「選挙割り」実施 平田牧場2025年7月4日
-
作物と微生物の多様な共生が拓く農業の未来 意見論文が米国植物科学誌に掲載 国際農研2025年7月4日
-
国産率100%肥料の商品を販売開始 グリーンコープ共同体2025年7月4日