沖縄産パインアップルのゲノム解読 国産ブランドの育成に貢献 2022年5月18日
かずさDNA研究所、日本大学生物資源学部、沖縄県農業研究センター、農研機構は共同でパインアップル品種「ゆがふ」のゲノムを解読したと5月17日に発表した。
パインアップル果実、および、果肉
左:ゆがふ(白色) 右:ボゴール(淡黄色)
沖縄県では生食用パインアップルの品種育成を進め、現在までに7品種を育成している。ただ、初期の育成品種は、高品質。良食味という特性がある反面、果実の大きさや病害の発生などの問題もあった。
現在は2013年に品種登録された「ゴールドバレル」。2017年登録の「沖農P17」(商標名サンドルチェ)など主軸にブランド化を図っているが、さらなる優良品種の育成が期待されている。
そのために研究グループは、ゲノム情報をもとに育種の高度化を図ろうとパインアップルのゲノム解読を行った。
ゲノム解読の対象としたのは、沖縄県で育種研究に多く用いられている品種「ゆがふ」。葉にとげがないことや、果肉が白いことが特徴で育種素材として頻繁に利用されている。
「ゆがふ」は母親(種子親)と父親(花粉親)から25本の染色体に収納された合わせて約9億塩基対のDNAを受け取っている。研究グループはその配列を明らかにした。
そのうえで葉のとげの有無を決定する遺伝子(第23染色体)と果肉色を決定する遺伝子(第8染色体)を特定した。また、葉のとげの有無と果肉色を判別するDNAマーカーを開発した。
パインアップルのゲノム解析
農研機構などによると、獲得したDNA配列情報は正確な品種識別に利用できるため、育成品種の権利保護が可能になるという。また、海外の主力品種とゲノム情報を比較し、遺伝的多様性を明らかにすることで戦略的な育種もできる。
果肉色を決定する遺伝子を特定したことから、これを活用し市場性の高い濃い黄色のパイアップル品種を育成することができれば、ジュースやドライフルーツなど新しい加工食品の開発も可能となる。
研究グループは、このゲノム情報を活用することで国産ブランド品種の育種効率が飛躍的に向上し、マーカー育種など次世代の育種技術に発展することが期待されるとしている。
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