基本法改正 2024年の通常国会めざす 森山元農相が講演2022年5月31日
自民党の食料安全保障に関する検討委員長を務める森山裕元農相は5月30日、農政ジャーナリストの会の「食料安全保障」の研究会講師として講演し、現行の食料・農業・農村基本法について9月から政府として検証に取り組み、2023年には審議会で検討を進め、24年の通常国会で改正法案を審議すべきとの考えを示した。森山氏は「基本法の議論はゆっくりしていてはいけない。できるだけ急いで議論を始めることが大事」などと述べた。
森山元農相
農政ジャーナリストの会は4~6月期の研究会テーマを「改めて食料安全保障を考える」とし、その第2回研究会の講師に招かれた。
自民党は5月19日に「食料安全保障の強化に向けた提言(中間とりまとめ)」をまとめた。提言では「食料安全保障予算」を新たなに確保することを提起している。
講演で森山氏は通常の農林水産関係予算とTPP対策予算とは別に「毎年、食料安全保障の予算があることが分かるようにしていくことが大事。5年計画、10年計画を立ててやっていくべき」などと述べた。
同予算では肥料、飼料をはじめとした生産資材の価格高騰対策や、今後の安定確保体制、堆肥や稲わらなどの国内資源の有効活用などの対策を進める。
合わせて基本法の見直しについて森山氏は、7月下旬には検討すべき項目に対する政府としての対応方針をまとめるべきとし、9月から基本法の検証をはじめ、年末の「農林水産業・地域の活力創造プラン」改訂時に基本法の見直しについて考え方を盛り込む考えを示した。
それを受けて2023(令和5)年に審議会等で議論を進め7月頃に中間とりまとめを行い、年末には改正法案をまとめて、2024(令和6)年の通常国会に法案を提出するというスケジュール案を話した。
現行基本法は「食料安全保障の考え方が希薄」だとして、生産資材も含めて「安定的な輸入を前提として基本法が作られているのでないかと懸念する」と述べた。
そのほか検討すべき点として、食料自給率向上目標、農村地域を支える人材、コストの視点を盛り込んだ経営安定対策、環境との調和、消費者の役割、防災・減災の視点と農業の基盤整備、食料産業と農業の連携強化などを挙げた。
農業団体についても「今までは団体再編の議論ばかりされてきた。果たすべき役割をよく議論すべき」と述べた。
そのほか米については「(生産過剰など)問題が多いと思っているが、水田のフル活用は大事。何をつくるかとなるとできるだけ米粉にシフトしたほうがいい」と米粉を重視する考えを強調した。世界でグルテンフリーの市場が伸びてくることと合わせて米政策を考えていくことが必要で「どこかで農家のみなさんにご理解をいただくことは大事」と述べた。
また、濃厚飼料の自給を高めるため子実用トウモロコシ栽培への取り組みも広がりつつあるが、「これまでは(米の)転作だったが、ゲタ対策の品目として検討しなければならない時期に来ているのではないか」と提起した。
ゲタ対策は標準的な生産費と販売価格の差額分を直接交付する制度で麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばいれいしょ、そば、なたねが対象。
子実用トウモロコシを対象にするには法改正が必要だが、森山氏は「今後、どう論理づけをしていくか」と話すとともに、濃厚飼料の自給率12%を15%に引き上げるという目標について「これでいいのかと議論しなければならない」として現行基本計画で掲げた自給率目標も見直す必要性も強調した。
講演で森山氏は「食料安全保障は国民の課題であり農業の問題ではない。しかし、その責任を負わなければならないのは農業分野であることは間違いがない」との考えで検討を進めるとした。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】スイカ黒点根腐病 県内で初めて確認 福島県2025年8月28日
-
コシヒカリの概算金2万8240円 全農長野 「県産米を安定供給」2025年8月28日
-
米の消費減、5ヵ月連続に 米穀機構調査 米からめん類に替える人も2025年8月28日
-
コシヒカリの概算金2.8万円 全農とちぎ 「7月下旬に潮目変わる」2025年8月28日
-
新たな世界農業遺産 島根県奥出雲地域と和歌山県有田・下津地域が認定 農水省2025年8月28日
-
花屋あっての花農家【花づくりの現場から 宇田明】第67回2025年8月28日
-
【JA人事】JA大潟村(秋田県)小林肇組合長を再任(6月27日)2025年8月28日
-
子どもたちが飛騨の果物販売に挑戦 大垣市のカネ井青果でお仕事体験 JA全農岐阜2025年8月28日
-
「JAながさき県央フェア」みのりカフェ長崎駅店で開催 JA全農2025年8月28日
-
「野菜の日」にファーマーズフェスタ開催 JAあつぎ2025年8月28日
-
「デジタル防災訓練」をアプリで公開 災害発生から生活再建までを疑似体験 JA共済連2025年8月28日
-
藤原紀香「ゆるふわちゃんねる」葛山信吾と銀座でゆる飲み JAタウン2025年8月28日
-
生成AIソフトウェア「neoAI Chat」を導入 JA愛知信連2025年8月28日
-
【役員人事】全国農協保証センター(8月27日付)2025年8月28日
-
【役員人事】J-オイルミルズ(10月1日付)2025年8月28日
-
適用拡大情報 殺菌剤「日曹ファンベル顆粒水和剤」 日本曹達2025年8月28日
-
適用拡大情報 殺菌剤「ミギワ10フロアブル」 日本曹達2025年8月28日
-
農林漁業者やバイヤーが活発に商談「アグリフードEXPO東京2025」開催 日本政策金融公庫2025年8月28日
-
営農型太陽光発電事業を展開 千葉エコ・エネルギー、Cyrinxと業務提携 東北電力2025年8月28日
-
2026年度 「コープみらい・くらしと地域づくり助成」9月1日から募集開始2025年8月28日