自給率微増 米の供給増と小麦・大豆の生産増が寄与 2021年度2022年8月9日
2021年度のカロリーベースの食料自給率は前年度より1ポイント高い38%となった。小麦と大豆の作付面積、単収ともに増加したことなどが寄与した。
国内でできるものは作るが基本
2021年度のカロリーベースの食料自給率は38%となった。小数点以下まで含めると37.99%。2020年は過去最低の37.17%だったが、それより0.82%の微増となった。
要因は作付面積が3.5%増加し、天候に恵まれて単収も+11.6%となった小麦が+0.3ポイントの上昇に寄与したこと。
また、大豆も作付面積が3.2%増加し、単収も+9.7%と増え+0.2ポイントの寄与した。
農水省は過去最低の自給率から1%の上昇について「麦・大豆の増産の効果。国内で生産できるものは作っていくことがやはり大事だ」と話す。
もう一つの要因が米。外食需要の回復などが影響した。1人1年当たりの米の供給純食料は51.5㎏と前年より0.7㎏増えた。これによって7kcal増え、自給率向上には+0.2ポイント寄与した。
ただ、農水省によると2020年から21年にかけての米消費動向にはコロナ禍という特殊な要因も影響しているという。2020年は年初から物流の混乱で米不足が起きる不安などで3月までの間に駆け込み需要が起きた。その反動で4月から6月は需要が減少した。それが2020年度の米の1人1年当たりの供給量50.8㎏という低水準となった。
2021年度は前年に比べて外食需要が戻ったことが自給率向上の要因とはなったが、米需要の減退は続いており消費拡大策が大きな課題であることに変わりはないといえる。
一方、飼料自給率を反映しない食料国産率も前年度より1ポイント高い47%となった。
上昇の要因は畜産物の生産増加にある。2021年度は生乳+2.9%、鶏肉+1.5%、豚肉+0.6%、牛肉+0.2%となった。
濃厚飼料自給率 1ポイント上昇
飼料自給率は前年度と変わらず25%だが、濃厚飼料の自給率は前年より1ポイント高い13%となった。輸入トウモロコシの減少の一方で飼料用米の利用が拡大したためという。
飼料自給率を反映した畜産物全体のカロリーベース自給率は16%。飼料自給率を反映しない食料国産率は64%とその差は48ポイントとなる。鶏卵では食料国産率は96%だが、カロリーベースでは13%でその差は83ポイントに広がる。国産の飼料用米を使った鶏卵生産の取り組みも一部で広がりつつあるが、こうした数字を見ると、飼料の輸入依存からの脱却は食料安保の点から必要なことが分かる。
農水省は輸入畜産物の国産畜産物への置き換えや輸出によって国産食料率を高めるとともに、飼料自給率の向上を図る必要があると強調する。
生産額ベースは過去最低
一方、生産額ベースの食料自給率は前年度より4ポイント低い63%で過去最低となった。
米や野菜の国産単価が低下した一方、肉類や魚介類の輸入単価が上昇したことのほか、畜産の飼料輸入額の上昇がある。
生産額ベースの食料自給率の分子は、国内生産額(国内生産量×国産単価)から、畜産物の飼料輸入額や、油脂類やでん粉、砂糖など加工品に使われる輸入原料額を差し引く。そのため飼料輸入額などが増加すると分子が小さくなるため生産額ベースの食料自給率は低下する。
ただし、今回は2021年3月までの動向は反映されているが、それ以降の飼料価格や輸入原材料の価格高騰が反映されるのは2022年度の食料自給率となる。
農水省は「飼料高騰などの影響を政策的にフォローすることを今後も強化し、国内生産を維持していくことが大事」としている。
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