水稲の「中干し期間の延長」 Jクレジットの対象に 農水省2023年3月3日
農林水産省は3月1日に開いたJクレジット制度運営委員会が「水稲栽培による中干し期間の延長」が温室効果ガスの排出削減をクレジットとして認証する同制度の新たな方法として承認したと発表した。
Jクレジット制度は温室効果ガスの排出削減量を「クレジット」として国が認証し取引を可能にする制度。その方法は制度で認証される必要があり、現在69の方法を承認している。このうち農業ではアミノ酸バランス改善飼料、バイオ炭の農地施用などこれまで4つが承認されていたが、今回、水稲栽培での中干し期間の延長が新たな方法論として認められた。
水田から発生するメタンは土壌中の有機物や肥料が分解してできる二酸化炭素や酢酸などから、メタン生成菌の働きで作られる。そのため水田からのメタンの発生を減らす方法のひとつは落水期間を長くする、すなわち中干し期間の延長が重要になるとされている。
延長期間は平均日数より7日以上。中干しの開始日(取水口を閉じ排水口を開けた日)と終了日(取水口を開け排水口を閉じた日)などの生産管理記録の2年分からその地域の慣行的中干し期間を把握するとともに、中干しが出穂日より前に行われたことも確認する。
すでに記録があればそれを活用して基準とし23年産から7日以上の延長に取り組むことも可能。農水省は新たな方法として4月中旬に施行する予定だ。
そのほかメタン排出削減量の算出に必要なデータとして水田面積、水田の所在地域、排水性、水田への施用有機物量(稲わらの持ち出し量、堆肥の施用量)がある。これらのデータを提出し審査を受けると削減量分の「クレジット」の認証を受けることができる。
クレジット創出のための取り組みにはJAが生産者の活動をまとめてひとつのプロジェクトにして取り組むプログラム型があり、農水省は小さな活動をまとめるこの方法での参加を推奨している。参加者は随時追加することが可能だ。
メタンはCО2の25倍の温室効果がある。世界におけるメタンの排出削減は重要な課題になっており、日本では4割を占める水田からの排出削減が課題となっている。政府は2030年に農地からのメタン排出をCО2換算で104万t削減、3割削減することを目標にしている。
農水省によると水田の3割で中干しの期間延長に取り組めば目標が達成できるとしている。
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