コスト高で各業界とも事業環境厳しく 生産から消費まで各層代表者が適正価格めぐり議論 農水省で初会合2023年8月30日
生産資材の高騰などで持続可能な食料供給が課題となる中、生産から流通、消費と各層の関係者が適正な価格形成の仕組みづくりを議論する農水省の協議会が設置され、8月29日、初会合が開かれた。会合は非公開で、出席者からは各業界ともコスト高に直面し、事業環境が厳しいとの声が多く上がったという。
適正な価格形成に向けて設置された協議会の初会合(農水省で)
同協議会は、政府が6月に決定した「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づき、生産から流通、消費まで各層の代表者が一堂に会して農産物や食品の適正な価格形成に向けて議論する場として設置された。
冒頭、農水省の宮浦浩司総括審議官(新事業・食品産業)は「基本法見直しの軸である食料安保の確立の中で適正な価格形成は大きなテーマだ。フードチェーンの各段階のみなさまが集まる極めてレアな場で、各段階で持続性が確保できることを共通目標として、まずは協調して議論できる土俵づくりをしたい」と述べた。
初会合では、農水省の担当者が物価や価格転嫁の動向などを説明した。この中で食品関連産業の価格転嫁は全産業平均に比べると進んでいるものの、約2割は価格転嫁されず、逆に減額されたケースがあることが報告された。
また、日本農業法人協会が行った調査で、コスト高騰を受けて「価格転嫁した」生産者は45%にとどまり、半数以上が「価格転嫁できていない」と答え、コスト上昇分を販売価格に上乗せできていないことが説明された。
こうした現状も踏まえて担当者は適正価格の仕組みづくりの議論を求めたが、価格転嫁によって国産品から安価な輸入品に代替される可能性もあることに留意する必要があるなどと補足した。
同省によると、出席者からは各業界ともコスト高に直面し、厳しい事業環境にあるとの声が多く上がったという。また、生産者から流通、消費まで各段階の持続性を確保することが大切だとの意見も多かったという。
同省は出席者から指摘のあった課題を整理して9月に次回会合を開くことにしている。
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