適正な価格形成 法制化速やかに JAグループの政策提案2024年5月13日
JA全中は5月9日の理事会で「令和6年度食料・農業・地域政策の推進に向けた政策提案」を決めた。同日夕、JA全中の山野会長らは東京・霞が関の農林水産省を訪ね、坂本哲志農相に政策提案の内容を要請した。
坂本農相に政策提案を渡したJAグループ全国連首脳。
(左から)金井健全国農政連副会長、青江伯夫JA共済連会長、折原敬一JA全農経営管理委員会会長、
奥和登農林中央金庫理事長、大島信之JA全中副会長、山野徹JA全中会長、
坂本哲志農相、樽井功JA全中副会長、長谷川浩敏全国農政連会長、馬場利彦JA全中専務
要請に先立つ記者会見でJA全中の山野徹会長は政策提案の重点事項として4つを挙げた。
1つ目は「食料安保の確保に向けた基本政策の確立」であり、国内の農業生産の増大を基本とした食料安保の確保を政策の柱に基本政策を確立することともに、「基本法の改正にふさわしい万全な関係予算の確保が不可欠だ」と述べた。
2つ目は次期食料・農業・農村基本計画の実効性の確保。次期基本計画の策定に当たりすべての農業者が将来にわたり展望を持って営農に取り組めるように「実効性のある施策が重要」としたほか、食料自給率の向上など食料安全保障に関する「目標を設定し、その達成に向けた各種施策の着実な実行が必要だ」と述べた。
3つ目は適正な価格形成の仕組みの速やかな法制化。山野会長は「国産農畜産物の再生産に必要なコストが、食料の持続的な供給に要する合理的な費用に含まれることを考慮し、早期の法制化が必要と考えている」とした。
4つ目には全国で老朽化している共同利用施設の整備、更新対策を挙げた。
坂本農相にもこの4点を中心に政策提案を行った。坂本農相は「農林水産大臣として重く受け止めていきたい。食料安全保障の確立に向け、具体的な施策を検討していきたい」と述べた。
〈JAグループの政策提案のポイント〉
【食料安全保障の確保に向けた施策の具体化】
◯食料安保の確保に向けた基本政策を確立し、その政策の着実な推進のための農業関連予算の拡充。集中的に推進するための中長期にわたる万全な予算の確保。
◯食料自給率の向上その他食料安保の確保に関する事項の改善が図られるよう、適切に目標を設定。その達成に向けて各種施策を掲げ実行すること。
◯将来にわたって安定運営できる水田政策の具体的内容を検討すること。◯基本計画で定める生産努力目標は食料自給率の向上に向け、これまでにない意欲的な水準かつ地域で取り組みやすい具体性のあるものとすること。
◯適正な価格形成の実現に向けて速やかの法制化を図ること。そのために先行実施する品目とその他の品目について並行して議論を進め早期に結論を得ること。
◯既存のセーフティネットを組み合わせても補いきれない生産資材価格の高騰に対応しうる対策の充実。
【農業の持続的な発展と農村振興】
◯共同利用施設の老朽化が顕在化していることをふまえ強い農業づくり総合支援交付金や産地生産基盤パワーアップ事業等にかかる予算の抜本的な拡充。
◯地域計画に位置づけられた多様な農業者への施策を抜本的に拡充すること。
◯日本型直接支払については令和7年度からの次期対策に向けた見直しで環境負荷の軽減をはじめ、中山間地域における農業の振興と共同活動の促進、多面的機能の発揮に向けた取り組みの面的な拡大に向けて、施策を抜本的に拡充すること。
【品目別対策】
◯畑作本作化も含めた作付転換にかかる継続的な支援、必要な予算の確保。
◯配合飼料価格安定制度は現行の影響緩和機能を堅持するとともに、積立財源の安定確保に向けた環境整備を行うこと。
◯国産切り替えが見込まれる加工・業務用野菜の産地づくり等に対する支援の拡充。
◯果樹の生産拡大、生産基盤の強化に向け、担い手・労働力確保や改植・新植等への支援を拡充するとともに、苗木・花粉の安定供給に向けた支援への十分な予算の確保。
【災害・感染症等に強い農業づくり対策】
◯能登半島地震をはじめ局所的な災害も含む被災地の被害状況等に早急に対応できる継続的かつ柔軟な復旧対策の措置・拡充。
◯高温障害等の異常気象に伴う生育障害や収量・品質の低下など対応するため新品種や栽培技術の開発を含む気候変動への対策を講じること。
【関係団体の後押し】
◯JA等関係団体が基本法の基本理念の実現に重要なや各割を果たしていると位置づけられることをふまえ、その活動への支援を拡充すること。団体間の相互理解や地方公共団体も含めた連携を後押しする施策を講じること。
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