JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】組合員目線を大切に 一般文化部門・神奈川県・横浜農協元専務 海沼正雄氏2025年7月7日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
一般文化部門・神奈川県・横浜農協元専務 海沼正雄氏
1971年に旧JA横浜北に入職し、以来、神奈川県厚生連・全中特別研究員などを含め、約54年間JAグループとのかかわりを持たせていただきました。
JA横浜在任中、「特に大事にしてきたこと」3点を紹介します。
JAでは債権回収・苦情対応・合併折衝など特命での1人仕事を任されることが多くありました。難題も多くその意味で好きな言葉とした「何事も心意気」の精神で関わってきました。
1.わかりやすいJA運営を信条にして
わかりやすいJA運営に共通するのは「意見・要望・質問」等に早く応えることであり、満足度・信頼度にも直結します。
取り組み事例として、毎月1回総合支店(30店舗)の「支店運営委員会」から本店に出された意見・要望等については、必ず常勤理事会で協議し、翌月の支店長会議を通じ回答する仕組み作りをしました。
また、総代会前に全総合支店でミニ総代会的な「組合員説明会」を開催しています。組合員(准組含む)が自由に参加できる機会とし、わかりやすいJA運営を実践してきました。
併せて荒廃農地減少を呼びかける裏返しとして、生産物を身近に・気軽に現金化できるよう13カ所の農産物直売所や、土日祝も営業する生産資材店舗を6カ所開設するなど、都市農業をわかりやすく支援してきました。
わかりやすさは時により「組合員・役員・職員」それぞれの視点で整理する必要があり、説明すべき順番如何で成果に直結することを実感しています。
2.組合員満足運営にこだわって
漠然と組合員満足度を考えても答えが出ません。私なりに実践を通じて到達した整理の結果、組合員満足度とは「組合員(家族含む)の願いの実現と悩みの解消に寄り添う」としています。
約30年前、事業所長の4年間、日々外務車両に同乗して組合員戸別訪問を重ねた結果、大きな事業伸長につながりました。
願いや悩みはJA関連以外のことも多くありますが、一緒に向き合うこと・寄り添うことで信頼関係ができ、後継者を含めた満足度向上につながり、後々のJA運営参画に結び付いているように感じます。
役員就任後も、常勤役員全員が年に数回、定期的に利用者個別訪問する仕組みづくりをして実践してきました。競合が激しい都市部では安定経営に向けてきめ細かな満足度対応が必須になっています。
3.経営管理の三つの基本
① 不良債権を作らない「債権管理の強化」
健全な貸出金は安定経営の基本と考え、旧JAでは新たな金利仕組みなど作って貸出を推進し、当時で全国トップの事業量になり貯貸率60%台まで伸長できました。
一方で貸出は実行して終わるのでなく、予定どおり返済されて収益になることの教育を徹底するなど債権管理の強化に努めてきました。
② 安定し成長する「経営管理体制の構築」
ガバナンス・内部統制機能の検証、中核人財育成の繰り返しで組織は成長します。加えて「経営品質の向上」も今後の重要なテーマになります。繰り返し自己点検することで経営管理体制が構築されていくものと考えます。
③ 不祥事を防止する「経営規律の維持」
コンプライアンス体制の構築など経営規律の維持は組織継続の要となリます。特に不祥事を発生させない仕組み作りは経営者の大きな使命の一つです。一方で、起こってしまった不都合に際し、誠実に向き合うことで組織は再生します。
以上、現場目線での取り組み事例を紹介しました。
JAは人から成る組織、人は感情の生き物で感情は千差万別、時によりもどかしさもありますが、地域に必要とされて存在している価値を再確認し、今後の難局に向き合って欲しいと願っています。
【略歴】
かいぬま・まさお
1949年1月生まれ。東京生まれ横浜育ち。1971年旧JA横浜北入職。主に経営管理部門を担当。支店長・支所長経験4年。1995年参事、1997年常務理事、2003年JA横浜合併。同常務理事。2010年専務理事、2016年退任、同年JC総研研究員、神奈川県厚生連リスク管理アドバイザー、2017年全中教育部特別研究員、2025年厚生連並びに全中特別研究員を退任。
【推薦の言葉】
徹底した組合員訪問
海沼氏は横浜北農協に入組後、1992年に港北支所長に就任し、徹底した組合員訪問を重ねた。境界線のもめごとなど組合員同士では解決できないことに親身に相談に乗るなどして、組合員の信頼を得た。
1997年には常務理事に就任、組合員からの反対も多いなか調整を重ね、2003年に横浜市1JAの合併実現に大きく貢献した。
合併と同時に常務理事に就任。組合員組織基盤を強化するため、支店単位の地区理事を補佐する評議員制度を導入するとともに、女性枠をつくり、その後の女性理事就任への道筋を築いた。
分かりやすいJA運営を実現するため、毎月の支店運営委員会で出された本店への疑問、質問を翌月の委員会で回答する仕組みを定着させた。
2010年には専務理事に就任。信用・共済・広報・家の光等で全国トップ表彰を受賞した。
重要な記事
最新の記事
-
なめらかな食感と上品な甘み 鳥取県産柿「輝太郎フェア」15日から開催 JA全農2025年10月14日
-
インドで戦う卓球日本代表選手を「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年10月14日
-
松阪牛など「三重の味自慢」約80商品 お得に販売中 JAタウン2025年10月14日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県で「マロンゴールド」を収穫 JAタウン2025年10月14日
-
「令和7年産 新米PR用POPデータ」無料配布を開始 アサヒパック2025年10月14日
-
「Rice or Die」賛同企業の第2弾を公開 お米消費拡大に向けた連携広がる アサヒパック2025年10月14日
-
腸内細菌由来ポリアミンの作用研究 免疫視点から評価「食品免疫産業賞」受賞 協同乳業2025年10月14日
-
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
亀田製菓とコラボ「ポテトチップス ハッピーターン味」期間限定で新発売 カルビー2025年10月14日
-
「惣菜管理士」資格取得へ 3390人が受講開始 日本惣菜協会2025年10月14日
-
シンとんぼ(163)-食料・農業・農村基本計画(5)-2025年10月11日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(80)【防除学習帖】第319回2025年10月11日
-
農薬の正しい使い方(53)【今さら聞けない営農情報】第319回2025年10月11日
-
食料自給率 4年連続38%で足踏み 主食用米消費増も小麦生産減 24年度2025年10月10日
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内の園芸作物で初めて確認 高知県2025年10月10日
-
【特殊報】スイカ退緑えそ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日