参院選アンケート 「所得補償」で違い浮き彫り 関税交渉では与野党ほぼ一致2025年7月7日
米トランプ政権との関税交渉で農産物を差し出してはならないという点ではほぼ一致するが、「所得補償」創設の是非では与野党で意見が分かれる――。令和の百姓一揆実行委員会が行った2025年参議院選挙候補者アンケートで、こんな傾向が浮かんだ。同実行委では「投票の参考に」と呼びかけている。
「農を守ることは国民の命を守ること」で全党一致
令和の百姓一揆実行委員会は、7月3日に公示され20日に投開票を迎える参議院選挙に際し、候補者に対し、農業・食料政策についてのアンケートを実施した。政党では、自民、立憲、共産、国民、れいわ、参政、社民の7党が回答した(7月1日現在)。
「農は国力であり、農業を守ることは国民の命を守ることである」という認識をお持ちですかという質問には、7党すべてが「はい」と答えた。
関税交渉で農産物を差し出すな
米国との貿易交渉で農産物を差し出す交渉姿勢についての質問では、国民民主党を除く6党が「継続すべきでない」と一致した。自民党は「農林水産物を自動車関税引き下げ等の交渉材料とせず、過去の貿易合意を踏まえ、政府には米国との協議では『守るべきは守る』姿勢を徹底すべき」とした。唯一「その他」を選んだ国民民主党は「最低限の情報公開と共有」を求めた上で、「米国に対して、与野党がOneチームで交渉に臨み、両国にとってお互いの国益となる関税交渉としていくことが必要」とした。
「所得補償」では意見分かれる
与野党で意見がくっきり分かれたのが「所得補償」だった。
野党は「政治の責任で農家を支えるべき」(共産党)、「食料安全保障基礎支払を創設」(国民民主党)、「生産基盤の強化につながる」(れいわ新選組)などと導入を求めた。立憲民主党は「その他」と答えたが、それは旧民主党政権下での所得補償を再び導入するのではなく、食料と農地を守る直接支払「食農支払」を創設するという趣旨なので、同党も含めると、回答した6野党が「所得補償」導入で足並みをそろえたことになる(なお、回答しなかった日本維新の会の公約には「所得補償」は見当たらない)。一方、自民党は「所得補償は創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地集積、集約化も阻害される恐れ」もあるとした。
もっとも自民党内にも、所得補償を前向きに位置づける議論もある。6月6日の衆議院予算委員会で石破茂首相は、米農家に対する所得補償について石川香織議員(立憲民主党)から問われ、「(米価が)安くなれば農家の所得は減る。どのような農地に対して支払うべきか。どうやって整合的に体系立てていくかという検討を、野党の皆さんのご意見も聞きながらしていきたい」と表明している。所得補償を含めたセーフティネット拡充は水田政策見直しでも重要な論点だが、参議院選挙の結果が議論の行方を左右しそうだ。
「投票の参考に」
令和の百姓一揆実行委員会の藤松泰通さん(静岡県の米農家)は、「参院選の帰趨を決する一人区には米どころが多い。アンケートの結果を投票の参考にしてほしい」と話している。
重要な記事
最新の記事
-
食料自給率 4年連続38%で足踏み 主食用米消費増も小麦生産減 24年度2025年10月10日
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内の園芸作物で初めて確認 高知県2025年10月10日
-
【特殊報】スイカ退緑えそ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】ショウガ褐色しみ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【注意報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年10月10日
-
26%が米「買い控え」 米価上昇が家計に影響 住友生命「台所事情」アンケート2025年10月10日
-
コシヒカリ3万3000円に JA常総ひかりが概算金改定 集荷競争激化受け2025年10月10日
-
大豆の吸実性カメムシ類 甲信、東海、北九州一部地域で多発 病害虫発生予報第8号 農水省2025年10月10日
-
(456)「遅さ」の価値【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月10日
-
「いちご新規就農者研修事業」2026年度研修生、若干名を追加募集 JA全農岐阜2025年10月10日
-
10月23日に生活事業総合展示会 贈答品や暮らしを豊かにする事業を提案 JA全農いばらき2025年10月10日
-
本日10日は魚の日 岡山県産「冷凍かき」など90商品を特別価格で販売 JAタウン2025年10月10日
-
収穫が遅れた完熟の「黄かぼす 食べて応援企画」実施中 JAタウン2025年10月10日
-
国消国産の日 一斉行動日イベント「国消国産×防災」開催 JA全中2025年10月10日
-
「日産ビオパーク西本郷」と「小野田工場ビオトープ」が環境省「自然共生サイト」に認定 日産化学2025年10月10日
-
「えひめ・まつやま産業まつり-すごいもの博 2025-」に出展 井関農機2025年10月10日
-
まるまるひがしにほん 宮城県「登米市物産展」開催 さいたま市2025年10月10日
-
農業・食品特化の合同企業説明会「食品・農業就活サミット」27卒向けに開催2025年10月10日
-
東京産農林水産物を味わい、体験「東京味わいフェスタ2025」開催2025年10月10日