来年3月までに基本計画改定 夏から検討を 岸田首相指示 政府の基盤強化本部2024年6月12日
政府は6月12日、第7回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開き、岸田文雄首相は食料・農業・農村基本法の改正法が国会で成立したことを受け「基本計画」の改定を今年度中に行い、今夏から議論を開始するよう坂本農相に指示をした。また、合理的な価格形成の仕組みのために法案を来年の通常国会への提出をめざして検討するよう求めた。
農林水産省の食料安定供給基盤強化本部会合
本部会合では坂本哲志農相が「新しい資本主義に基づいた農林水産・食品分野の政策の全体像」と基本改正を受けた「政策の進め方」を説明した。
これを受けて岸田首相は基本計画の今年度中の改定に向け今夏から議論を開始するよう指示したほか、合理的な価格形成の仕組みに関する法制化など3つの法案を来年の通常国会への提出をめざして検討することも指示した。
また、合理的な価格形成のためのコスト指標の作成協議を進めるなど、「官民連携の取り組みを加速化すること」も求めた。
会合後、農林水産省は食料安定供給基盤強化本部会合(第5回)を開き、坂本農相は首相指示を受け、改めて同省幹部に基本計画の改定に向けた議論を今夏から開始することや、基本計画の改定を待たずに打つべき施策について、来年度予算の概算要求なども見すえて具体化を進めること、合理的な価格形成のための法制化の検討などを指示した。
農水省は合理的な価格形成については、関係者の協議によるコスト指標づくりを推進しつつ、持続的な食料供給に必要な合理的なコストを考慮する仕組みを法制化する考え。また、法案には食料システムの持続性の確保に向け、環境や人権、農業者との連携など食品事業者の取り組みを促すことも盛り込む方針だ。
そのほか来年の通常国会への提出を検討するのは、土地改良法制の見直し法案。人口減少に対応して基幹的な用排水施設は申請がなくても更新できるよう手続きを簡素化することや、末端インフラの保全のために土地改良区と地域の関係者による議論、体制づくりを推進するほか、緊急的な防災事業の事業目的に地震・豪雨に加えて「老朽化対策」も追加することなどを検討する。
3つ目の法案は林業経営体の育成と森林の集積・集約化促進のための法制度。
そのほか農業政策では環境負荷低減に向け、農水省関係の補助金受給には環境負荷低減に取り組むことを要件とするクロスコンプライアンスの実施(今年度から試行実施)や、先進的な環境負荷低減を行う取り組みに交付金を交付する仕組みの創設、消費者の理解醸成に向けた環境負荷低減の取り組みの見える化なども進める。環境関係の交付金は2027年度めどに見直しを行う。
そのほか今国会に審議中の食料供給困難事態対処法など3法については、法案が成立した場合の対応方向を示した。
食料供給困難事態については、▽民間在庫を含めた国の潜在的な食料供給確保量の把握、▽総合的な備蓄方針の明確化、▽具体的な局面を想定した対処方針の明確化などを検討し2025年中に国の基本方針を策定する。
農地法、農振法改正による人・農地の確保策では▽2025年3月末までの地域計画の策定、▽地域計画を踏まえた担い手の育成確保や農地の集積、▽食料安全保障の強化に必要な農地面積の明確化など盛り込んだ国の基本指針を2025年中に策定する。
スマート農業の促進では技術の重点開発目標の設定など国の基本方針を2024年中に策定する。
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