農業犠牲は断じて許さず 自民食料安保強化本部が決議2025年4月25日
自民党の食料安全保障強化本部など関係部会は4月25日に合同会合で「関税措置に係る米国との協議に関する決議」を行った。同日夕、江藤拓農相に要請した。
決議採択後、森山裕食料安全保障強化本部長(幹事長)は、日米協議をめぐってTPP交渉の経過に触れ、当時、妥結した米国に対する米のSBS枠7万tは、米国の離脱後に締結したCPTPPにも組み込まれているとして、それはいずれ米国の復帰を見込む「同盟国への配慮」だったと話した。
そのうえで、今回の日米協議で「それが何も加味されないで米国が農産物について要求してくるとすれば大変な話。何としても守り抜かなければならない」と述べた。
また、「報道で(米)7万tという話があるが、そんなことは絶対にないと思っている」、「党に相談なく政府が交渉するはずがない。幹事長の私が知らないことがあってはならない。何の話もない」と述べ、「こうした現状にあることをしっかり認識してわが国の食料安全保障のために闘っていかなければならない」とし、連休中も緊張感を持って注視する考えを示した。ただ、日本国内で生産されていない農産物について米国に配慮することはあり得るとした。
決議は以下のとおり。
◎関税措置に係る米国との協議に関する決議
令和7年4月25日
自由民主党
食料安全保障強化本部
総合農林政策調査会
農林部会
水産総合調査会
水産部会
関税措置に係る米国との協議に関し、4月17日に赤澤大臣が訪米して
協議が行われたが、農林水産物に関する協議姿勢について、党内において懸念が生じている。
そもそも、TPP、そして、米国がTPPから脱退した後に日米間で合意した日米貿易協定における農林水産品に関する合意内容は、ギリギリの交渉の結果として受け入れたものである。
我が国がこれらの合意を誠実に履行している一方、米国側が一方的に自動車関税を引き上げ、農林水産品を含め我が国からの輸出に対し相互関税を課しているが、直ちに撤回されるべきである。この際、自動車関税を引き下げたり、工業製品を守るために、農林水産品を犠牲にするような交渉方針は断じて受け入れられない。
また、米国政府は貿易赤字を問題視するが、農林水産品については日米間で約2兆円の米国の貿易黒字となっており、米国の貿易赤字削減に大き
く貢献している。
我が国が食料安全保障を確保するため、食料・農業・農村基本法を改正
し、国内生産基盤の維持・強化を進めている中、農林水産品を犠牲にすることにより国益を損なうことがあってはならない。
政府は、農林水産業の生産基盤の強化を図り、輸出の拡大を一層すすめ
るとともに、守るべきは守るとの姿勢を徹底し、米国との協議に臨むべきである。
右決議する。
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