中山間直払い制度 第5期評価 早急に修正を 第三者委有志が声明2025年6月18日
中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会の委員有志は6月16日に農水省のホームページ上に掲載されている第5期最終評価の早急な訂正を求めるなどの声明文を発表した。
声明文を出した委員有志。左から飯國芳明氏、榊田みどり氏、図司直也氏、橋口卓也氏
声明を発表したのは第三者委員会委員長の図司直也法大教授ほか、飯國芳明高知大名誉教授、農業ジャーナリストの榊田みどり氏、橋口卓也明大教授の4氏。
委員会は2020年度から24年度までの第5期対策の評価を実施しており、昨年8月の委員会で最終評価案はいったん了承された。
しかし、8月30日に公表された25年度予算概算要求では中山間地域直接支払い制度の第5期対策で導入された「集落機能強化加算」が廃止され、今年度からの第6期対策ではネットワーク加算に移行することが判明した。
集落機能強化加算は、第5期で初めて導入された措置で、営農以外の活動も支援し集落での高齢者見守り活動や防災活動に活用されるなど、農家以外の住民も含めた集落機能を維持する支援策として現場で評価されていた。
概算要求で加算廃止が明らかになると全国町村会の吉田隆行会長は「営農と暮らしは不可分」、「年々利用実績も増加しているにも関わらず、明確な理由を示すことなく廃止することは、到底容認できない」との意見を表明した。
第三者委員会でも最終評価を修正すべきとの意見が委員から出され、農水省は最終評価の見直し案を示したが、今年3月の書面上の委員会では意見がまとまらず、最終評価は確定していない。
声明ではこうした状況にも関わらず、農水省ホームページには昨年8月時点での評価案が「最終評価」として扱われていることは適切ではないとして、その後の議論の経緯を加えたかたちで「最終評価を早急に訂正することを求めたい」としている。
また、8月の最終評価案では肯定的に評価されていた同加算措置について、概算要求で廃止となったことの説明を求めた11月の委員会では、農水省は一転して否定的評価を示し、それに対する委員からの質問に明確な回答はなかったとして、声明では「同省は経緯の詳細と理由について公の場で改めて説明する必要がある」と強調している。また、今回の事態を検証する「第三者委員会」を別途立ち上げることも検討すべきではないかと提起した。
そのほか、第三者委員会の議論のなかでは、農水省幹部が「農水省が生活支援に取り組むことを否定するような発言もあり、看過できない状況」と指摘し、第6期の第三者委員会での継続審議を求めたいとしている。
図司氏は今回の問題は「第三者委員会を役割を軽視していると言わざる得ない。しっかり議論して第6期対策につなげるべきだ」と話す。
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