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メガソーラー支援、2027年度に「廃止」 政府・自民党 「地域共生型」へ転換図る2025年12月16日

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各地で紛争が相次ぐ大規模太陽光発電所(メガソーラー)について、政府・自民党が、発電した電気を固定価格で買い取る支援を廃止する方針を固めた。支援廃止は2027年度からで、地域共生型へ舵を切った。地域共生型の再生可能エネルギー推進とともに、すでに認可された事業をどうするかが今後の課題となる。

メガソーラーへの支援廃止を含む提言をとりまとめた自民党の合同部会(12月15日、自民党本部)メガソーラーへの支援廃止を含む提言をとりまとめた自民党の合同部会(12月15日、自民党本部)

小林政調会長「メガソーラー支援は役割終えた」

12月15日、自民党本部で経済産業、環境、文部科学、農林、国土交通部会の合同会議が開かれた。議題は11月から検討してきたメガソーラー規制だ。

「メガソーラー支援は役割を終えた」と語る小林鷹之・自民党政調会長「メガソーラー支援は役割を終えた」と語る小林鷹之・自民党政調会長

小林鷹之政調会長はこう述べた。
「2012年の民主党政権時に開始されたFIT制度によって我が国の太陽光発電事業は急速に拡大した。エネルギーの自給率向上や低炭素化について一定程度貢献してきたことは事実だ。だがパネルは外国製で、国土面積当たりでみれば導入量は世界最大級で、地域においてさまざまな問題を引き起こしている。技術の進展状況を踏まえればFIT、FIP制度によるメガソーラーへの支援はすでにその役割を終えているのではないか。政府には今後新たな認定を行わない、あるいは支援を廃止する。そうしたことを含め検討することを強く求めたい。経済安全保障の観点からも、次世代型太陽光電池などに支援を重点化していくべきだ」

「屋根設置型」「次世代型」へ支援を重点化

関係省庁から報告を受けた後、参加した議員が議論。3本柱からなる提言をとりまとめた。要旨は以下である。

1、不適切事案に対する法的規制強化
 環境アセスメントの対象拡大、電気事業法の保安規制強化、改正森林法(林地開発許可)の施行準備
2、地域の取組との連携強化
 国と地方との緊密な連携、情報共有
 景観法の周知連携、文化財保護法の留意事項の整理・周知、監視体制の構築・強化
3、地域共生型への支援強化
 FIT/FIP制度でのメガソーラー支援は廃止を含め検討
 今後の支援は、屋根設置型太陽電池など地域と共生できるもの、次世代型太陽電池などに重点化

日本の太陽光発電は、中国、米国に次いで多く、ソーラーパネルを設置できる平地は残り少ない。勢い、湿原や山林を破壊してメガソーラーを設置する計画が立てられ、住民の反対に遭っている。

メガソーラーの開発適地は急速に減っている(林地開発許可に占めるメガソーラーの割合)メガソーラーの開発適地は急速に減っている(林地開発許可に占めるメガソーラーの割合)

政府・自民党は、メガソーラーを国民負担(電気料金への上乗せ)を伴う支援から「卒業」させ、住宅や工場の屋根に設置するソーラーや、薄くてスパースをとらない「ペロブスカイト太陽電池」などへ支援重点化を図る。ペロブスカイト太陽電池は日本発の新技術で「次世代型電池」とされる。

「大きな追い風」にも残る課題

鴨川山と川と海を守る会事務局の川口訓平さんは「事業者があきらめて撤退することへの大きな追い風と思っている」と今回の方針を歓迎する。

ただ、2027年度からの支援廃止には、すでに認可された事業を直接止める力はない。取りまとめに関わった自民党幹部は「政権が代わって(政策転換に)ドライブがかかった。ただ、(不適切事案に対する)既存の法令の執行が一番重要で、都道府県に相当頑張ってもらう必要がある」と説明する。その背景には、防災施設の先行設置など許可条件に違反した開発行為のため、土砂が流出し周辺道路や水田に被害が出た事例がある。このため森林法の2025年改正では、林地開発許可の許可条件違反に罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)を新設し、都道府県知事は開発行為の中止・復旧命令に従わない者を公表できるようになった。

営農型発電「望ましい事例は支援」

営農型太陽光発電については、農業との両立が図られる望ましい事例については支援し、「営農型」と言いながら農業がおこなわれないなど不適切な事例は「適切に規律」する。

埼玉県加須市で営農型太陽光発電を営む松本愼一さんは「メガソーラーへの支援廃止は当然だ。逆に営農型ソーラーへの支援は手厚くしてほしい。農地で発電もできれば、農業振興にも国際収支改善にも役立つ」と期待する。

営農型太陽光発電への対応については、今後、自民党農林部会で議論される。

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