農家への所得補償を 「令和の百姓一揆」23都道府県6930人が立つ 26年は3月29日にトラクターデモ2025年12月22日
農家に欧米並みの所得補償を求める「令和の百姓一揆」は今年、23都道府県24ヵ所でトラクターデモを始めさまざまな行動を展開。6930人とトラクター117台、軽トラ等174台が参加した。食料安全保障の危機が叫ばれる中、「瑞穂の国」を次世代につなぐため、2026年は3月29日、都内で再びトラクターデモを予定している。
農家と消費者の連携をどう広げていくかを話し合った「令和の百姓一揆意見交換会」(12月17日、国会内)
12月17日、衆議院第2議員会館で開いた意見交換会で「令和の百姓一揆実行委員会」の高橋宏通事務局長が明らかにした。会にはオンラインも含め約120人が参加。国会議員13人も参加し、連帯あいさつした。
JAに要請、援農の仕組みも
米の適正価格について問題提起する鳥取県の農事組合法人代表・鎌谷一也さん
(右から、広島の西原美和さん、宮地候子さん、1人おいて静岡の藤松泰通さん)
会の第1部「各地域からの報告」では、全国から16団体の代表が取り組みを報告した。
6月14日、220人・トラクター9台・軽トラ等35台でトラクターデモを行った新潟県の堀井修さんは「どう広げるかが重要で、農協にも行った。当日は自民党県議が来たり組合長もあいさつし、『かあちゃんに言われたから来た』という百姓も何人かいた」と語った。
3月には参加者100人・軽トラ等10台でデモを、6月には10人でスタンディングを行った奈良県実行委の森本吉秀さんは、「(自身が会長を務める)奈良県農民連事務所がある明日香村には、鈴木憲和農相が若い農水省職員時代、田植えや稲刈りに通った田がある。現場を知らないことはないが、迷走し叩かれているので複雑な思いがする」と述べた。
大分県の薬師寺ひろみ・グリーンコープ生協理事長は「SNSで呼びかけたところ思いがけず多くの方が参加し関心の高さを感じた。『買って応援』だけでなく援農の仕組みを作った」と話した。
地方議会で「所得補償」求める意見書
米の適正価格について問題提起する鳥取県の農事組合法人代表・鎌谷一也さん
(右から、広島の西原美和さん、宮地候子さん、1人おいて静岡の藤松泰通さん)
第2部の「意見交換」では、米どころである山形県鶴岡市の草島進一市議が「農家への所得補償を求める意見書を9月議会で全会一致で採択した。『今のままで米作りを続けられますか』という率直な問いかけに、自民党市議も賛同してくれた」。この日、栃木市議会で食料自給率向上と所得補償を求める意見書がやはり全会一致で採択された。東京都稲城市の武田まさひと市議は都市農業の課題にふれつつ農業推進基本条例を作る気運を報告した。
千葉県鴨川市の田中正治さんは「地元では有機農業をする移住者、半農半Xが多いが、『タコつぼ』に入り自分だけでやっている。タコつぼから出て場づくりをしようと、会合を始めた」とし、新規就農支援には所得補償、研修と併せ「農機銀行」のような仕組みが有効ではと提起した。
11月24日にトラクターデモを実施した山形県実行委の山口ひとみさんは「新規就農者を支える一つの方法が菅野さんが言う『かかりつけ農家』だと思う。小さな農家だと100人の消費者がいれば十分やっていけるが、そこまでの仕組みができない人も多い。気づいた消費者はどんどん生産者と手をつないでいる」と話した。2月の院内集会をきっかけに果樹園への援農を始めた報告、30万人の「屯田兵」創設の提案もあった。
「かかりつけ農家」持とう
体調不良のためオンラインで参加した実行委の菅野芳秀代表は「全国でいろんな方々が立ち上がっていると心熱くした。私たちの所得補償の訴えは実現しておらず、このままでは『瑞穂の国』が終わる。ここで矛を収めるわけにはいかない。国政に転換を迫るだけでなく地域農業を守り人々の暮らしを守る具体的展開を作り出していく必要がある。かりつけ医と同じように、『かかりつけ農家』『かかりつけ消費者』の連携があるといい。キーワードは地域、いのち、相互連携だろう。全力で日本の農業を守り、地域で暮す人たちのいのちを守ろう」と呼びかけた。
実行委の藤松泰通さんが「百姓の業と精神があれば日本農業は食料危機解決に寄与できる。時間は限られているが消費者ともっとつながり、3月29日に大きな声をあげよう」と会を締め括った。
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