人事2024 左バナー 
左カラム_シリーズ_防除学習帖
左カラム_病害虫情報2021
新聞購読申込 230901
左カラム_コラム_正義派の農政論_pc
左カラム_コラム_米マーケット情報_pc
左カラム_コラム_地方の眼力_pc
左カラム_コラム_食料・農業問題 本質と裏側
左カラム_コラム_昔の農村・今の世の中_pc
左カラム_コラム_花づくり_pc
左カラム_コラム_グローバルとローカル_pc
左カラム_コラム_TPPから見える風景_pc
左カラム_コラム_ムラの角から_pc
左カラム:JCA160_86
イソクラスト_フロアブル_SP
JA全中中央①PC
FMCセンターSP:ベネビア®OD

農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

(78)これで動くか? 農地集積バンク2013年10月18日

一覧へ

【梶井 功 / 東京農工大学名誉教授】

・下からの改革こそ
・変質する法案
・地域との調和が大前提

 最初に、ちょっと長文になるが東畑四郎元農林次官の発言を紹介しておこう。1975年農振法改正で導入される農用地利用増進事業(今は農業経営基盤強化促進事業となっている)が構想されていた73年時点での発言である。

◆下からの改革こそ

“従来の農政は、中央で頭の中でものを考え、それを地方に画一的におろすというような中央集権的行政であった。これを下から自主的に考えることが基盤となるようにする必要がある。本当に農民に密着して、農民自体が自主的に個と個の相対で知恵を出し合っている請負耕作や集団管理、共同経営などの仕組みを、地域地域の実態に即して制度化・組織化し、権力の主体を次第に末端まで移行し、農地制度の改正をそれら地域で行われるルールと結び合わせることによって、新しい農業改革をやる基準をつくるべきである。こういう法制的な仕組みと、農民組織の中の社会的強制と結び合わせることによって、何かそこに新しい安定感がもたらされるのではないかと思う。”(『東畑四郎―人と業績』81年刊、214ページ)。

 2012年以来農政当局が力点をおいて進めている“市町村が集落レベルでの話し合いに基づき、地域の中心となる経営体(個人、法人、集落営農)、そこへの農地集積、中心となる経営体とそれ以外の農業者(兼業農家、自給的農家)を含めた地域農業のあり方(生産品目、経営の複合化、6次産業)等を記載した地域農業マスタープランを作成するための取り組み(「平成24年度農林水産予算の概要」での地域農業マスタープランの表現、その後人・農地プランに変わる)も、この理念に基づいて政策化されているとみていいだろう。
 そして14年度事業として目玉事業に位置づけられている農地中間管理機構も設立プランの段階では“人・農地プランを法律に位置づける方向で検討”されていた。“下から自主的に考えることが基盤となる”法制づくりをめざしていた、と評価していいだろう。

◆変質する法案

 が、その農地中間管理機構は立法化を目前にして大きく変質しようとしている。10月3日、農水省が“農地中間管理機構(農地集積バンク)の関連法案の骨子”をまとめたが、その内容は“機構から農地の借り受けを希望する場合は、必ず公募の手続きをする”とし、“人・農地プランの法制化は見送る”(10・4付日本農業新聞)というものだった。
 この段階で、機構はつくる(農業経営基盤強化法の一部改正で)にしても“人・農地プランの法制化は見送る”としたのは、9・19に提出された「農地中間管理機構(仮称)の創設に関する規制改革会議の意見」が、人・農地プランは“そもそも運動論に過ぎないことに併せて、人・農地プランに記載される内容(中心経営体の氏名または名称、農地利用の集積及び集約化等)について市町村が負うこととなる責任、作成手続きや話し合いに参加することの出来る者の範囲が不明確であることなどに鑑みれば、人・農地プランの法制化には慎重であるべきであり、現時点において法制化することは適当でない”としたからである。規制改革会議答申は、“下から自主的に考えることが基盤となる”ことは全否定する。機構のめざす“農地の集積・集約化”も、国は都道府県の自主的な取り組みに任せるのではなく、“国の主導のもとに各都道府県が事業計画を立案することにすべきである”とする。そして、認定農業者、中心経営体等も応募することを通じて、新規参入者を含めた他の応募者と同等の立場で貸し付けを受けることができるようにすべきである”とする。新規参入しようとする株式会社等も、今まで地域営農の中心になって頑張ってきた認定農業者と“同等の立場”に立たせろ、というのである。

◆地域との調和が大前提

 規制改革会議のこうした意見について、全国農業会議所二田会長は、“[1]地域農業を支えている現在の認定農業者等の取り組みに関する評価と配慮が欠落、[2]機構を活用した地域における自主的な農地利用調整や遊休農地対策の否定、[3]農業関係者による運動論の軽視、さらに、[4]農業者の公的代表機関である農業委員会の法的関与の排除を求めるなど、農業・農村の現場の実態から著しく乖離した内容と言わざるを得ない”と批判の声明を発表(9・20)されている。同感である。新規参入企業による“つまみ食い的優良農地の利用”で地域営農体制が崩れるようなことがあっては、機構設立の目的である“農地の利用の効率化及び高度化を促進すること”と逆の結果をもたらしかねないことをよくよく考えるべきだ。
 リース方式による株式会社対策の農業参入を容認した09年農地法改正で、農地法“運用上の配慮”として次のような第六十三条の二が付け加わったことを念のため付記しておこう。

“この法律の運用に当たっては…地域における貴重な資源である農地が地域との調和を図りつつ農業上有効に利用されるよう配慮しなければならない”

重要な記事

240401・シンジェンタ粒粒マイスター:右上長方形SP

最新の記事

クミアイ化学右カラムSP

みどり戦略

Z-GIS 右正方形2 SP 230630

注目のテーマ

注目のテーマ

JA共済連:SP

JA人事

JAバンク:SP

注目のタグ

topへ戻る