農政:TPP阻止へ! 現場から怒りの声
国民への忠誠忘れた与党 民主主義は完全にマヒ 【醍醐聡・TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会呼びかけ人(東京大学名誉教授)】2016年10月29日
【醍醐聡・TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会呼びかけ人(東京大学名誉教授)】 私はこれからの大事なキーワードは「地方」であり、地方が主体だと思いますが、TPP協定による農業への打撃は地方を衰退させると思っています。
農業はもちろん食料の供給源であり、TPPによって食料自給率がさらに低下し危機的になる恐れがありますが、農業が衰退するということは地方の人口減、農業関連産業も含めた産業の衰退による就業機会の減少などでさらに人口減に拍車をかけることも心配されます。
それは地域の医療機関を成り立たなくさせて医療機関の統合などとなれば住民の医療機関へのアクセスが悪くなる。それがまた人口減につながり学校も廃れていってしまう。
TPP協定では公共事業調達で地元調達をしようとすると内外無差別の原則に反するということですから、学校給食での地産地消も、韓米FTAの例を見ても明らかなように脅威にさらされてしまう懸念があります。
◇ ◇
医療や薬価の問題では、ガン治療薬のオプジーポなど良く効くけれども、非常に高額で患者負担も大変です。これをかりに高額療養費制度で負担を抑えたとしても、それは結局、保険財政に回っていくことになります。無くては困りますが、年間1人3000万円もかかってしまう。抜本的に薬価の決め方を変える必要がある状況に至っています。
しかし、こうした医薬品は米国企業やその子会社のものです。これから外資が入ってくるというのではなく、すでに外資が上位を占めている。TPP交渉と並行して行われた日米並行協議では、外資が薬価決定にわれわれも参画させろといっている。薬価を引き下げるような決定をしようとすればISDS条項などを使って脅しがかけられる懸念もあります。日本の保険財政の立て直しに対して横やりが入ってくる可能性があるのです。
こうしたことについて何の議論もせず、国民皆保険制度は交渉のテーブルに乗っていないから心配ありません、という言い方で批准しようとしている。
◇ ◇
国会審議を見ていると結局、政治の質が問われていると思います。これまで国会決議には与党も賛成してきました。もちろん選挙のときの公約もありました。
それにも関わらず、ここに及んで与党のなかから何ら異論がまったくない。本当に一色に染まっている。
これを見ていると、日本では自分が属している集団や組織への忠誠は強いが、自分たちの集団外や組織外、とくに今回の場合は国民への忠誠ということですが、それはまったくどこかに行ってしまうということが、今回如実に表れているのではないか。自分が属している政党への忠誠はあっても、国民への忠誠というものは消えてしまう。
TPPに限らずいろいろな問題でこうした体質が表れてしまうと日本の民主主義というのが完全にマヒしてしまい、政治とはただ数による意思決定の場でしかなくなってしまう。審議など非常に無意味なものになっているのではないか、それを露骨に現しているのではないか。単なる多数決主義に民主主義が堕落してしまった姿を痛感します。非常に重大な問題です。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日