農政:現場から考える農政改革
【現場から考える農政改革】(4)若手が活躍する仕組みづくりを2014年2月14日
宇川純矢・JA富山県青壮年組織協議会会長
米政策や経営安定対策の見直し、農業の多面的機能に着目した直接支払い制度の創設など、今年から新たな農業政策が動き出す。しかし、誰のための何のための農業政策かが忘れられてはならない。その視点を議論に生かすには現場からの発信を強める必要がある。全国の生産現場で活躍する青年農業者6人に思いを聞いた。
◆高齢化で受託増える
富山県の小矢部市で水稲5ha、飼料米12ha、大豆25ha、大麦5ha、それにハトムギを7ha作っています。延べ作付面積は100haを超え、私と父親で、通年雇用の2人、その時々のパートの人を使って経営しています。
自分の農地は2haほどですが、父親が42歳のとき、サラリーマンを辞めてUターンして就農し、規模を大きくしました。私が継いだころは30haくらいあったでしょうか。やはり高齢化が進んで、自分の水田を使って欲しいという人が多く、年々、面積が増えています。
法人化はしていません。集落営農もできていますが、出資金や契約で縛られるのがいやだったり、預けた水田の管理に不安を持ったりする人もあります。例えば私は、預かった田んぼに有機たい肥を投与しているので、預ける人は安心できるようです。そうした人の田んぼを引き受けることが多くなっています。
また農協は、集落営農を作るのはいいのですが、その後のフォローをしっかりやってほしいですね。作った後、集落の高齢の人が多くいて、若い人がやりにくいということも多くあります。若手の活躍できる仕組みづくりが必要です。
(写真)
宇川さん
◆10haほどが最も安定
この地区には約450haの水田があります。受託でどこまで規模するのかとよく聞かれますが、私はこの地区を出てまで規模拡大する気はありません。本当は10haくらいで、こだわりの米を作るのが一番経営的に安定していると思います。
地域の農地を守るのだ、という気持ちもあって委託を断りきれず、どんどん規模が大きくなりました。今度、国は農地中間管理機構をつくり、農地の保管、斡旋、必要であれば区画整理もするとのことですが、田んぼには地権者の思いがこもっています。自分の農地が分からなくなるのでは躊躇する人も少なくないようです。
(写真)
国会前でTPP反対を訴える盟友
◆「農業者組織」が本来の役割
農協は大きくなりすぎて、本来の意義を見失わっているのではないかと思うことがあります。テレビなどのJAバンクや共済のCMをみると、銀行や保険会社と同じで、協同組合であるということを感じられません。
またTPPや農業政策など、農協の職員で知らない者が多いですね。窓口に来た非組合員の人にも、なぜTPPに反対かを説明できるようにしてほしいですね。
ただ、農協は本来農業者の組織であり、あまり窓口を広げるのはどうかと思います。組合員サービスに徹して生産資材を安く供給すること、これが農協本来の役割ではないでしょうか。
JA青年部は何のためにあるのか。漠然としたものは感じていましたが、県や全国の役員として、県や国会の議員に農政問題の要請活動をするなかで、総代や理事、常勤役員を務める人材育成の機関であるということが、はっきりわかってきました。
(写真)
食べ物の安全性について講演する宇川さん
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】野菜類・花き類にタバコガ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年10月20日
-
【注意報】野菜類、花き類にオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年10月20日
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日