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農政:許すな命の格差 築こう協同社会

【特集:許すな命の格差 築こう協同社会】提言:普遍的な目標を継続して掲げつつ、変わっていくために 比嘉政浩 日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務2021年5月17日

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日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務の比嘉政浩氏に「普遍的な目標を継続して掲げつつ、変わっていくために」として提言してもらった。

私は変化が大きい今の情勢下でも、JAグループが進むべきは、JA綱領―わたしたちJAのめざすもの―に掲げた方向でよいと思います。ただし、百点満点の組織など絶対にない。「今のままでよい」と思った時から崩れて行く。普遍的な目標を掲げつつ変わっていく。二つの切り口で思うところを述べます。

協同とSDGs 親和性

比嘉政浩 日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務比嘉政浩
日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務

協同組合人がSDGsをとらえるには独特の難しさがある

JCAではSDGs(持続可能な開発目標)推進の支援をしており、研修会の講師も務めます。ある研修後に「つまりJAグループが従来やってきたことだ。これまで通り努力すべしと理解した」との発言がありました。他の機会では「協同組合理念、JA綱領を掲げてきた。SDGsに改宗せよということか」との問いがありました。いずれも真摯(しんし)に聴いて下さったからこそのご発言です。

SDGsコンパス(SDGs導入における企業の行動指針)では「経営に統合する(事業とガバナンスに持続可能性を統合し、すべての機能に持続可能な開発目標を組み込む)」とあります。つまり、中核的な理念や事業は別にあり「SDGsの実現にも努める」という姿勢であってはならない、経営と一つであれ、としています。

私は当初、どう受けとめていいかわかりませんでした。「今だけ、金だけ、自分だけ」という人にSDGsを説くならわかりやすい。「あなたは変わらなくてはいけない」と語気を強めるでしょう。しかし、JAグループ役職員はSDGsをどう受けとめればいいのか。

SDGsは点検の物差し

私はSDGsを強く意識する立場でも、引き続きJA綱領がわれわれのビジョンだと思います。JA綱領は今もなお普遍性を持っています。

けれども、私たちは変わらなくていい、という捉え方には反対です。

例えば、既にわれわれは「環境・文化・福祉への貢献を通じて...」とJA綱領に掲げています。けれども、これを初めて掲げたとき、CO2やマイクロプラスチック(微少なプラスチックごみ)を強く意識してはいなかったと思います。われわれが今学習すれば、これらの排出抑制に向け、事業・活動を見直さねばならないとの結論を得るでしょう。

わが国のジェンダー・ギャップ指数は極めて低位で大きな課題です。JA綱領にジェンダー問題に関して直接の言及はありません。しかし、「民主的で公正な社会の実現に努める」とあります。農業者のほぼ半分が女性なのに、正組合員のうち女性は22%、理事等役員も8%。これはおかしい。既にわれわれは目標を掲げ是正し始めています。

私は、JAグループ役職員にとって、SDGsは点検の物差しであると思います。常に、現在の事業・活動はJA綱領にそっているか、という点検が必要ですが、加えて「環境、福祉、民主的運営」などJA綱領に掲げた価値につき、それぞれに強く意識すべき具体的課題の変化を認識し対応しているか、が問われます。

SDGsは現在の世界が抱えている課題を網羅し目標を掲げました。これを学習し真摯に向き合うことは、自らの点検につながると思います。

SDGsをけん引しましょう、共通の言葉で発信しましょう

われわれは組合員の共通の利益の実現に努め、その延長で地域に貢献してきました。SDGsのけん引者として相応しい組織です。でももちろん百点ではない。SDGsという共通の物差し、多くの人、若い人が関心をもつ共通の概念ができた。SDGsを使って自らを見直し、成果を発信しましょう。

農業振興を通じて目標2「飢餓をゼロに」に貢献しています、「誰一人取り残さない」との思いで移動購買車を走らせています、と。一連の農協改革の経緯を通じて、平素からJAに対する理解を広めておくことの重要性は身に染みたのですから。

異種の協同組合間の連携に可能性を感じています

2012年の国際協同組合年(IYC)の際、私はIYC全国実行委員会事務局長を務めました。この時、「異種の協同組合が連携すれば組合員や社会にもっと貢献できる、事業上の連携にも可能性がある」と感じました。多くの方が同様に思われ、日本協同組合連携機構(JCA)の発足につながりました。

かつて日本協同組合連絡協議会(JJC)という会議体はありましたが、活動は多少定式化していました。私はJJCの幹事長、事務局長も経験していますので私の責任は大きい。IYC全国実行委員会とその後継組織には、JJCに未加入だった協同組合全国組織も加入され大きな刺激になりました。

新たに加入したいという方々は、活動のイメージとエネルギーを持っておられました。

他の協同組合と接して感じることは、共通の悩みを持ち、異なった解決具体策を持っておられる、ということです。組合員の願いやニーズを実現したい。しかし収支を確保しなければならない。われわれは常にここに悩みます。

解決策は、使命と経済性の両立を期して新たな事業方式(ビジネスモデル)を見出すこと。けれど簡単ではない。組合員に協力いただける部分はどこか、単協と連合会の役割分担見直しか、全国組織が事業方式の提案力を持つにはどうしたらいいか、単協の企画部門の人材育成は......他の協同組合も同じです。

そして、各協同組合グループで得手不得手が異なり、解決のための具体策が違う。だから相互に学びが大きい。私自身もこれまで行政、企業など多くの方と一緒に仕事をしてきました。その中でも、他の協同組合との連携が最もしっくりくる。価値観が近いからだと思います。

協同をひろげて、日本を変える

JCAは先般初の中期計画を決定し、「協同をひろげて、日本を変える」とビジョンを掲げました。われながら大きく出たものです。「協同組合を」ではなく「協同を」ひろげて、です。常に組合員の共益、公益を意識する協同組合の事業・活動が伸びること、協同組合間の連携が広がること、さらには協同組合でなくても相互扶助が広がること、そうすれば必ずや社会は変わっていく。ここに確信を持ちたい。

異種の協同組合が連携した事例は数多くあります

異種の協同組合が連携した素晴らしい事例は数多くあります。JCAのHP(ホームページ)にもご紹介しています。生協、JAなどで、食材や学習支援などのボランティアを確保し、子どもの居場所づくりが実現した事例、JA、生協、ワーカーズ・コープの協力で、有償ボランティアのマッチングを行い、農作業や暮らしの困りごと解決、一方で生きがい創出を実現している事例、県域単位でJAと生協が宅配事業で提携し、利用者の利便向上と県内農産物の販売拡大を実現している事例、意義は大きいが収支確保が難しい移動購買車を自治体、生協、JAが協力して収支確保している事例、JAの農産物直売所と生協の小規模店舗を同一敷地内に設置しにぎわいをつくった事例――。こうしたことを当たり前のことにしていきたい。そのためにJCAは地区別の担当者を置き、個別のご相談に応じています。

まずは県域で率直に話し合える場を

42県域で協同組合連絡協議会などの組織があります。素晴らしい活動もありますが、かつて全国段階のように活動が定式化している県も多い。JCAでは、まずは異種の協同組合間で柔らかく話し合う場(円卓会議、ラウンドテーブル)を設けては、と提案しています。

ほとんどの協同組合が「地域を元気にしたい」との活動方針を掲げています。協同組合は地域から逃げられない。地域活性化は協同組合の使命だし宿命です。であれば一致して取り組めることは必ずあります。

もちろん、異種の協同組合間で一致できない部分もあります。何も完全に溶け合って一つの組織になろうというのではありません。一致できる点で連携する。これが大原則です。合言葉は「ゆるやか」「あいのり」「やってみる」。

この際、全国段階同様、従来未参加だった協同組合にもお声掛けいただくといいと思います。新たに入りたいと考える組織は意欲も具体策もお持ちです。とりわけ、昨年12月に新法が成立した労働者協同組合は、現在のわが国社会が抱える課題の解決にまっすぐに手を伸ばしておられ、それだけに勢いをお持ちです。

生きづらさを抱える人たちも含め自ら仕事を作り出そうとする労働者協同組合と人手不足の農業・農村は相性のいい組み合わせだとも思います。

JAグループが発展するために

他の協同組合の方と接すると、JAグループの良さを実感し、一方で反省もさせられます。異なった具体策を学べます。異種の協同組合連携には、普遍的な目標を掲げつつ、新たな具体策を見出していくために格好の学びがあると感じています。


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